お題 ―「遠くの街へ」→後日書く予定
お題 ―「現実逃避」→立て込んでいるので後日書く
友人の佐藤は惚れっぽい。
自分は高校からの付き合いだが、それでもわかるほど惚れっぽい人間だ。しかも割と対象が広い。
人・メダカ・バス停・花……などなど、人だろうが物だろうが関係なく、数ヶ月はその対象に夢中になってしまうようだ。
そして、また佐藤は何度目かの「運命の相手」に出会ってしまったそうだ。今日はそれ(その人?)を紹介してくれるらしい。メールで住所が届き、それをマップアプリに入力してみると……。
そこは廃病院だった。数十年前に医療ミスとその訴訟によって揉めていたらしい。どういうつもりなのだろうか?
廃病院でしか会えない人?(物?)って何なんだろう。
気が進まないが、もう腹をくくって会うしかない。
「ほら、挨拶してくれよ」
と、佐藤が指を差した先には何もいない。廃病院は薄暗く、不良が割ったであろうガラスの破片や誰も居ない受付カウンターがあるばかりだ。本当にどうしてしまったんだろうか。
「地縛霊の沙耶子さんだよ。享年は34歳だってさ、まあちょっと位年上でも良いだろ?これから年齢は縮まるばかりだしさ」
まさか、人とも物とも言えない奴に夢中だとは思わなかった。いやどちらかといえば人か。まあ……メダカに夢中だった事を考えれば、これは健全だとも言える。
うん、放っておこう。幸せならそれでいいんだ。
お題 ―「love you」
人魚の声帯は剥がれ、肉は削がれ、鱗はネックレスとして売られるようになった。「外の世界が見たい」と言い浅瀬へ出た家族の行方は、今も分からないままだ。
我々は歌を歌う。それは弔うためでも祈るためでも無く、呼吸や寝返りや瞬きのように、ただ意識せず繰り返すものだ。自己の連続性の証明であり、表現や楽しみではない。
我々は不老不死ではない。全てはヒトによる迷信なので、我々の肉を食べたところでどうなる訳でもない。
我々は尾鰭を持つ。だがそこに美しさや特異性を見出さない。尾鰭の柄や色合いで個を区別しないからだ。深く暗い海において、自己と他との間に境界を引く必要はない。
我々はヒトの王子を求めていないし、沈没しそうな船からヒトを救い出したりはしない。起こる全てに干渉しない。
ヒトは我々にとって太陽のようなものだ。
我々がイカロスだとするのなら。
お題 ―「太陽のような」
「0から9までの数字には風水的に意味があるんだよ」
思えば君には素質があった。小学生の頃から占いも風水もオカルトも、全てのブームは君が起こしていたから。
だから目の前の君が情報商材を売ろうとしてきたことに納得しているし、今更何も思わない。
でもそんなものに騙されると思っているなら、君のことを金輪際許さない。他に友達が居ないから、なんて理由で持ちかけた話ならもっと許さない。
君はずっと行け好かない奴だけど、そんな落ちぶれた奴じゃなかった。だから、まあ、何ていうか、そんな商材や打算抜きでなら、また会おうよ。
今度会う時はまた0から話そう。
数字の意味とかじゃなくて、君の話。
お題 ― 「0からの」