題名『覆うもの。』
春とは違う
夏とはまるで違う
秋とは似たようで違う。
冬は嫌いだ、着替える時が寒い。
冬は好きだ、虫がいない。
冬は嫌いだ、乾くから喉が痛む。
冬は好きだ、星がよく見える。
冬は嫌いだ、葉っぱが無くて寂しい。
冬は好きだ、雪が綺麗だから。
冬を完全に嫌いになるには好きが少しだけ邪魔をしている。
湯気がよく見える時期、おぼろげに揺れて消えてく。
赤道から少し離れただけでこんなに寒いなんて、地球って意地悪だな。
自然は不思議に廻っている
今年も花が咲くのを待つ時期が来た。
また会えるのだから、ゆっくり待つことにするよ。
題名『かぐや』
静かな夜だった、本当に。
揺れたカーテンから差す、月明かりが漏れ埃が舞うのが見えた。時計の針も小刻みのリズムで静寂に溶け込み何も意味をなさない空間を生んでいる。
冷たい月だ。
深夜一時半、青い、黒い、グレーの色が混色し部屋を満たしている。
月の光なのか夜の色なのか、
どうでもいいはずのことなのに、考える。
何も知りたくない、
どうしてこうなった、
どうしてあげればよかったのか、
これからどうすればいいのか、
もう何も考えたくない、
理解したくない、
流れてしまったものにずっと奥を抉られたような心を侵されている。
子守唄の練習も意味が亡くなったのに、
頭に響いてる、もう疲れて諦めたくて目を逸らすのに床に落ちている絵本は消えない。
無意識に手は腹部に移るが、その指こそ恨めしくてすぐに離した。
もう何も理解したくない。
夫が悲しそうに私の手を握った。
あぁ、もう本当にどうすれば良かったのか。
ぐしゃぐしゃになってしまいたかった、
壊れてしまいたかったのに
私は夜の冷たい空気で荒く呼吸をしている。
夫も辛いはずなのに目を潤ませながら私を抱きしめるから、余計にどうすればいいか分からず涙が出た。
今はただ辛いのに悲しくてならないのに、もう何も感じれないはずだったのに、涙が出た。
嗚咽を吐きながら涙を流して夫に縋った、理解したくないと泣くのに理解してくれと心が痛みに叫んでいる、ただ悲しかった痛かった辛かった、単純でいい、その痛みを理解して欲しかった。
夫は優しかった、涙でぐちゃぐちゃな私を離そうとせず、抱き締めてくれた。
彼が空気を入れ替えようって窓を開けると冷たく見えた月がやけに鮮明に見えた。
涙で目のゴミでも洗い流されたからなのだろうが、少し月が優しく見えた。
夫の手は暖かく私を抱き締めてくれていた。
悲しみは消えない痛みは消えない、目の前が辛いと悲しいと泣くばかりだったのに生きようとする私は、母親になる資格は無かったのか、
許してほしかった。
月が今夜もやけに鮮明に映り、私たちを照らした。どう思えばいいのか今は分からない、
ただ今は抱きしめてほしい、ただ鼓動を感じたかった。
題名『一瞬の話であって』
とある夏の暑い日、体育の授業で見学をする時にたまたま隣同士になったのが君だった。
自分はあまり話したことない相手だった君に、気まずさを覚えて意味わかんない所に目線を泳がせて、時間が過ぎるのを木陰に座り待つ。
それなのに君は嬉しそうに話しかけてくるわけ、もうなんなの?って言いたくなるくらいだった。あまり話したことないんだから普通もっと気まずそうにするはず、そんな事を思いながら君の詰め寄られる質問に答えた。
夏の風が妙に湿り気で、夏であることを実感しつつ、いつの間にか目の前の楽しげな元気なクラスメイト達の声を聞き流している。
そのくらい、君の質問はどこか面白くて気まずさを忘れるのは意外と早かった。
普段からもっと話しておけば良かった、こんな事を思う程に君は嬉しそうな表情で話しかけてくる。夏の暑さをどうとも言わない君の笑顔に自分は一瞬戸惑ったあと自然とふと笑ってしまった。
人の笑顔を可愛いなんて思うことないと思っていたのに、呆気なく初めてを奪われた気分で少し自分が人間らしいと思ったんだ。
これが夏の木漏れ日を見ると思い出す、今でも茂っている記憶だ。
冬の木漏れ日とは違う、
花火の光なんかとは違う、
