「ウチらってマジ合うよねー!」
「ね!今まで出来た友達とはレベチで仲良しだわ」
「ほんとに!絆つよつよじゃん!?」
などなど、、
クラスのいわゆる一軍女子達が賑やかにはしゃいでいる。
何が絆だか。
ひとたび誰かが席を外すようならそいつの悪口しか言わないくせに。
二軍どころかそういった括りに入れるかすら怪しいぼっちな私は心の中で悪態をつく。
トイレの個室にいる時、気づいていてか気づいていなくてかは知らないが悪口大会を開催するのはいい加減やめて欲しいものだ。
出ていきずらいだろう。
たまたま、その一軍女子のひとりしかもかなりリーダー格の子と2人になったので興味本位で聞いてみた。
悪口は言うが嫌がらせをしている訳ではないのでこの会話がいじめなどに繋がることはない、と思う。
「ねぇ、絆ってなんだと思う?」
「は?」
彼女は何言ってんのコイツ?と怪訝な顔をしたが私がいたって真面目な顔をしていたので答えてさっさと立ち去ろうと決めたようだ。
「ふつーに、仲良くて気が合って何するにも一緒、とか」
「あ、あと考え方が同じで誰かが頑張るなら全力で協力、応援出来る、、」
「ふーん」
「もういいでしょ、私教室かえるから」
「うん、ありがと」
彼女は小走りでトイレを出ていった。
、、彼女の言うようなものが絆と呼ぶのなら、私はやっぱりそんなもの要らない。
全く理解できない訳ではないが、それぞれ違った価値観で、お互いの為に意見を言い合えることが絆なのでは。
悪口として否定するのではなく、面と向かって話し合う。
そしてお互いの考えを広げ高め合う。
同じ考えを強制するのは絆とは呼ばない、と私は思う。
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『絆』
みんなが仮面を被って生きている。
色も形もそれぞれ。
ただ、完全に素顔が見えないようになっている。
家族だろうと外すことはしない。
1人の時だけ、仮面をとる。
でも、最近僕は思う。
たまには、人の前でも外す機会があったっていいのではないのかと。
まぁ、法律でつけることが決まっているのだから今は無理な話だが。
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『たまには』
つい先程、ひとつの命が天に昇った。
君と初めて会った時、君は穏やかに眠っていたっけ。
いつも構ってほしそうに僕に寄ってきた。
撫でてあげると心底気持ちよさそうに目を細めて。
毎回構えた訳ではないけど、僕は君が可愛くて愛おしくて仕方がなかった。
どんなに落ち込んでいても君を見ると癒された。
毎日起きてから寝るまで学校以外の時間はずっと一緒にいて離れることがなかった。
親が苦笑いするくらいには僕は君を溺愛していたし、君もきっと僕に1番懐いてくれていたと思う。
君の存在こそが僕の支えだった。
でも、明日からは君はいない。
いくら心の中にいてくれるとはいえ、目に見えないし触ることも出来ない。
失ったから大切さに気づいた、、いや、改めて大切だったと再確認した、とでも言うべきか。
大切さは日々感じていたのだから。
だからこそ今は、大好きな君に最大限の感謝を。
一緒にいてくれて本当にありがとう。
君のおかげで幸せだったよ。
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『大好きな君に』
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花、、
「あなたがもしおひなさまみたいな着物着たら、きっと可愛くて素敵なんでしょうね」
何時だかのひなまつりの日、親戚の人のそんな言葉に素直に頷くことが出来なかった。
それが僕にとって、自分が周りの人と少し違うという事に多少なりとも気づき始めるきっかけとなった。
僕はトランスジェンダー、まぁ性同一性障害ってやつ。
身体は女だが心は男。
なんとも面倒臭い感じに生まれてしまったなぁ。
この事はまだ誰にも言えていない。
自分の周りにはあまり、というか全くいないしね。
僕が着るとしたらお内裏様の服がいい。
落ち着いた色でありつつもカッコよさを持ち合わせ、左腰に差した刀。
想像するだけでわくわくしてしまう。
自分の子供がひなまつりにこんなこと考えてるなんて思いもしないんだろうな、この両親。
ふと、飾られた全体をぼんやりと見るとおひなさまと目が合った気がした。
もちろんそんなはず無いので僕の思い込みなのだろうが。
ただ僕は彼女から目が離せなくなっていた。
おひなさま、僕は僕を取り繕って生きていかなきゃいけないのかな。
それとも公表するかは別として自分らしく生きるべき?
、、答えてくれる訳がないが、僕にはひとつ思ったことがある。
それは、ひなまつりがあったから僕は自分の生き方についてちゃんと考えることが出来ている、という事だ。
ひなまつりがなくてもいつかは気付いて向き合う日がきていただろうが、早くに自覚すれば自分の生きたいように生きられる時間も伸びるのではないか。
だとするならば、
ひなまつり、ありがとうございます。
僕はこれから自分の生き方についてよく考え、自分の生きたいように生きていけるよう頑張ります。
ひなまつり正直面倒臭いと思う時もあったが、その行事にどんな発見を楽しみを見つけるかは人それぞれだろう。
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『ひなまつり』
人間は醜い。
自分の望みのためなら人を簡単に傷つける。
人に限らず、他の動物や植物も簡単に踏みにじる。
だから僕は人を辞めた。
宇宙から来たとかいう生物の策に乗ったのだ。
「人間を始末し、他の生物を救おう」
「そして、自然の摂理のみで成り立つ世界にしよう」
と。
僕は注射を打たれ、まだ人型ではあるが中身は違う。
その生物らと同じ、超能力を使える。
人間を片付け次第、奴らと同じ型に変わる。
何故奴らが僕を選んだのか知らないが、まあいい。
せいぜい頑張ってくれればいいさ。
その、周りの生物を犠牲に発達させてきた技術で。
たった1つの希望があるとすれば、人間の仲間内の団結力は素晴らしいほど硬いってことかな。
本来はその仲間の線の中に他の生物の存在入れられればよかったのだろうけど。
まぁ、無理か。
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『たった1つの希望』