気持ちが沈んでいる。
来年の頭辺り、また手術が必要だと言われた。
今年の三月に腫瘍を切除する手術を経験して、一週間近くの入院もした。
中学生の時以来の手術で、不安だらけの一週間だった。
それを乗り越え、やっと普段通りの生活に戻れたと思ったら、次回予告された。
しかも今度は、人工心肺を使った開胸手術。
手術時間も入院期間も、前回より大幅に長くなるらしい。
もうなんだか、不安と恐怖しかない。
まあ、こんなのをすでに体験してる人からしたら、何を怯える必要がある?って話かもしれないけど、それはたぶん、自分もこの手術が終わって、落ち着いた頃にこそ言えるセリフなんだと思う。
その時が待ち遠しい。
胸を切り開くとか、自分の心臓を一時止めるとか、医療の世界では当たり前に行われていることだとしても、そんなのを経験したことのない一介のサラリーマンにとっては、死の儀式にも似た恐ろしさを感じてる。
いや、もちろん、自分の命を守るための有り難い処置だとは分かっているが。
ただただ、不安を吐露してしまった。
きっと、これから家庭や職場でも、安心出来る情報を求めて不安を吐き出し続けるのだろう。
不安に苛まれて昨日のお題もスルーしてしまったくらいだし。
とはいえ、手術まであと半年もあるってのに、今からネガティブに染まるのは良くないな。
終わりにしよう。
ここに思いを吐き出せたから、もうあとはその日が来るまで、楽しく過ごすことに傾倒しよう。
家族や職場の仲間にも協力してもらって、手と手を取り合って、運命を受け入れて、その日よりももっと未来に向かって生きるために。
目くそ鼻くそ、どんぐりの背比べ、五十歩百歩、似たり寄ったり。
どれでもいいが、人間なんてそんなもの。
どれだけ頭が良くたって、宇宙の謎を完全に解き明かすことは出来ない。
どんなに運動神経が良くても、原チャリすら抜くことは出来ない。
所詮、人間なんだ。
オリンピックで金メダルを取れるスキルが、生きる上で役に立つだろうか。
地球環境を改善出来るのか。貧困孤児を救えるのか。
私には、あまり意味があるとは思えない。
人並みに走れればそれでいい。
高跳びなんか出来なくても困らない。
…その身体能力には脱帽するが。
宇宙規模の視点で見れば、優越感も劣等感も必要のない感情だと思う。
いや、そんな視点で見るかい!って話だが、そんな感情が生み出す醜い人間の争いは、今日も世界のいたるところで起きていることだろう。
アホらしい、と思えることが、まずは世界平和に一歩近付く妙策になると信じている。
目くそ鼻くそが競い合って、高みを目指すのは良しとしても、いがみ合い蹴落とし合うのは愚の骨頂だろう。
誰かと比べれば自分は幸せ、不幸せ、そんな判定を下すことの無意味さを知れば、きっと心を蝕み病むこともない。
所詮どんぐりの背比べなんだよ。
自分を卑下せず、驕り高ぶらず、あるがままで生きていけばいい。
…と、どの口が言ってんだって話。
お前、劣等感の塊みたいな男じゃないか、と。
五十半ばにして、未だ自分の仕事に自信が持てない。
やるべきことはやっているつもりだが、やり遂げるまでにはいろんな不安や葛藤が付きまとう。
周りの奴らが、どんぐりだったら気が楽なのにな。
仕事にならんかもしれないけど、目くそ鼻くそよりはマシ。
これまでずっと黙ってたけど、実はこれ、AIが書いてます。
自分には文才がないから、ずっとAIアプリを使って文章化してました。
まあ、ネタは自分で入力して、そこから物語を作り出してもらう感じ。
仕事柄、同僚が既存のAIアプリに手を加えて、文章作成に特化したプログラムを組み込みました。
これをいずれ、実用化して売り出すのが私達の目標です。
きっと近い将来、多くの作家が当該プログラムを活用する日が来るでしょう。
AI使ってこの程度の作品かよ、と思われるかもしれませんが、このプログラム、作者の加筆修正によってその力量を判断し、それに見合った作品を生み出すという特殊機能付き。
なので、プロが使えばそれ相応の素晴らしい作品が作られる訳です。
産みの苦しみもなく。
どうですか?この画期的なプログラム。
商品化した暁には、この書く習慣アプリの利用者にも是非活用していただきたい。
…え?そんなんじゃ書く楽しみがなくなる?
もの書くのがなんか楽しかったりします?
