熱くてふわふわ。
暗くて何も見えない場所に灯りがあれば、不思議と人は「不気味」だったり「美しい」と言う。
泳いでる魚にも「気持ち悪い」「神秘的」「美味しそう」だとか意見を言う。
熱くてふわふわと浮かぶだけの私には出来ない事だけど、意外と羨ましかったりする。
遠くからは見えないのに、海の月と書かれる私。
人は月を見て綺麗だと言ったら。「愛してる」って愛の言葉になるんだって、だったら海の月の私を綺麗だと言ったらどんな言葉になるのか。
水は冷たくて自然的で波を作って。何事も無いように魚は泳ぎ、無駄干渉じゃなく生きるために干渉し合う彼ら。
自然は時に残酷だ。私を置いて進んでルールに沿ってるから。
私は五億年も昔から続いて浮かんでる海の月は、暗闇に引き込まれては、ふわふわと浮遊してる。
だけど熱くてぷかぷかと、底にいることを望んでいる。
春がまだ芽吹かない。そんな冬の明け前に僕は未だに胸につっかえた何かを抱えて生きている。
窓の外からは夜明けも夕暮れも見分けのつかない色が滲んでいて、意味もなくため息が出た。
不安なのか緊張なのか、シャーペンを握る僕の手は不思議と強かったり弱かったりを繰り返す。
大人になるたびに思うんだ。
単純であれなくなる、その度に諦める理由が出来ていく。周りのせいにしたって、心で負けたのは自分だって自己嫌悪してしまうんだ。
消しゴムが黒くなっていくのを見ながら、
紙がしわくちゃになっていくのを見ながら、
僕は、また無心を拒んだ。
素直に生きれなくなってしまって、
優しさより先に都合が出るようになった。
手に力が抜けると、シャーペンがノートに転がる。
「努力」なんて言葉が頭を過ぎっても疲れたようなため息しか出なくて、更に自分が単純で生きれなくなったと実感して諦めが出た。
素直に言えなくなった。素直に泣けなくなった。
都合でしか生きれなくなった事がこんなに強張った世界を作ったんだ。
考えなければ恋しいだとか後悔なんてこと、気付かなくて済んだだろうに。
言わないよ。言えないよ。
言ってしまえば、言ったら、どう謝ればいいとか考えてしまうから。
喉が強張っり、目頭が熱くなる。
都合でしか生きれなくなった事を、
どう君に許してもらおうか。どう許せば良かったのか。
僕はペンを再び握ることもなく朝を待つことにした。それが諦めでも「疲れた」と思ったんだ。
題名『僕のせいで君のせいだった』
題名『白昼夢』
冬の寒さに身震いする、午後の昼下がり。
自分はデスクワークの仕事を終わらせるためにキーボードに指を走らせていた。
と言っても、多すぎる仕事書類たちを見てため息が出て手が止まりそうになり、疲れからか眠気が襲ってくる。
自分はふとキッチンの棚を思い出し、何かあった気がするなぐらいの期待感でキッチンに向かう。
直感通りというか何というか、キッチンの棚には買い溜めで溜め込みすぎた様々なメーカーのインスタトのコーヒーの袋が並んでいた。
全く存在を忘れていたのに仕事中に眠くなった時に思い出すなんて、まるで「寝ないで仕事しろ」と無意識にも怒らているようで苦笑がうかぶ。
本当は何か茶菓子とか少し甘いものを思い浮かべていたのだが…、その落胆をよそに自分はコーヒーを淹れるためにポットに水をいれる。
風が寒そうな音をして窓に当たるのを聞きながら、ポットがあったまるのを待つ間も自分は頭の中は仕事まみれで我ながら呆れている。
こんなに考えてしまうのなら仕事と結婚もありかもな…と変に馬鹿を考えているとピッーと機械音が鳴って、ポットが温まった事を指していた。
自分は先程までの考えを振り切ってマグカップを取り出し、適当に取ったインスタトコーヒーから3杯程すくいマグカップの中に入れ込む。
自分は内心この作業工程が業務的でありながら少し楽しいなと感じながら少しルンルンでお湯を注ぎ、スプーンで混ぜた。
コーヒーの苦いような少し上品な匂いに酔いしれそうになるが、コーヒーを淹れた理由が仕事だと思い出すと少し重い匂いに感じたのは気のせいだと思いたい。
冬のたった何もない昼間の出来事なのに夢のような気分だ。気のせいだろうか、それともコーヒーのせいか?
どちらにせよどこか変に思い浸っている。
溺れて濡れた花畑。目の前には一面の花畑が水に沈んで、空は泣き終わったかのようにカラッとしていてやけに紫色を帯びていた。
足を一歩落とそうとした時、突如と水に溺れた。
水の中は不思議なものだった。
花弁がゆっくりと沈んでいるのに自分だけが引き込まれるように落ちていく、そして苦しくない。
ただ不思議で…少し虚しいような気持ちで沈んでいく。
光が揺れて水の中を差すが、その光は乏しくなっていった。
ふと目が覚めた、目の前には花畑が彩りに描かれた濡れた絵画があり自分の手にはバケツがある。そのバケツにはまだ少し水が入っており、辺りは水浸しで何があったのかを教えようとしている。
僕は君の描いた夢を台無しにしたんだ。
そうか…仕方なかったのか。いやただ理解したくなかっただけで…
考えるのが辛くなった自分勝手な僕は絵の具を手に取った。
君の絵の愛が邪魔だった。僕だけ見てほしかった、その愛が僕に向けばいいと思っていた。
だけど言えなかった。
行かないで欲しいなんて言ったら僕は人の夢を応援出来ない、嫌な人になってしまうだろう?…
君が画家になるために僕のもとを去ると言った時、君は夢しか見てなかった。僕の目に水が溜まったのを見ていなかった。
愛してるなら応援するべきなのかな、
君の夢が叶うまで待つべきなのかな、
僕のもとから離れる君を受け入れるべきなのかな、
分からない。もう何も分からないんだ。
君が僕のために描いたと言ったこの花畑の絵は一体なんなのか、何を思ってかいたのか。
教えてほしかった。
題名『I don't know』
不安がおとぼけになったら、人はきっと星になれる
題名『抱えきれなかった勇者』