あの夏の湿った残り香が漂っている。
思い出と言うには少し短すぎる時間だったのか、
どうも嫌なくらいに思い出と言うには納得出来ない気持ちがあった。
一瞬の気持ちを思い出すのが怖いのかも知れない。木漏れ日が揺れる度に自分の何処かの感情も揺れている、その事を夏の暑さのせいにする時点で僕は
君の事が一瞬でも好きだったのかも知れない。
忘れたいなんて言ったら、僕は君にとって卑怯な人間になるのか、でもね忘れたいって思う程に君って魅力的だったんだよ。
手に入れたいなんて思わないはずだけど、それでも君が遠くに行くとどこか苦しい気がするのは、
そうだよな…きっと暑さのせいだ
早く春が来るといいな。
題名『無情の響き。』
何故か大事な約束より印象に残っている約束。
忘れたくても忘れられずに今でも思い出す過去の約束。
約束事よりも、その約束した相手をいつも思い浮かべているんだ。
意味なんてないのに記憶の中にいる、それだからいつも目が潤んでしまう。
意味が無くとも愛していた。
題名『充分になれない』
もう何も考えさせないでくれ
何も変わることなんて無いだろう。
結局みんな何も変わらない事、何の変哲もない日々を望むんだ、
みんなが欲を望めば、
みんなが平和を望めば、
みんなが壊れることを望んだなら、
結局、女神様は世界をこのままにするでしょう
無情にもそうだろう。
死んでしまった愛する人を戻してくれと望み幸せに日々を過ごせるならそれがいいだろうが、必ずしも幸せに続くとは限らない。その愛する人がもしくは貴方が不貞を働くか、愛を失って別々の物語を歩むことになるかも知れない。
その時、貴方は他の人と幸せになった愛する人を見てどう思うのですか?あの時の祈りを恨むのですか?壊れればいいって恨むんですか?自分勝手にも貴方は少し後悔するのでは無いですか?
愛に後悔する時間が一番痛いだろうに、貴方は幸せで終われたらいいのにって、涙を浮かべてまた祈りを虚しく心に落とすのでしょうね。
事実が変わることをいつも恐れる、当たり前だ。変わる事実が大きいほど生きる環境が変わること言う事なのだから、
何を望むのか、何が起こるのか、
みんな分からないのに常に更にいいもの、生きやすくなるように世界が変わることを望んでいる、今の環境を軽視し更にと欲を見せて祈りを望む。
見ていて正直滑稽だ。単純で分かりやすい事実を見ればいいのに複雑に解釈を続けているんだから
世界平和を祈るだけ行動はしないのか?
言葉にはしないのか?祈りを叶えるのは自分自身であることを忘れてはいけない。
自分勝手に世界は動かない、戦争を嫌うのは理解している、だが「戦争がない日々を」と祈るならまず貴方の欲や感情など思考が無くなる事を理解するべきだろう、
欲、感情、思考があるから人間は生きてこれたが、欲や目標に忠実に生きていくためにしょうがなく始まるのが戦争だ。
始まってしまったから終われない
始まってしまったから戦争の恐ろしさを知る
でも始まらなければ人間は何も始まらないだろう。
昔の人間にそこまでの知識は無いんだろうから
進むことだけが道だったんだから
戦争がなきゃ意味の無さも恐ろしさも知れないんだ、ここまでの技術が無かったんだ。
意味がないようであるのが戦争だ、自分たちが戦争の恐ろしさを知れたのは戦争があったからで、けして無駄なものでは無い、繰り返さないために傷は残ったんだ。
それでも戦争は恐ろしいよ、とても怖いものだよ。
まさに地獄や絶望という言葉が似合うものだろう、
祈ってしまうのは仕方ない事なのかも知れない
だけど常に言動には責任や結果がついてくる。
この先、技術も進めば恨みも野望も生まれるだろうだから未来に戦争が無いなんて言い切れない、
どうしていくかは自分達次第で、幸せが続くことを祈るしか出来ないんだ。
まぁどうなるかなんて100年後の誰かに聞かないと分からないものだよね、怯えるのも疲れてしまう今が幸せならそれを保っていきたい。
やっぱり祈りで何か変わること無いんじゃないかな、そうじゃなきゃ女神様が困ってしまうからね。