長縄に飛び込むタイミング
お菓子を食べるタイミング
電車に乗るタイミング
新しいクラスで声をかけるタイミング
落ち込んでる友達に駆け寄るタイミング
タイミングが合っていれば…ね。
私は虹やさん!
虹のタネを捕まえて、うめるのがしごとなの。
虹の始まりは2つあるでしょ。
私はそのうちの1つをうめてるの。
もうひとつはパートナーがうめているの。
もうひとりに会ってみたいな。
会ってみたくて、もうひとつの始まりに向けて
走ってみたの。
虹の橋を走って、走って…
見えた!
勢い余って、私の体がふわっとした。
黒い色が目にはいった。
スーツの男の人?
目の下が黒い!
なんか、つかれてる!
思ってたんとちがう!!
「おじさんも、虹のタネうめてるの?」
「ん、まぁ。」
おじさんの腕のなかでおろして欲しくてじたばたした。
地面に下ろされて、じっとおじさんを見る。
私は、くびをこてんと横にたおした。
「おじさん、だれに会いたいの?」
おじさんは、ハッとした顔をした。
「わたしは、好きな人にあいたいんだ。」
「そっかー。」
「きみは?」
「んー?ままとぱぱにあいたいの。」
「そっか、おたがい会えたらいいね。」
おじさんが、私のあたまをなでてくれた。
なんだか、なつかしいな。
「そうだね!」
きょうも、会いたいひとたちへ
虹をわたった私たちは、「元気にやってるよ。」
と伝えつづける。
空にかかる虹を通してー。
『虹の始まりを探して』
「おい!お前!めげるんじゃない!!」
前を歩く先輩が、汗を滴らせながら叫んでいる。
僕は少しイラッとして、前のジャングルを睨んだ。
こんなにも暑いのに長袖長ズボンの服を着ているせいで、どんどん汗の嫌な感じが体にこもってくる。
ジリジリと照りつける真夏の太陽の上で、僕らは目的地目指してジャングルを這い回る。
時折、生き物の生暖かい風が僕たちに吹きかかる。
「がんばれ、後少しだ。」
余裕そうに見えた先輩も、汗だくでゼェゼェ言っていて
少しだけ親近感が湧いた。
「先輩、どこかでシャワー浴びました?(笑)」
「んな訳ないだろ…」
先輩は、コンビニで売っているような安っちいタオルで
額を拭いた。
僕は、黙って足を進めた。
もう少しだ。
見慣れた建物にたどり着いた。
自動ドアに我先にと飛び込んだ。
「「ふぃ〜生き返る〜」」
先輩と僕は顔を見合わせて笑った。
お互いのシャツは、びしょびしょで、顔も真っ赤だった。
「もう、コンクリートジャングルはごめんですね。」
「外がジャングルなら、クーラーの効いた会社はオアシスだな。」
先輩はニヤリと笑った。
「ほら、オアシスだから存分に仕事できるな!」
「それは、勘弁してください。」
全ての、外で働く人々に感謝を。
『オアシス🏝️』
私は人に言っていない少し変わった能力がある。
もちろん、世界を救うことができる英雄になったりモテモテになったりするような夢のある力じゃない。
その能力は人の『涙の跡』を見るという些細な力だ。
その能力について3点ほど解説したいと思う。
①『涙の跡』はふつうの涙の跡と同じように、瞳から頬をつたうように頬に薄く浮かび上がっている。
②『涙の跡』は色と濃さによって感情と感情の度合いが分かる。
薄桃色は、嬉し涙。水色は、悲しみからきた涙。
たまに、これ以外の色も見るが、私にはさっぱり検討がつかない。さらに、色が濃いほど、その感情が強い。
③『涙の跡』は最後に流した涙を反映しているらしい。
なぜこんなことを長々と書くのか、それはー。
夏休みに入って、私は長らく会っていない親友と
会うことになった。
会ったのは今日の午前中。
私たちの最寄り駅のスターバックスで待ち合わせだった。暑さで人々が外出を諦めたのか店内はいつもより空いていた。店内に入ると彼女の姿はまだ見当たらず、
カフェオレを頼んで、窓際の二人席でスマホをいじっていた。
待ち合わせ時間ちょうど、
「ごめん!待った?」という懐かしい声が聞こえて、
スマホから目を上げると、私の待ち人がいた。
私は、あやうく静かな店内で大声を出してしまうところだった。
声は堪えたが、私の喉はひゅっと音を立てた。
「大丈夫?どしたん?」
彼女は私の驚いた顔に心配しているようだった。そっくりそのまま私はそのセリフを返したかった。
なぜなら、彼女の頬には今までの人生で見たことがないくらい濃い青色の『涙の跡』があったからだ。
さらに、私は彼女の頬に『涙の跡』を見たのも小中高と過ごしてきて、今日が初めてだ。
彼女はいつも、底抜けに明るかった。
根暗な私とは違って。
「マジでどしたの?」
ちょっとはにかみながら彼女は言った。
「…」
何も言葉が出てこない私が嫌になる。
昔、高校に行く途中、駅で人身事故があった。私は飛び込む寸前の彼を見た。彼の『涙の跡』は今の彼女より少し薄い青だった。
「なんか、考え事?」
「あぁ、ちょっと。」
「イラストレーターさんは大変ですな。」
彼女は、新作のフラペチーノとチョコスコーンをトレイに乗せて、どすんと私の前に座った。
彼女は、記憶のままで底抜けに明るかった。
彼女は、死んでしまいたいくらい悲しいはずなのに
なんでこんなに明るいんだ。
多少、感情が分かるくらいじゃ、どうにもならない。
なぁ、私はどうしたらいいんだ?
『涙の跡』
揺れる木陰と
笑って揺れる
僕と君