君と出逢ってから、ずっと残したい思い出が増えたんだ。
他愛ない出来事でさえも、全部記録したいほど大切なイベントに変わるから、スマホの画像フォルダはいつも「容量不足」をアピールしてくる。
大丈夫。
容量無制限のフォトストレージを使えるようにしたから。
君のためなら出費は惜しまない。
君はお姫様。でも僕は王子様にはなれない。
でもたまには、王子様気分で君をエスコートするよ。
それくらいはいいだろ。
きっとこの先、君の本当の王子様が現れるかもしれないけど、これだけは覚えておいて欲しい。
君を本当に大切に思っているのは、これから出会う彼氏や旦那様じゃない。
君もきっと、同じ立場になったら分かる。
君と出逢って、たくさんの思い出を作って、君は成長して、いつの日か僕のもとを離れてゆく。
君はお姫様。僕はこの家の王様だ。
君がこの城を出ていくその日には、僕はきっと泣きながら君を送り出すよ。
だって君を本当に大切に思っているのは、やっと出会えた彼氏や旦那様じゃない、僕だから。
失恋や離婚のように、僕達の縁は断ち切れたりしない。
世の中にはラブソングがあふれてるけど、本当に大切な存在は、恋をして愛し合った後に生まれてくるんだと思う。
だからそのためにも、素敵な王子様を見つけて欲しい。
きっと君も出逢えるよ。
王子様と、そして、王子様よりもずっと大切な存在に。
耳を澄ますと あなたの歌声が聴こえてくる
幸せだった頃 いつもキッチンで歌っていた
誰の歌だったかも覚えていないほど 遠い記憶
ただ いつも笑顔で 澄んだ歌声で
耳を澄ますと あの日の言い争いの声がする
朝食は冷めて オブジェのように並べられて
行ってきますがサヨナラに聞こえた 辛い記憶
もう あなたの歌は 悲しい思い出
耳を澄ませても お互いの想いは届かなかった
あんなに幸せで とてもうまくやれていたのに
あなたの物音が 僕に話しかける軽やかな声が
いつしか雨音に すべてが掻き消されるように
昨日街の交差点で 通りの向こうを歩くあなたを見たんだ
雑踏に消えてゆくあなたの隣には 幸せそうな男性の姿が
彼に話しかけるあなたの声は聞こえなかったけど
きっと今も あの頃と同じ 僕の知っている声で
もう二度と聴くことのない あの歌を歌うのかな
それとももう 歌の歌詞も忘れてしまったのかな
どれだけ耳を澄ませても あなたは答えてくれないけれど
僕は歩き出す 隣りにいる娘と手を繋いで
廃屋の裏で、二人の女子高生が子犬を見つけた。
「可愛い!」
「捨てられちゃったんだ。可哀想に」
「お腹空いてるかな?」
「何かご飯持ってきてあげようか」
二人は、近くの店でドッグフードを買ってきた。
「あ、もう一匹いる!」
「ホントだ。兄弟かな?」
「見て。この子達、尻尾くるくる回してる」
「嬉しいんだね。明日もまた持ってきてあげるね」
帰り道、空に大きな雲がいくつも浮いていた。
「ね、あの子達のことは、二人だけの秘密ね」
「うん。でもあんまりドッグフード食べなかったね」
「子犬だから、ミルクとかの方がいいのかな」
「ところでさ、あそこに廃屋なんてあったっけ?」
二匹の犬は尻尾を回し、交信している。
「異星人とのコンタクト、成功」
「この星の生物に擬態し、この星の食物を手に入れた」
「引き続き、異星人の生態を監視する」
「母船は、雲に隠れ待機願う。追って攻撃指示を送る」
二匹の犬は交信を切り、二人で会話する。
「それにしても、この食べ物、美味かったな」
「母船に持ち帰るんだから、それ以上食うなよ」
「もう少しだけ、食べてもバレないんじゃないか?」
「仕方ないな。二人だけの秘密だぞ」
その夜、廃屋型のUFOが、静かに母船に向け飛び立ったことを、誰も知らない。
今日は、今日だけは、優しくしないでとは言い難い。
何故なら、あと七つの🤍を集めれば、2000の大台に乗れるから。
ハートは人の優しさの象徴だから。
それはそれは、優しくして欲しい。
優しさは、いくらあっても持て余すことはない。
思えば、1000の大台に乗る直前にも、こんな姑息な手段を使ってたな。
企み通り、あの時は1000を超えました。
その節は誠にありがとうございます。
世間は GW 真っ只中。
