突然いなくなった僕の恋人。
新学期、同じクラスかどきどきしながら名簿を見た。
だが、同じクラスは愚か全クラスの名簿を見たが何処にもその名前は見当たらなかった。
留年という仮説が一瞬たったものの、あの子は成績優秀でその可能性は0に等しかった。
家に行きたい気持ちを抑え、何とか始業式と学級活動を乗り切ったが先生たちが何を言っていたかなんて全く頭に入っていない。
もはやクラスメイトの顔だって1人も分からない。
やっと帰れる時間になって僕は一番に教室から飛び出してあの子の家に向かった。
本当は毎日迎えに行きたいのだが、学校を挟んで真反対の方向なのでわざわざ来てもらうのが申し訳ないらしい。
LINEに連絡を入れるが既読すらつかない。
尚更心配な気持ちは大きくなり、足を急がせた。
「え、、?」
そこにはあの子の苗字とは違う苗字の表札の家があった。
ちょうど家から小学生くらいの子が出てきたので声をかけた。
ちなみにあの子に兄弟はいない。
「ねぇ、ちょっといいかな?」
「お兄ちゃん、誰?」
「近くに住んでる高校生」
「ここには最近引っ越してきたの?」
「ううん、違うよ」
「え?」
「1年半くらい前から住んでるよ」
おかしい、、。
あの子は2年くらい前からここに住んでいるはずだ。
でもこの子がふざけて嘘をついているようにも見えない。
いったいどういう事なのか。
顔見知りのお隣さんにも聞いてみたがまるで初対面のような態度で、やはりさっきの子の家族は1年半前くらいからここに住んでいると言われた。
家族や前のクラスメイトと話しているうちに、鈍感な僕でもあの子の存在自体がみんなの記憶などから消えていることに気がついた。
そして、僕はあの子がきっかけで去年クラスメイトと馴染むことが出来たので彼らは僕が話しかけてきたのに驚き、知らないと答えて僕を気味悪がっていた。
結局今日まであの子の居場所が分からないまま2ヶ月が経った。
何してるかな。そろそろ会いたいなぁ。
「君は今、何処にいるの、、?」
その頃、彼のクラスメイトたちの間でこんな会話が繰り広げられているなど彼は知らなかった。
「なあなあ、やっぱりあいつちょっとおかしいぜ」
「まぁ、1年とちょっと前交通事故で意識不明になって去年一回も学校来なかったのにこんなクラスメイトいなかったかって聞いて来るくらいだしな」
「ああ、いったい誰と勘違いしてるんだか」
「頭打った影響でまだボケてんのかもな」
彼の言う“君”は、、
最初から彼の意識の中以外では存在していなかった。
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『君は今』
2/27/2024, 9:42:52 AM