恋の呪文はスキトキメキトキス。
愛の言葉はfeelslikeimfallinginlove.
なんかよく分からんけど、人は人を好きになるね。
それは、「ああ、あのコ可愛いー触りたいー」ってのとは違うのか?
推しを追っかけて、一人のアイドルに何万人ものファンがキャーキャー言うのとは違うのか?
ずっと一緒に過ごした幼馴染の女の子が、別の男と結婚することになって、「幸せになれよ」と願うのとは違うのか?
愛の言葉を考えてみた。
「あい」から始まる五十音。
そして、Iは私。
人と出愛、深く知り愛、愛し愛、ぶつかり愛、憎しみ愛、愛手との悲愛の別れを迎える。
すべては愛だ。
愛の為せる業だ。
人間って凄いな。
動物達よ、そこに愛はあるんか?
突っ走ってみる。
恋愛映画とかラブソングとかは好きじゃない。
愛は自分で試すもんだと思ってるから。
他人の恋愛事情に興味はないから。
そして、恋愛映画では泣けない。
どんなに悲しい失恋が描かれてても。
早く次の人見つけろよ。そうアドバイスしたくなる。
でも愛は、人類にとっての愛は大切だ。
隣人を愛すように隣国を愛せば、戦争なんか起こらない。
世界は繋がってゆくんだから。
海を越えて地球を一周するんだから。
そんな夢のような世界も、愛をもってすれば可能だ。
だから愛言葉は、
「世界は狭い、世界は同じ、世界は丸い、ただひとつ」
これだよね。
今日は娘がディズニーランド。
「It's a Small World」は休止してるみたいだけど、十分楽しめたかな。
仕事終わりの帰り道、駅で待ち合わせしよう。
駅から家までのほんの10分ほど、楽しかった思い出を聞かせてもらって、家族の愛と夜は深まりつつ、ついでに世界平和を祈ろう。
「この世界が、愛であふれますように」
その日は朝からおかしかった。
まずはいつものようにあいつを迎えに行く。
「おはよ」
「おーはよ、眠いね」
「宿題やった?」
「やるわけない」
登校途中の家で飼ってるドーベルマンが吠えない。
昨日の雨で出来た水たまりに、お前の姿が映ってない。
「あれ?お前、もしかして…死んだ?」
「え?何言ってんの、今さら」
そーいえば昨日、河原で奇妙な形の箱を見つけた。
開けてみたら、真っ赤なカマキリが入っていて、こちらに鎌を向けてくる。
「カマキリって赤かったっけ?」
「緑じゃなかった?」
「いや、黄色だろ。ドラえもんみたいな色だったよ」
「ドラえもんは青だって」
「ネズミに耳をかじられる前のドラえもんだよ」
カマキリは逃がして、箱は川に流した…はずなのに、道端に落ちているあれは何だ?
「昨日の箱…だな、どー見ても。お前、拾った?」
「拾ってないよ。カマキリは家の庭に埋めたけど」
「赤いカマキリ?」
「カマキリは青だって」
箱を開けたら、黄色いカマキリが入っていて、こちらに鎌を向けてくる。
「なーなんでお前、死んだの?」
「宿題やるの嫌だったから」
「生きてたってやらなかったろ」
「死んだら、やらなくても怒られないだろ」
カマキリは、箱から飛び出して空高く飛んでいった。
箱だけが残ったが、形が奇妙で使い勝手が悪そうなので、昨日の河原に放り投げた。
「なんでお前、死んだのに学校行くの?」
「…あ、死んだら行かなくてもいいのか」
「俺も迎えに行かなくてよかったのに」
「パブロフの犬ってやつだな」
「これ、そーか?」
登校途中の家で飼ってるドーベルマンが吠えるのも、パブロフの犬としての習性だろう。
今日は吠えなかったけど、いつもならフサフサの白い毛を逆立てて、俺達に吠えてくるんだ。
「ところでさ、俺達って、いつから友達だったんだっけ?」
「さあ…友達だったかな」
「違うのか?」
「今朝初めて迎えに来ただろ。昨日だって偶然河原で会って、あの変な箱見つけたから二人で盛り上がったけどさ」
「そーだっけ?じゃあ、俺が迎えに行ったのはパブロフじゃないじゃん」
