ヨヒラ

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「ねぇねぇ見て見て!」

今日は友達と星を見に来た。
周りになんの光もない郊外。ラメを零してしまった時のように、とてもきらきらしていて、綺麗だった。

「あそこにあるのって、双子座だよね!?
私たちの!」

君は珍しく高いテンションになっている。
そう、私たちは2人揃って双子座なのだ。
冬の大三角形のそば、双子座の代表的な星であるカストルとポルックスが輝いている。

双子座。
兄のカストルと、弟のポルックスが繰り広げる伝承は、兄弟愛に満ち満ちている。

「双子座って……私たちみたいだな〜って、思わない?」
「え?」
「2人はとっても中が良くって、一緒にとてもよく戦ってたんでしょ?……まあ私たちの場合はバスケだけどさ!」
「……。」
「……もう、またそんな顔して〜。」

そうなのだ。私たちはバスケを一緒にしていた仲なのだ。実際、私たちの相性は良かった。し、「あそこのふたりの関係尊くない!?」だとかなんだか言われたこともあった。

「カストルって、最後死んじゃうんだったよね?」
「……うん。」
「それで弟さんも、運命を共にしようとした。」
「……そう……だね…………。」

「……ポルックスが自分も死ぬことを願ったようにに、私がバスケ出来なくなったからって、一緒にチームを抜けるのはやめて欲しいって、思ってる。」

……この子は、事故に巻き込まれて、足を動かせなくなってしまった。実際に、今は車椅子でここにいる。

「だって、一緒にいたかったから、バスケやってただけで、もうしないんだったら、続ける理由なんて、ないじゃん。」

「そんなことない!!!」
「……!?」

こんなに声を張り上げてるの、初めて見た。

「私を続ける理由にして!」
「どういう、こと?」

「私が茜がバスケしてるところを見たいから!これじゃダメ!?」
「見たい……?」
「そう!!バスケをしてる時のかっこいい茜が見たいの!だから、やめないで……!」

……最後の方は泣いてたから、言葉になってなかった。

「……泣かないで。」
「泣いてないもん……!」
「……泣きたいのはこっちの方だよ。」
「……足のことはごめ」
「そうじゃなくて。」

「そんなこと言われたら続けるしかないじゃん……。」
「……え?」
「泣いてるところ、もう見たくないから。」

――だから私は続ける。

と、私が言ったら安心したように笑ってくれて、そしてまた泣いた。
この泣き虫な親友のために、バスケをこれからもしていこうと心に決めたんだ。
今日は私たちにとって、大切な思い出ができた。

10/5/2022, 11:36:27 PM