せめてものお礼として、「Have a Nice Late G.W.!!!」
これだけは言わせていただきたい。
せっかくなので、このアプリに対する感想など。
アプリに感謝なのは言うまでもないが、こんなにも、ものを書こうとする人達がたくさんいるんだな、と。
自分がその一人として参加出来ていることにも感謝。
絵にしろ音楽にしろ文章にしろ、何もないところからものを生み出すのは難しくて楽しい。
そこに、縛りをひとつ与えられると、さらに難しくて楽しくなることを知った。
作品の出来は置いといて、何かを作り出すことは自分にとって必要で、有意義で、天命なのかもしれない。
過去には DTM で作曲をしたり、日常を撮ったホームビデオをMV風に編集したり、もちろんたくさんの落書きも残っている。
作品の出来は置いといて、だ。
でも、すべて楽しかった。
何もないところから、世界にひとつだけの、自分だけの作品を生み出すのが。
何かを吸収することも必要だけど、それを利用してアウトプットを作り出したい。
そしてそのアウトプットを誰かに見てもらいたい。
そーゆー人がたくさん集まってるんだろうな、ここには。
なんかよく分からない感想だけど、もうそれだけでこの国は豊かだなって思える。
お金や兵器をどれだけ積み上げても、この豊かさには敵わないんじゃないかと。
言葉だけで文字だけで、どんな世界だって作り出せる。
最強じゃないか、これは。
人を笑わせることも泣かせることも、憤らせることだって出来る。
そんな作品をたくさん読んできた。
そんな素晴らしい世界の片隅にでも自分の存在を感じられたら、これはもう、生きる意味にだってなり得る。
だから…私に🤍をください。
部屋に散らばるクレヨン。壁に描かれた落書き。
すべての色を使って描かれたような、カラフルな動物達の絵。
赤い象、青いキリン、黄色いカバに、緑のライオン、紫のダチョウもいる。
すべての壁に横向きに描かれ、左に向かって行進しているみたいだ。
家具は何ひとつない。
これらの絵を描くために用意されたような部屋。
「ずいぶん大胆な絵だな。絵は上手いが、色使いが理解出来ん」
「この部屋の住人は生まれつきの色覚異常でしてね。これらの動物の本当の色を見たことがなかったんだと思います。なので、色は適当なのかもしれませんね」
「なるほど。その住人が今回の事件の加害者ってわけか」
二人の刑事が部屋の真ん中で話している。
今回の事件の容疑者は、色覚異常に加え、精神疾患もあるという。
この絵を見るからに、さもありなん、という感じだ。
二十歳の男性だというが、壁に何故こんな絵を…。
「被害者は、容疑者の恋人の女性ですね。精神疾患のある彼を、献身的に支えていたと言いますが…」
「殺害現場は、この部屋だな」
「ええ、実は、別れ話をするためにこの部屋にやってきていたそうです。介護に疲れたと、友達に話していたそうで」
その時、壁に描かれた動物達が、ゆっくりと動き出した…気がした。
二人の刑事は目を見張る。
左回りに、四方の壁を移動して、刑事達を取り囲む。
ゆっくりとした歩みが、次第に速度を上げていき、カラフルだった動物達が、混じり、別の存在へと姿を変えてゆく。
象とキリンとカバの三色が、悪意に満ちた黒となり、そこに他の色が混じることで、不穏な色合いが生まれ…。
「何すか、あれ」
部屋の片隅に巨大な影。
「…アザトースだ」
「えっ…?」
「クトゥルフ神話に登場する万物の王だよ」
「いったい何の話を…」
「そうか、そのために、これだけの動物達を…」
部屋が暗闇に包まれた。
だが、それ以上に暗い存在がすぐそこにいる。
「この部屋を出るぞ」
暗い存在が空を切って飛びかかると同時に、二人は部屋を飛び出した。
外には、何らいつもと変わりない、日常の風景が広がっていた。
「アザトース?何だそれ?」
彼は案の定、何も覚えていなかった。
彼がそんなものに詳しいはずがない。
事件は、精神疾患を持つ男の逮捕で幕を閉じた。
真相は…分からない。
人知を超えた何かが…笑い飛ばされるに決まってる。
だが、私はもう、あの部屋には近付かない。
動物園にすら、行くことに恐怖を感じている。
もしそこで、赤い象や青いキリン、黄色いカバを見てしまったら…。