「やわらかな光」
柔らかな光に包まれながら私は死ぬのだ。
ふわりと舞い上がるカーテン。それに巻き込まれて割れる花瓶。病室には心地のいい風が踊り、暖かな陽光が立ちこめる。
私はそれらに囲まれながら死ぬのだ。割れた花瓶を片付ける間は私のことがいやでも頭に思い浮かぶだろう?私が死したあとも、私のことを考える人が消えてしまわないよう、かけた保険だ。
私は寂しがり屋なのだ。私のことを忘れたら化けて出てくるぞ?……なんてな。
「子供のように」
「ねぇ!紅葉やばいね!」と椛を蹴散らしながらはしゃいでいる人が目の前にいて、ちょっと引いてしまう。……これが私の姉です。今年で齢25。大人が何やってんだ。
「別に、誰にも迷惑かけてないからいーの!
ていうか、あんた1人だけ"大人です"って顔してるけど、そういうあんたこそ中学生のお子様じゃない!」
中学生は別にお子様ではありません。なぜならもうお子様プレートを注文できないからです。未成年ではありますが。
「ほんとに可愛げないんだから〜。そもそもあんたがそんななのは小学生の頃から同じじゃない。あんたの年相応な振る舞い見たことないけど?」
「別に私はこれでいいんです……逆に聞きますけどなんでそんなに子供っぽい言動できるんですか。」
――私もそうなりたいっちゃそうなりたいのです。
「そおねぇ……」
「ならまず、家族に対しての敬語なおそっか。」
……それは無理なお願いです。たった一ヶ月前に"家族"になったのですから、まだ赤の他人のようなものです。
「カーテン」
レースのカーテンがぶわっと広がる。
その向こうに君がいた気がして、思わずじっと目を凝らしてしまった。
君はいつも、「こうしたらウェディングドレスのブーケみたいだね。」と遊んでいた。
本物のブーケを被せてあげたかった。
↓ここから作者の自我入ります
--------キリトリ線--------
この度、♡が100を突破しました!
投稿頻度もバラバラなのに反応を頂けるの、とても嬉しかったです……!
私自身、将来の夢が小説家なのもあって、勉強になって助かります。アプリ開発者様にはとても頭が上がりません。
これからも頑張っていきたいので、応援よろしくお願いします!
あと!勘違いされないように一応申し上げますと私の作品は完全フィクションです!そこら辺よろしくお願いします!
「ねぇねぇ見て見て!」
今日は友達と星を見に来た。
周りになんの光もない郊外。ラメを零してしまった時のように、とてもきらきらしていて、綺麗だった。
「あそこにあるのって、双子座だよね!?
私たちの!」
君は珍しく高いテンションになっている。
そう、私たちは2人揃って双子座なのだ。
冬の大三角形のそば、双子座の代表的な星であるカストルとポルックスが輝いている。
双子座。
兄のカストルと、弟のポルックスが繰り広げる伝承は、兄弟愛に満ち満ちている。
「双子座って……私たちみたいだな〜って、思わない?」
「え?」
「2人はとっても中が良くって、一緒にとてもよく戦ってたんでしょ?……まあ私たちの場合はバスケだけどさ!」
「……。」
「……もう、またそんな顔して〜。」
そうなのだ。私たちはバスケを一緒にしていた仲なのだ。実際、私たちの相性は良かった。し、「あそこのふたりの関係尊くない!?」だとかなんだか言われたこともあった。
「カストルって、最後死んじゃうんだったよね?」
「……うん。」
「それで弟さんも、運命を共にしようとした。」
「……そう……だね…………。」
「……ポルックスが自分も死ぬことを願ったようにに、私がバスケ出来なくなったからって、一緒にチームを抜けるのはやめて欲しいって、思ってる。」
……この子は、事故に巻き込まれて、足を動かせなくなってしまった。実際に、今は車椅子でここにいる。
「だって、一緒にいたかったから、バスケやってただけで、もうしないんだったら、続ける理由なんて、ないじゃん。」
「そんなことない!!!」
「……!?」
こんなに声を張り上げてるの、初めて見た。
「私を続ける理由にして!」
「どういう、こと?」
「私が茜がバスケしてるところを見たいから!これじゃダメ!?」
「見たい……?」
「そう!!バスケをしてる時のかっこいい茜が見たいの!だから、やめないで……!」
……最後の方は泣いてたから、言葉になってなかった。
「……泣かないで。」
「泣いてないもん……!」
「……泣きたいのはこっちの方だよ。」
「……足のことはごめ」
「そうじゃなくて。」
「そんなこと言われたら続けるしかないじゃん……。」
「……え?」
「泣いてるところ、もう見たくないから。」
――だから私は続ける。
と、私が言ったら安心したように笑ってくれて、そしてまた泣いた。
この泣き虫な親友のために、バスケをこれからもしていこうと心に決めたんだ。
今日は私たちにとって、大切な思い出ができた。
「巡り会えたら」
私が橋の上から身を投げようとしてた時、知らない女の人が助けてくれた。
「今まで良く頑張ったんだね。」
その言葉は、私がずっと求めていた言葉だった。
優しくハグしてくれて、年甲斐もなく大泣きして
しまった。
……お母さんとかにも言われたかったな。
見知らぬあなたに救われてから、1年が経ちました。あの時はそれどころではなかったので、感謝の気持ちを伝えきれておらず、また会いたい気持ちでいっぱいです。
いつかまた巡り会えることを願っています。