らの

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11/26/2024, 2:32:23 PM

微熱
「ピピッ」
機械的な音がなり、私は体温計の表示を見てため息をついた。
「37.2℃、微熱か…」
正直、高熱より微熱の方が面倒くさい。
学校を休むほどでは無いけれど、なんだか体の調子が悪い。
何度目かのため息をつきながら重い身体にムチを打ち、未練がましくもぞもぞと布団から出た。
「寒っ!」
布団で温まっていた体に11月のひんやりとした空気が私の心をもっと憂鬱にさせる。
お母さんの怒号で私はようやく動きだした。
のろのろと制服に着替え、朝食を食べ、駅に着いたら急いで電車に乗る。
途中までは1人だから、電車に揺られながら考え事をする。
(学校、行きたくないなあ…)
嫌いな子は付きまとってくるし、先生は鬱陶しいし、授業は楽しくない。
嫌いな子と食べていた昼食の時間がどうしようもなく苦痛で、4限目のチャイムがなったらこっそり教室を出る。
10分ぐらいぶらぶら歩いてからまたこっそり教室に戻り、1人でお弁当を広げる。
寂しい時間だと思われるかもしれないが、嫌いな子に愛想笑いをしながら味のしない食事をするよりずっと楽なのだ。
その子はみんなから嫌われている訳ではなくて、一部から嫌われている。
そんな子に付きまとわれている私は、もう我慢の限界で。
ーなんで、私だけ。
そんな思いが渦巻く心を抱えて今日も私はひきつる笑顔を無理やり作るのだった。

               2024/11.26 微熱


1つ前の投稿が7月16日と随分間が空いてしまって自分でも驚いています。
毎日嫌な事ばかりですが、頑張りすぎずに生きていきたいですね。

7/16/2024, 10:50:37 AM

私たちは二人で河川敷に寝そべっていた。
夜風に吹かれて揺れる草が頬をくすぐる。
草の匂いと夜の匂いが混じって、まるでこの世に私たち二人しかいないような気持ちになる。
目を開ければ、満点の星空。
時折、流れ星が流れていく。
私は隣にいる君に話しかけた。

「ねえ、流れ星にお願いごとした?」



返答はない。 まあ、当然か。
でもいいんだ、そばにいてくれるだけで。
私はまた話しかける。

「流れ星ってね、宇宙のゴミが燃えているから光っていて、流れるのはそのゴミが地球に落ちてきているからなんだって。大抵は地球にたどり着かないうちに燃え尽きちゃうんだけどね。」

つまりね、と私は続けた。

「私たちはゴミに一生懸命お願いごとを唱えてるの!」

くすくす、と私は笑う。

ねえ、とっても面白いと思わない?と、私は呟いた。

「ゴミみたいな人間が、どうせすぐに消えてしまうゴミにお願いごとをしてるの。ほんっと、お似合いだよね。」

私の目に涙が溢れた。

「だからね、ゴミみたいな私の願い事も、願う前に燃え尽きて、叶うことは無いんだ。願うことすら出来ない。」

ぐったりと横たわる君の、汚れてしまった白い毛並みを優しく撫でる私の目からは、大粒の涙が零れていた。
こんなことをしても、君は戻ってこない。
辛いことがあった日も、悲しいことを言われた日も、ボロボロに傷つけられて為す術もなく泣いた日も、君がいたから乗り越えられたんだ。
君だけが私に寄り添ってくれた。
私の話を聞いてくれた。
温かい体温に、私は救われた。

理不尽に奪われた君の体温を少しでも取り戻したくて、私は泣きながら君を抱きしめた。
君と初めて出会ったこの河川敷で、君と最期を迎えたい。
何億光年先の恒星たちに見守られながら。


   2024/7.16 空を見上げて心に浮かんだこと

7/14/2024, 2:25:56 PM

みんな手を取りあって仲良くしましょう。

学校の先生が最初に言った言葉。

私はそれを律儀に守ろうとした。

嫌な事を言われても、暴力を振るわれても、あからさまに無視されても

私は仲良くしようとし続けた。

本当はみんないい人なんだと思いたくて。

でも、気づいてしまった。

生まれながらに心が汚い人も、環境に恵まれなかったゆえに歪んでしまった人もいる

そういう人たちは、私には変えようがない。






それから私は変わってしまった。

いい人、、誰かのためになにかをする人、なんていない。

みんな結局、自分が一番大事なんだ。

そんなこと当たり前だなんて言う人もいるだろう。

でも私は知らなかった。

みんな自分より大事なものがあって、それを守るために必死に生きて。

そうだと思っていた。

ああ、なんて汚いんだろう。

私は全てが嫌になった。

最後に見た夕日は、そんな人間たちを鮮やかに照らしていた。

すごく、醜かった。




          2024/7.14 手を取り合って

6/6/2024, 10:13:15 PM

突然、意味もなく、わけも分からないのに、無性に
死にたくなる。
何だかやる気が起きなくて、ただ一日中、どこかから飛び降りたい気持ちを押し殺している。
こんな人生でも生きていたいと思ってしまう私はきっと、救いようのない愚か者なんだろうな。


              2024/6.7  最悪

4/21/2024, 11:44:10 AM


「雫」

それが私に付けられた名前だった。
雨があがったあと花の上で輝く雫のような、明るい
子になりますように。
そう願って付けられた名前。
でも私は、表面こそ明るく繕っているけれど、内面
は真っ暗闇。
この先も生きる勇気がないくせに、死ぬ決心もつか
ない。
ああ。
もういっその事、光り輝く雫の最期のように、綺麗に消えてしまいたい。


            
           2024/4.21 No.25  雫 

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