佐原369

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題名『一瞬の話であって』


とある夏の暑い日、体育の授業で見学をする時にたまたま隣同士になったのが君だった。

自分はあまり話したことない相手だった君に、気まずさを覚えて意味わかんない所に目線を泳がせて、時間が過ぎるのを木陰に座り待つ。

それなのに君は嬉しそうに話しかけてくるわけ、もうなんなの?って言いたくなるくらいだった。あまり話したことないんだから普通もっと気まずそうにするはず、そんな事を思いながら君の詰め寄られる質問に答えた。

夏の風が妙に湿り気で、夏であることを実感しつつ、いつの間にか目の前の楽しげな元気なクラスメイト達の声を聞き流している。

そのくらい、君の質問はどこか面白くて気まずさを忘れるのは意外と早かった。

普段からもっと話しておけば良かった、こんな事を思う程に君は嬉しそうな表情で話しかけてくる。夏の暑さをどうとも言わない君の笑顔に自分は一瞬戸惑ったあと自然とふと笑ってしまった。

人の笑顔を可愛いなんて思うことないと思っていたのに、呆気なく初めてを奪われた気分で少し自分が人間らしいと思ったんだ。


これが夏の木漏れ日を見ると思い出す、今でも茂っている記憶だ。

冬の木漏れ日とは違う、
花火の光なんかとは違う、
あの夏の湿った残り香が漂っている。

思い出と言うには少し短すぎる時間だったのか、
どうも嫌なくらいに思い出と言うには納得出来ない気持ちがあった。


一瞬の気持ちを思い出すのが怖いのかも知れない。木漏れ日が揺れる度に自分の何処かの感情も揺れている、その事を夏の暑さのせいにする時点で僕は


君の事が一瞬でも好きだったのかも知れない。


忘れたいなんて言ったら、僕は君にとって卑怯な人間になるのか、でもね忘れたいって思う程に君って魅力的だったんだよ。

手に入れたいなんて思わないはずだけど、それでも君が遠くに行くとどこか苦しい気がするのは、


そうだよな…きっと暑さのせいだ


早く春が来るといいな。

11/16/2025, 6:53:09 AM