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8/12/2025, 9:00:35 AM

『こぼれたアイスクリーム』

覆水盆に返らず。
そんな言葉を思い出してしまうのも無理ないと思う。

たった今、買ったばかりのアイスクリームがぺちゃりと間抜けな音を立てて地面に落下した。

咄嗟に手を出すこともできなかった。
ただ、周りの音が消えて、やけにゆっくりと落ちていくのを見ていただけだ。

私が余所見をしてたから。
反対側の通りを、私の彼と私の友達が仲よさげに腕を絡めて歩いていたから。
だから――

彼らの姿が向かいのテナントビルに消えていくのを見届けてから、足元を見る。

あんなに美味しそうだったのに、いまや地面を汚すべちゃべちゃした気持ち悪いナニカだ。

あーあ、もったいない。
でも、もう一度買い直そうとは思わなかった。

「もう、いらないな」

気晴らしに、誰かを誘って映画でも観に行こう。

8/11/2025, 9:21:01 AM

『やさしさなんて』

目に見えないやさしさがある。
誰かが亡くなった後に、別の誰かから聞かされるやさしさも。

やさしさなんて、人に見せびらかすものじゃない。

けれど、相手に伝わらないやさしさは、なんのため?
それを後から聞かされる相手の気持ちは?

そんなことを考えてしまう出来事が、かつてあった。

時と場合によるし、相手との関係性にもよるけれど。
時にそれが相手を傷つけることもある。

悪意じゃないのに。
善意や親愛からなのに。

やさしさ――なんて、せつなく厄介なものだろう。

8/10/2025, 3:25:52 AM

『風を感じて』

「走っている車から手を出して、手のひらを進行走行に向けてニギニギすると、おっぱいの感触がする」

そんなしょーもないことでクラスの男子が盛り上がっていた時期があったな、中学生くらいの頃に。

あれはいったいいつ、どこで、誰から始まった話だったのだろう。
結構、全国区で聞く話だと思うんだけど。

同じ風を感じるなら、

《秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ 驚かれぬる》

みたいな、そういう四季の移ろいを感じたい。涼しい風が吹いてほしい。もう立秋も過ぎたことだし。ね?

8/8/2025, 8:16:14 AM

『心の羅針盤』

自分の方向性を決める確固たる軸を持っている人を、羨ましく思う。

私はどうにも揉め事や荒事が苦手で、それを避けるために自分を曲げたり抑えたりしてしまうのだ。

そしていつまでもくよくよする。

昔から、何度も人に言われた。
「そんなんじゃ、この世の中生きていけないよ」と。

そうだろうなと思う一方で、こうも思うのだ。

強い人だけが生き残れる世界とは、どんなところだろう。
それは、どこに向かっているのだろう。



『泡になりたい』

暑くて溶けそう。
そのまま泡になっちゃったりして。

なるなら、炭酸の泡がいいな。
シュワシュワしてて、なんだか気持ちよさそう。
クリームソーダとか、ジンジャエールとか。

そうそう、ビールの泡もいいね。
屋外でも室内でも、みんなに「乾杯!」って楽しそうに飲んでもらえる。

昔、絵本で見た蟹の口から出る泡も可愛い。
ブクブク、ブクブク。

シャボンの泡も爽やかだ。
フワフワホワホワ。たまに空に飛んでいける。

他にもいろいろあるよね、泡。
意外と奥が深いな、泡。

7/30/2025, 9:56:09 AM

『タイミング』

ここ数日、どうにもタイミングが合わなくて、文章を投稿しそびれてしまった。

――と、いう話を書こうと思ったところで、防災無線が鳴った。

《津波警報が発令されています。
ただちに沿岸や河川から離れ、高台へ避難しましょう》

電車待ちをしているところだった。
その電車も運転見合わせになり、バスを乗り継いで帰ることにした。

暑い中、家に辿り着いたところで、また防災無線が鳴った。

先に開設されていた避難所の他に、追加で避難所として開放された場所の案内だった。

うちは海から少し離れているとはいえ、完全に安全かと言われると断言できない。
100パーセントの安全などないのだ。

悩んでいると、外でご近所さんがアワアワしていた。
毎朝挨拶を交わす一人暮らしのおばあちゃんだ。

このタイミングでおばあちゃんに会うとは、きっと避難所へ連れて行けという何かの啓示だろうと、一番近くの公民館へ連れて行った。

そこで数時間過ごし、さっき帰宅した。
時計を見たら、ギリギリこの文章を投稿できる時間だ。
これもまたタイミング。

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