「だいたいお前、イジメられっ子で友達なんていないだろ。まあ、イジメを苦に自殺した俺が言えたもんでもないけど。生前会ったことないもんな」
「…そっか。あの河原で、川に浮いてるお前を見つけたんだった。その後あの箱を見つけて…あれ?どこで間違えたのかな?」
「何を間違えたんだ?」
「死んだ友達と一緒に学校行けないだろ。行っちゃダメだろ」
「だから、友達じゃないって」
学校は静まり返っていた。
教室には誰もいなくて、お前の机の上にはあの箱が置かれていた。
「宿題、やらなくても平気だったみたいだな。助かった」
「そーゆー問題か?学校まで死んでるぞ」
「この箱のせいかな。河原に捨てたはずだもんな」
「カマキリは入ってんのか?今度は何色だ?」
「いや…中から声が聞こえる。人間の声だ」
「ホントだ。…これ、俺達をイジメてたあいつらの声だな」
校庭で箱を燃やした。
俺達二人。他には誰もいない校庭。
「さて、どーする?」
「さあ…俺達の力じゃどーにもならないことが起きてるみたいだしな」
「諦めが早いな」
「だからイジメられんのかな…でも、人生なんてこんなもんだよ」
「もう、終わってるけどな、人生」
チャイムが鳴る。
俺達は慌てて校舎に戻る。
「パブロフの犬ってやつだな」
二人で笑った。
有名になりたい、彼はそう言ってこの町を出ていった。
あれから五年。
今や、テレビで彼の顔を見ない日はないほどの超売れっ子となった。
そしてある日、自宅マンションで一人、自殺未遂を起こしたのだった。
深夜、電話が鳴る。
「よう、久し振り。どうだ、最近は」
あの頃と変わらない話し方。ずっと友達だったかのように。
「こっちは特に変わらないよ。大変そうなのはそっちだろ」
「ああ、騒いでんのは周りだけだけどな。俺はいつもと変わらない」
「お騒がせ過ぎるんだよ。今日もワイドショーが取り上げてたぞ」
「他にネタがないんだろ。他人の不幸は蜜の味ってな」
「美味しいネタくれてやんなよ。プライベート無くなんぞ」
「もともとねえよ、そんなもん」
念願叶って有名人。
だが、様々な代償も払ったはずだ。
見たくないものを見て、したくないことをしてきたかもしれない。
彼は何も言わないから、こちらからも聞かない。
「ところでさ、俺の話、どこまで聞いてんの?」
「話って…リストカットした話?」
「ハッキリ言うなって。思い出したくないんだから」
「思い出したくないようなことすんなよ」
「週刊誌くらい読んでんだろ?どんなこと書いてある?」
「さあ…ほとんど読んでない」
「お前…俺のこと気になんないのかよ。親友だろ」
「親友だったら、手首切る前に相談しろよ」
「…ごもっとも」
親友だったはずだ。
何か企む時はいつも一緒だった。
なのに、彼は一人勝手に東京行きを決めて、この町を出ていった。
俺も「行かないでくれ」とは言わなかったが、心のどこかで思いとどまることを願ってた。
…あの頃は。
「お前は成功したんだからさ、今さら泣き言言うなよ」
「泣き言なんか言ってないって。ただ、皆がどう見てるか気になってさ」
「だから、そんなの気にすんなって」
「あのさ、一歩外に出たら、誰もが俺のこと知ってんだぜ。俺が死のうとしたことも。気にせずにいられると思うか?」
「それも覚悟の上だろ。この町を捨てた時から」
「…捨てたとか言うなよ。そこは俺の故郷だぜ」
「じゃあ、帰ってくるか?そっちの全部捨てて」
「さっきから何怒ってんだよ。こんな時間に、迷惑だったか?」
「時間はどうでもいいよ。直接会って話せよ」
「…会ってくれんのか?」
「死ぬほどツライことがあったんならな。お前が普通の人間だってことを知ってる奴が必要だろ?」
画面越しじゃないお前に会えば、あの頃の二人が蘇る。
あの頃の二人なら、死を選ぶほどお前を苦しませたりしない。
一緒に悩んでやる奴が一人いれば、俺達は何だって乗り越えられる。
だから、もうどこへも行かないで欲しい。
