Ryu

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廃屋の裏で、二人の女子高生が子犬を見つけた。

「可愛い!」
「捨てられちゃったんだ。可哀想に」
「お腹空いてるかな?」
「何かご飯持ってきてあげようか」

二人は、近くの店でドッグフードを買ってきた。

「あ、もう一匹いる!」
「ホントだ。兄弟かな?」
「見て。この子達、尻尾くるくる回してる」
「嬉しいんだね。明日もまた持ってきてあげるね」

帰り道、空に大きな雲がいくつも浮いていた。

「ね、あの子達のことは、二人だけの秘密ね」
「うん。でもあんまりドッグフード食べなかったね」
「子犬だから、ミルクとかの方がいいのかな」
「ところでさ、あそこに廃屋なんてあったっけ?」

二匹の犬は尻尾を回し、交信している。

「異星人とのコンタクト、成功」
「この星の生物に擬態し、この星の食物を手に入れた」
「引き続き、異星人の生態を監視する」
「母船は、雲に隠れ待機願う。追って攻撃指示を送る」

二匹の犬は交信を切り、二人で会話する。

「それにしても、この食べ物、美味かったな」
「母船に持ち帰るんだから、それ以上食うなよ」
「もう少しだけ、食べてもバレないんじゃないか?」
「仕方ないな。二人だけの秘密だぞ」

その夜、廃屋型のUFOが、静かに母船に向け飛び立ったことを、誰も知らない。

5/4/2024, 1:12:51 AM