地面を踏む音が湿っていて、そこで雨が降っていることに気がついた。
だが天気に構っていられるほど暇ではない。
市長の汚職を追い始めて何年経っただろうか。もうすべてが限界だ。帳簿や通信履歴を洗い、履歴が度々消されてもめげずに張り付き続けた。
もう持ち合わせの証拠でどうにかするしかないだろう。問い詰めても故意である事を証明できなかった。仕方ない、仕方ないんだ。
「待て!おい!」
失敗は鍵を閉め忘れた事と、追っ手に追われてすぐ逃げた事だ。そして、人が居ない夜中に活動していた事。
「撃つぞ!本気だからな……!」
もはや豪雨と形容されるべき雨音と稲光が、すべてを覆い隠していた。今更神に助けを乞う事は無いが、乞うた所で届かないだろう。そういう日だった。
パンッ
「はいカットー!」
「ありがとうございました〜」
今日は良い調子だった。監督にも褒められた。
この1週間の内で一番良い日と言ってもいい。それに、今日は大好きな雨の日だ。リズムの良い雨。
ああ、金曜日か、駅前のケーキ屋はやってるんだろうか。
ショートケーキでも買って帰ろう。DVD何枚か借りて映画パーティーとでも洒落込もうかな。
お題 ―「ハッピーエンド」
3/29/2026, 5:04:23 PM