俺の心だけ置き去りにして、一人離れていかないで欲しい。
「じゃあ、明日朝一番で帰るわ」
「本気かよ」
「本気だよ。俺を救ってくれる奴がいるんだから、帰るしかないだろ」
「明日の仕事は?」
「映画の撮影。明日から始まるんだけど、すっぽかすよ」
「映画?タイトルは?」
「さあ…何だったかな。くだらないラブコメだよ、どーせ」
「ラブコメ?お前が?」
「あんなことして、そんなもん出てる場合じゃないっつーのにな。マネージャーがアホなんだよ、まったく」
「…それ、観たいよ。お前のラブコメ。ちゃんと撮り終えてから帰って来いよ」
「なんでだよ。なんでそーなるんだよ」
「ずっと待ってるからさ。スクリーンで笑うお前の顔、見せてくれよ」
「えぇ…んー、まあいいけど」
心変わりは突然に。
たぶん、あいつが笑っていてくれれば、それでいいんだ。
もう、あの頃の俺達とは違う。
絆が薄れた訳でもなく、親友でなくなった訳でもない。
だけど、それぞれの道を歩き出して、望まずとも大人になっていく俺達は、離れて暮らすことも当たり前に受け入れなければならないんだろう。
あの頃の思い出はそのままに、俺達はつながっている。
だからもう、「行かないで」とは言わない。
「撮影、頑張れよ」
俺は電話を切った。
青と赤と黒。
そして時に、雲に覆われた白。
この四色は、風水の世界での方角を表すという。
そしてそれぞれの方角に、四人の神様が存在するという。
青龍、朱雀、玄武、白虎。
どこまでも続く青い空を、青い龍が飛んでゆく。
その色に紛れるように、溶け込むように、伝説の生き物である所以だろうか。
赤く染まる夕焼け空には、鳳凰、つまり火の鳥か。
まさに燃えるような、真っ赤な空に翼を広げて、優雅に舞う姿が心に浮かぶ。
黒く闇に沈む夜空には、亀と蛇が絡み合うような霊獣が潜む。
得体の知れぬ、暗黒の守護神。
長寿や健康が融合し、最強の力を誇る。
そして時に、雲に覆われた白。
ホワイトタイガーなら東武動物公園。
幕末維新の会津の少年達は、燃え盛る会津の町を見て自決した。
最後の方は少し血迷って、力不足を否めない。
それでも、どこまでも続く青い空を見てたら、その辺はどうでもよくなってきた。
ただただ、空って基本の四色構成なんだなーと思っただけ。
そこから話を広げていこうかと思ったが…力不足は否めない。
もう何年もネクタイを締めていない。
それが許される職場なので。
スーツは着ているが、襟元は緩めた状態で、窮屈さもない。
そもそもが、ネクタイって何のため?って思いが強かったから、現状はとても理想的だ。
単なる布を、体の真ん中にブラブラさせて、あったかくなる訳でもなければ、涼しくなる訳でもない。
見た目がカッコいいかどうかは人それぞれだと思う。
スーツとセットで身につけるものとして存在するんだと思うけど、無くてもなんも困らない。
いや、あってなんのメリットが?
気になって調べてみたら、一本何万円もするネクタイもある。
何ですか?これ。
これが、富の象徴ってやつなんでしょうか。
同様に、腕時計。
折しも、つい先ほど仕事仲間のグループLINEで、最近新調したという腕時計を自慢するメッセージが回ってきた。
腕時計って、出先で時間を知るために使うものなんじゃないの?
今の時間を知るために、何十万円の出費が必要なの?
私には分からない。
もっと有意義なお金の使い方がある気がする。
いやこれは、過去、ギャンブルにハマって日々お金を溶かしていた男の言うセリフじゃないですね。
あのお金がもしまだ手元に残っていたとしたら、いったいいくらの腕時計が買えたやら。
まあ、買わんかったけど。
人それぞれ、お金の使い方には正解不正解なんかないってことで、今回はシメとさせていただきます。
そして、お題の「衣替え」を完全に無視していることに今気付いた。
なんとなく、それっぽいこと書き始めたつもりだったんだけど。