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私たちは二人で河川敷に寝そべっていた。
夜風に吹かれて揺れる草が頬をくすぐる。
草の匂いと夜の匂いが混じって、まるでこの世に私たち二人しかいないような気持ちになる。
目を開ければ、満点の星空。
時折、流れ星が流れていく。
私は隣にいる君に話しかけた。

「ねえ、流れ星にお願いごとした?」



返答はない。 まあ、当然か。
でもいいんだ、そばにいてくれるだけで。
私はまた話しかける。

「流れ星ってね、宇宙のゴミが燃えているから光っていて、流れるのはそのゴミが地球に落ちてきているからなんだって。大抵は地球にたどり着かないうちに燃え尽きちゃうんだけどね。」

つまりね、と私は続けた。

「私たちはゴミに一生懸命お願いごとを唱えてるの!」

くすくす、と私は笑う。

ねえ、とっても面白いと思わない?と、私は呟いた。

「ゴミみたいな人間が、どうせすぐに消えてしまうゴミにお願いごとをしてるの。ほんっと、お似合いだよね。」

私の目に涙が溢れた。

「だからね、ゴミみたいな私の願い事も、願う前に燃え尽きて、叶うことは無いんだ。願うことすら出来ない。」

ぐったりと横たわる君の、汚れてしまった白い毛並みを優しく撫でる私の目からは、大粒の涙が零れていた。
こんなことをしても、君は戻ってこない。
辛いことがあった日も、悲しいことを言われた日も、ボロボロに傷つけられて為す術もなく泣いた日も、君がいたから乗り越えられたんだ。
君だけが私に寄り添ってくれた。
私の話を聞いてくれた。
温かい体温に、私は救われた。

理不尽に奪われた君の体温を少しでも取り戻したくて、私は泣きながら君を抱きしめた。
君と初めて出会ったこの河川敷で、君と最期を迎えたい。
何億光年先の恒星たちに見守られながら。


   2024/7.16 空を見上げて心に浮かんだこと

7/16/2024, 10:50:37 AM