ヨヒラ

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「やわらかな光」

柔らかな光に包まれながら私は死ぬのだ。

ふわりと舞い上がるカーテン。それに巻き込まれて割れる花瓶。病室には心地のいい風が踊り、暖かな陽光が立ちこめる。
私はそれらに囲まれながら死ぬのだ。割れた花瓶を片付ける間は私のことがいやでも頭に思い浮かぶだろう?私が死したあとも、私のことを考える人が消えてしまわないよう、かけた保険だ。
私は寂しがり屋なのだ。私のことを忘れたら化けて出てくるぞ?……なんてな。

10/16/2022, 11:24:16 PM