火星に、生命体が存在することが分かった。
世界が驚き、興味を持つ。
どんな生物なのか、どうやって生活しているのか。
人が生命活動ができるように必要なもの、そして様々な調査が出来る道具を積んで科学者を乗せたロケットがすぐに飛び立った。
火星に到着し、火星に住む生物を捕まえ調べる。
家に入りを捜索し、食べ物や資源を取って調査する。
調査状況は結果は連日TVで放送された。
みんなが毎日の発表を楽しみにしていた。
そして地球でひとりの少年があることを考えていた。
これが人間の知りたい、という欲望の現れなのだろうか。
だったら欲望など、そんなものない方がいい。
誰かを傷つけ、生活を奪うくらいなら人間の欲望など最初からない方が良かったのではないか。
いや、でもその欲望、つまり生きたいという欲求がなければ人間が進歩することはなかったのだろう。
欲望とは生きるのに不可欠で、残酷なのか、と。
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『欲望』
私の家は少しだけ高い山にある。
おじいさんと2人暮らし。
親に捨てられて、家もご飯も何もない私を拾ってくれた。
おじいさんは若い頃旅行するのが大好きだったんだって。
写真を沢山見せてもらった。
大きな滝に珍しい動物、とっても美味しそうな料理。
今では腰が悪く長く歩けないから行っても山を降りてすぐの小さな街くらいだが。
いつか写真で見た場所へ行ってみたいと思った。
ある秋の冬が近づいてかなり寒くなってきた日、おじいさんは静かに息を引き取った。
もうかなり歳だったから無理もないだろう。
そして次の春、私は大きめのキャリーケースに服や食べ物を詰め込み程々のお金も持って家を出た。
しっかり鍵も閉めたし、おじいさんの遺品のひとつであるカメラも首にかけた。
私はこれから旅に出る。
写真でしか見たことがない、遠くの街へ。
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『遠くの街へ』
現実を見るのが辛かった。
見せつけられる自分の努力を遥かにしのぶ才能。
地位と財力しか見ない女たち。
精神的にも経済的にも苦しくなっていく生活。
今はもう居ない優しく励ましてくれた両親。
折れかかっていた心が先日、完全に折れた。
上司に言われた一言。
「君は何でここにいる?この役たたずが」
頑張って保ってきたものが全て崩れた。
だから、逃げた。
最近SNSで話題になっていた異世界に行ける方法。
やる前は半信半疑だったが本当だったのだ。
でも、僕は知らなかった。
逃げた先が必ずしも天国とは限らないんだって。
これだったらあのまま死んだ方が良かったかな。
目の前に広がる光景は地獄そのもの。
「あーあ、ようやく本当の意味での現実逃避、出来たと思ったのに」
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『現実逃避』
突然いなくなった僕の恋人。
新学期、同じクラスかどきどきしながら名簿を見た。
だが、同じクラスは愚か全クラスの名簿を見たが何処にもその名前は見当たらなかった。
留年という仮説が一瞬たったものの、あの子は成績優秀でその可能性は0に等しかった。
家に行きたい気持ちを抑え、何とか始業式と学級活動を乗り切ったが先生たちが何を言っていたかなんて全く頭に入っていない。
もはやクラスメイトの顔だって1人も分からない。
やっと帰れる時間になって僕は一番に教室から飛び出してあの子の家に向かった。
本当は毎日迎えに行きたいのだが、学校を挟んで真反対の方向なのでわざわざ来てもらうのが申し訳ないらしい。
LINEに連絡を入れるが既読すらつかない。
尚更心配な気持ちは大きくなり、足を急がせた。
「え、、?」
そこにはあの子の苗字とは違う苗字の表札の家があった。
ちょうど家から小学生くらいの子が出てきたので声をかけた。
ちなみにあの子に兄弟はいない。
「ねぇ、ちょっといいかな?」
「お兄ちゃん、誰?」
「近くに住んでる高校生」
「ここには最近引っ越してきたの?」
「ううん、違うよ」
「え?」
「1年半くらい前から住んでるよ」
おかしい、、。
あの子は2年くらい前からここに住んでいるはずだ。
でもこの子がふざけて嘘をついているようにも見えない。
いったいどういう事なのか。
顔見知りのお隣さんにも聞いてみたがまるで初対面のような態度で、やはりさっきの子の家族は1年半前くらいからここに住んでいると言われた。
家族や前のクラスメイトと話しているうちに、鈍感な僕でもあの子の存在自体がみんなの記憶などから消えていることに気がついた。
そして、僕はあの子がきっかけで去年クラスメイトと馴染むことが出来たので彼らは僕が話しかけてきたのに驚き、知らないと答えて僕を気味悪がっていた。
結局今日まであの子の居場所が分からないまま2ヶ月が経った。
何してるかな。そろそろ会いたいなぁ。
「君は今、何処にいるの、、?」
その頃、彼のクラスメイトたちの間でこんな会話が繰り広げられているなど彼は知らなかった。
「なあなあ、やっぱりあいつちょっとおかしいぜ」
「まぁ、1年とちょっと前交通事故で意識不明になって去年一回も学校来なかったのにこんなクラスメイトいなかったかって聞いて来るくらいだしな」
「ああ、いったい誰と勘違いしてるんだか」
「頭打った影響でまだボケてんのかもな」
彼の言う“君”は、、
最初から彼の意識の中以外では存在していなかった。
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『君は今』
明日、世界は終わるらしい。
生きているのは疲れる。
何か明確な原因があるけではない。
何となくダルい。
死にたいわけではないけど、この世界から消えたいと思うことはどうしてもある。
、、じゃあもういいんじゃないか、終わっても。
ふと空を見た。
まるで自分の心を映したような空だ。
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『物憂げな空』