耳を澄ますと あなたの歌声が聴こえてくる
幸せだった頃 いつもキッチンで歌っていた
誰の歌だったかも覚えていないほど 遠い記憶
ただ いつも笑顔で 澄んだ歌声で
耳を澄ますと あの日の言い争いの声がする
朝食は冷めて オブジェのように並べられて
行ってきますがサヨナラに聞こえた 辛い記憶
もう あなたの歌は 悲しい思い出
耳を澄ませても お互いの想いは届かなかった
あんなに幸せで とてもうまくやれていたのに
あなたの物音が 僕に話しかける軽やかな声が
いつしか雨音に すべてが掻き消されるように
昨日街の交差点で 通りの向こうを歩くあなたを見たんだ
雑踏に消えてゆくあなたの隣には 幸せそうな男性の姿が
彼に話しかけるあなたの声は聞こえなかったけど
きっと今も あの頃と同じ 僕の知っている声で
もう二度と聴くことのない あの歌を歌うのかな
それとももう 歌の歌詞も忘れてしまったのかな
どれだけ耳を澄ませても あなたは答えてくれないけれど
僕は歩き出す 隣りにいる娘と手を繋いで
5/5/2024, 2:43:49 AM