私たちは二人で河川敷に寝そべっていた。
夜風に吹かれて揺れる草が頬をくすぐる。
草の匂いと夜の匂いが混じって、まるでこの世に私たち二人しかいないような気持ちになる。
目を開ければ、満点の星空。
時折、流れ星が流れていく。
私は隣にいる君に話しかけた。
「ねえ、流れ星にお願いごとした?」
…
返答はない。 まあ、当然か。
でもいいんだ、そばにいてくれるだけで。
私はまた話しかける。
「流れ星ってね、宇宙のゴミが燃えているから光っていて、流れるのはそのゴミが地球に落ちてきているからなんだって。大抵は地球にたどり着かないうちに燃え尽きちゃうんだけどね。」
つまりね、と私は続けた。
「私たちはゴミに一生懸命お願いごとを唱えてるの!」
くすくす、と私は笑う。
ねえ、とっても面白いと思わない?と、私は呟いた。
「ゴミみたいな人間が、どうせすぐに消えてしまうゴミにお願いごとをしてるの。ほんっと、お似合いだよね。」
私の目に涙が溢れた。
「だからね、ゴミみたいな私の願い事も、願う前に燃え尽きて、叶うことは無いんだ。願うことすら出来ない。」
ぐったりと横たわる君の、汚れてしまった白い毛並みを優しく撫でる私の目からは、大粒の涙が零れていた。
こんなことをしても、君は戻ってこない。
辛いことがあった日も、悲しいことを言われた日も、ボロボロに傷つけられて為す術もなく泣いた日も、君がいたから乗り越えられたんだ。
君だけが私に寄り添ってくれた。
私の話を聞いてくれた。
温かい体温に、私は救われた。
理不尽に奪われた君の体温を少しでも取り戻したくて、私は泣きながら君を抱きしめた。
君と初めて出会ったこの河川敷で、君と最期を迎えたい。
何億光年先の恒星たちに見守られながら。
2024/7.16 空を見上げて心に浮かんだこと
みんな手を取りあって仲良くしましょう。
学校の先生が最初に言った言葉。
私はそれを律儀に守ろうとした。
嫌な事を言われても、暴力を振るわれても、あからさまに無視されても
私は仲良くしようとし続けた。
本当はみんないい人なんだと思いたくて。
でも、気づいてしまった。
生まれながらに心が汚い人も、環境に恵まれなかったゆえに歪んでしまった人もいる
そういう人たちは、私には変えようがない。
それから私は変わってしまった。
いい人、、誰かのためになにかをする人、なんていない。
みんな結局、自分が一番大事なんだ。
そんなこと当たり前だなんて言う人もいるだろう。
でも私は知らなかった。
みんな自分より大事なものがあって、それを守るために必死に生きて。
そうだと思っていた。
ああ、なんて汚いんだろう。
私は全てが嫌になった。
最後に見た夕日は、そんな人間たちを鮮やかに照らしていた。
すごく、醜かった。
2024/7.14 手を取り合って
突然、意味もなく、わけも分からないのに、無性に
死にたくなる。
何だかやる気が起きなくて、ただ一日中、どこかから飛び降りたい気持ちを押し殺している。
こんな人生でも生きていたいと思ってしまう私はきっと、救いようのない愚か者なんだろうな。
2024/6.7 最悪
「雫」
それが私に付けられた名前だった。
雨があがったあと花の上で輝く雫のような、明るい
子になりますように。
そう願って付けられた名前。
でも私は、表面こそ明るく繕っているけれど、内面
は真っ暗闇。
この先も生きる勇気がないくせに、死ぬ決心もつか
ない。
ああ。
もういっその事、光り輝く雫の最期のように、綺麗に消えてしまいたい。
2024/4.21 No.25 雫
見つめられるのは好きじゃない
吐いた嘘がバレてしまうような気がするから
どうしてそんなに見つめるの?
あなたは私を見つめて何を思っているの?
ああ、怖い。
せめて私の顔がこんなに醜くなかったら良かったのに。
家に帰っても視線を感じる
誰もいないのに
あなたに見られているような気がする
そんなわけないのに
落ち着かない。
あなたには綺麗な私だけを見ていて欲しいのに
やめてやめてやめてやめてやめてやめて
私に失望しないで
見捨てないで
もう…あなたしかいないのに
2024/3.29 NO.24 見つめられると