1つだけ
何かを選ぶことは何かを選ばないこと
それを略せば「1つだけ」
大切なもの
喧騒を歩く。
様々なチェーン店が立ち並ぶ商店街。
過ぎ去ったばかりの冬を恋しく想いながら2階にイートインスペースのあるドーナツ屋へと入店する。
窓越しの席に着く。
僕は自他境界が曖昧になっている。
人生を旅と例える癖は、とある本の模倣。
コーヒーを飲むようになったのは、尊敬する先輩の模倣。
僕はいろんな人の好きだと思った部分を模倣している。
本当の自分を知らない。
僕は窓の外に異質な想像を膨らませる。
まるで海外の雪国のような景色。
これは誰の模倣だろう。
いや、『自分』が好きで選んだものを『自分』で編集しているのだ。
僕は窓の外に夢を見る。
そこには赤や黄、緑の家々がまばらに、霧のかかる青の湖、そして白の地や山々が広がっている。
エイプリルフール
車窓はまるで絵画のよう。
車内が額縁で、切り取られている。
あの雲一つ。
僕は朝の電車に揺られて考える。
僕は虚言癖である。
悪く言えば目立ちたがり、良く言えば自分を大事にしている。
皆には幽霊が見えるとか、前世の記憶があるとか豪語している。
正直もう辞めたい、綻びが出そうになると苦しくなる。
怖い。
しかし一度走り出したら後戻りはできない。電車のように。
僕は学校の最寄駅を無視する。いや足を動かせなかった。
車窓から見える絵には嘘はない。
幸せに
「幸せな結婚生活を送る方法は?!」
「いい人は見つかったか?」
「その歳でまだ結婚してないの?」
人にはその年相応の悩みがついてくると聞く。
私にも今の世の中ならではの悩みがついている。
学生の頃からの友人が一人結婚するたびに、私の心は焼け落ちて、穴が空いていく。
一昔前よりかは弱火になった結婚=幸せの考えだが、私のことを刻々と蝕んでいた。
私には結婚願望はもとよりない。
しかし、『焦り』というものはそんなものを焼き尽くしてしまう。
真っ暗な空、無限に広がるような草原、そして些細な虫の音しか聞こえない自然。
私はソロキャンプで炎を眺めながらそんな悩みを考えていた。
人はみんな何かに恋をしている。
私はこれだ。ただそれだけ
ハッピーエンド
僕はバッドエンドが好きだ。
どんな物語も最後にはすべてが消えてなくなればいいと思っている。
だから僕は今日もそんな作品と出会うために映画館へ行く。
映画館の席に着いて、館内が暗くなり、扉が閉められる。
その瞬間にいつも恐怖を感じる。
もしもこの恐怖心がこの館内にいる人たちと共有されたのならば。
ここで映画を見ている人たちはみんな、映画なんて見てられない状態になるだろう。
それはまさしくバッドエンドではないだろうか。
しかし、ここにいる人たちはみんなハッピーエンドを求めて来ているのではないのか。
そんな人達に僕の自分勝手なバッドエンドを押し付けるのは『不遜』である。