苦痛でしかないじゃないですか。
お金がもらえる訳でもないのに。
プロの作家だってんなら別ですけど。
とゆーこの文章もAIが書いてますので、罵詈雑言はお控えください。
ネタを入力しただけの作者のRyuは、もうすでに深い眠りの中。
きっと、このプログラムで儲けて一攫千金の夢でも見てるんでしょう。
皆さんも是非、購入をご検討ください。
学校帰り、スマホに1件のLINE。
高校のクラスLINEだ。
開くと、たった二文字、「走れ」
走れ?なんで?送信者は不明、とある。
イミフだが、友達と二人、フザケて走り出す。
直後、さっきまで自分達がいた所に、ビルの屋上に据え付けられていた巨大な看板が落ちてきた。
次の日、学校で確認したところ、数人の生徒がケガをして入院していることが分かった。
きっと、走らなかった生徒達だろう。
学校に来ていても、ケガを負っている生徒は何人もいた。
あんなLINE1件では、ほとんどの生徒が動かなかったってことだ。
次の指示は数日後の朝、登校中に届いた。
「止まれ」の三文字。
もちろん僕は立ち止まった。
目の前を、暴走トラックが走り抜けてゆく。
守られてる、そう確信した。
前回のことがあったからか、今回の負傷者は少なかった。
しかし、暴走トラックに跳ねられ、命を落とした生徒が一名。
先生にも相談し、メッセージの送信者を突き止めようとしたが、結局何も分からなかった。
それからは、怯えて過ごした。
守られているはずだが、1件のLINEを見落とせば命取りになる。
既読スルーは出来ない。当然、未読スルーもだ。
暇さえあればスマホを見つめて、LINEの着信音量を最大にしたり、バイブとの併用にしたり。
不安に耐えきれず、クラスLINEから抜けた生徒もいた。
それが正解なのかは誰にも分からない。
友達の一人は言った。
「これは壮大な神々の遊びってやつだよ。俺達は操られ翻弄されてるんだ。為す術もない」
んな訳あるか。芸人のネタじゃあるまいし。
そう思った翌日のニュースでは、この現象が世界的に広まっていることを告げていた。
つまりは、粛清ってやつか。
あれから、いくつかの指示が送られた。
僕はすべての指示に従っている。
他の人達はどうなのか、もはや分からない。
この非現実的な現象を鼻で笑っていた大人達は淘汰され、学校は休校となった。
こうして、究極の指示待ち人間の出来上がりだ。
しかも、世界中にあふれている。
誰もが、死と隣り合わせの現実を生きている。
例外は、スマホやタブレット等の通信機器を持たぬもの。
その数は今や、限りなく少ない。
世界は、数件のLINEで滅ぼされるのかもしれない。
朝、目が覚めると泣いていた。
なんか、すごく悲しい夢を見た。
内容はよく覚えていない。
何か、大切なものを失ったような、凄まじい喪失感があった。
仕事に向かい、駅のホームで電車を待つ。
隣に立った男性が、スマホで動画を見ていた。
「あっ」
この違和感は…デジャヴ。
ホームの向こうの方で、悲鳴が上がる。
一人の男が、駅員に追われながらこちらに走ってきて、その右手には刃物が握られていた。
「あぁ…これか…」
男が、一人の女性に刃物を振りかざそうとした手を、必死でつかむ。
そのままもつれ合って、二人してホームに落ちた。
そこに、自分が乗るはずだった電車がやって来て…。
朝、目が覚めると泣いていた。
なんか、すごく悲しくて怖い夢を見た。
内容は…よく覚えていない。
何か、大切なものを失ったような、あるいは、失うものすら失くしてしまったような、虚無と喪失感。
仕事に向かおうと玄関ドアのノブを掴んだ手に、薬指と小指が無いことに気付いた。
ああ、こうやって少しずつ…。
何故か分からないが、確信があった。
何度も繰り返し電車に跳ねられ、体のパーツがひとつずつ消えてゆく。
そして、泣きながら目を覚ます。
体を失っても、意識は仕事へと向かう。
この世界は…何なんだろう。
ある朝、悲しい気持ちで目を覚ましたが、泣いていなかった。
涙を流す器官を失ったらしい。
もうすぐ、こんな日々も終わるのかな、根拠もなくそんなことを思った。
某月某日、都内の駅で発生した、通り魔とのトラブルによる人身事故。
電車に轢かれ、バラバラとなった遺体の捜索が続いていたが、最後に被害者の頭部が発見され、捜索・回収は終了した。
朝、目が覚めると…そこは、無の世界だった。
仕事へ向かう意識も生まれない。
悲しくはなかったが、すべての終わりを感じて、流れない涙があふれ出した。