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3/22/2026, 9:58:00 AM

『二人ぼっち』

このお題を見て最初に頭に浮かんだのは、サイボーグ009のラストシーンだ。

宇宙空間に一人取り残された009を
、002が助けに行くが燃料が尽きてしまい、二人は地球の成層圏に突入する。

流星のように燃え尽きてしまうふたり。

この時002のジェットが009ジョーに言うのだ。

「ジョー、きみはどこにおちたい?」

あれは、何度も思い出す名シーンだ。

3/21/2026, 5:02:40 AM

『夢が醒める前に』

​ねえ、どうしてそんなことを言うの。
どうしてそんな態度を取るの。

不満そうに。
つまらなそうに。
舌打ちなんかして。
そして時には、こちらを無視して。

私が淹れた淹れたコーヒー、そんなに不味いかしら。
ちょっとした隠し味を加えたのだけれど、気がついた?

ああ、もう潮時なのかもしれない。
恋って、大いなる勘違いから生まれるんだって、母方の叔母さんが言ってた。
大事なのは、それを本物に変えられるかどうかなんだって。

それじゃあ、これは偽物なのね。
勘違いで始まって、偽物のまま終わるのね。

――なら、片付けないと。

紛い物を手にしたままじゃ、本物を手に入れられないもの。
儚い夢だったわ。ほんの束の間、幸せな瞬間もあったけど。

完全にこの夢が醒める前に、不要なモノは処分しなくちゃ。手の中の薬包と一緒に。

もうすぐ、ただのゴミになるのだから。

3/20/2026, 4:19:15 AM

『胸が高鳴る』

書店の平台でそれを見つけたとき、上手く言葉にはできないが、頭の中のセンサーが反応した。
所謂、「ピンときた」というやつだ。

今まで、この勘が外れたことはない。
――これは期待できる。

その瞬間から他の本には目もくれず、それをレジへと持っていった。
会計を済ませ、書店を後にする。

ああ、いったいどんな内容だろう。

裏表紙や折り返し部分の内容説明は、敢えて見ずに購入した。

面白いといいな。

私は高鳴る胸をおさえながら、家路を急いだ。

3/19/2026, 9:10:19 AM

『不条理』

朝、目が覚めると右手が巨大な判子になっていた。

​あまりのことに叫ぼうとしたが、口からは「承認」という音しか出ない。

慌てて病院へ向かうと、受付の看護師は私の右手を見て、慣れた手つきで書類を差し出した。
「こちらに押印をお願いします」

​診察室で医者は言った。
「おめでとう。社会人の仲間入りだ」

私が「そんな馬鹿な」と抗議の声を上げると、口からは「至急・回覧」という言葉が飛び出した。

​帰り道、空を見上げると、雲が巨大な書類の形をしていた。

道ゆく人々は皆、自分の体に誰かの判子が押されるのを待って列を作っている。

私はただ、自分の意志とは無関係に、目の前にある背中に「済」の赤い判を押し続けた。

3/17/2026, 5:45:42 AM

『怖がり』

自分の怖がりな性格を、生存本能が強すぎるだけだと言い訳することにしている。

恐れ知らずは勇猛果敢に見えるけど、慎重さや思慮深さに欠けるのでは?と皮肉も言う。

だって、そうでもしないと不安に飲み込まれそうになるから。

​深夜二時、寝室で「パチン」と乾いた音がした。
ただの家鳴りだ。木材が温度変化で反っただけ。頭ではわかっているのに、心臓はドキドキと胸を叩き始める。

​私は布団を鼻先まで引き上げ、暗闇の中で目を凝らした。
もし泥棒なら?
もし幽霊なら?
想像力という名の怪物が、クローゼットの隙間を巨大な口に変えていく。

​意を決して電気をつけた。そこには、床に落ちたクリップが一つ。

「……なんだ」
安堵して笑った瞬間、ふと気づく。

​――職場ならともかく、うちにクリップなんてあったっけ?

​途端に、背筋に氷を押し当てられたような感覚が走った。
本当の恐怖は、ほっと気を緩めた後にやってくる。

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