友人の佐藤は惚れっぽい。
自分は高校からの付き合いだが、それでもわかるほど惚れっぽい人間だ。しかも割と対象が広い。
人・メダカ・バス停・花……などなど、人だろうが物だろうが関係なく、数ヶ月はその対象に夢中になってしまうようだ。
そして、また佐藤は何度目かの「運命の相手」に出会ってしまったそうだ。今日はそれ(その人?)を紹介してくれるらしい。メールで住所が届き、それをマップアプリに入力してみると……。
そこは廃病院だった。数十年前に医療ミスとその訴訟によって揉めていたらしい。どういうつもりなのだろうか?
廃病院でしか会えない人?(物?)って何なんだろう。
気が進まないが、もう腹をくくって会うしかない。
「ほら、挨拶してくれよ」
と、佐藤が指を差した先には何もいない。廃病院は薄暗く、不良が割ったであろうガラスの破片や誰も居ない受付カウンターがあるばかりだ。本当にどうしてしまったんだろうか。
「地縛霊の沙耶子さんだよ。享年は34歳だってさ、まあちょっと位年上でも良いだろ?これから年齢は縮まるばかりだしさ」
まさか、人とも物とも言えない奴に夢中だとは思わなかった。いやどちらかといえば人か。まあ……メダカに夢中だった事を考えれば、これは健全だとも言える。
うん、放っておこう。幸せならそれでいいんだ。
お題 ―「love you」
2/23/2026, 6:16:33 PM