佐原369

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春がまだ芽吹かない。そんな冬の明け前に僕は未だに胸につっかえた何かを抱えて生きている。
窓の外からは夜明けも夕暮れも見分けのつかない色が滲んでいて、意味もなくため息が出た。
不安なのか緊張なのか、シャーペンを握る僕の手は不思議と強かったり弱かったりを繰り返す。
大人になるたびに思うんだ。
単純であれなくなる、その度に諦める理由が出来ていく。周りのせいにしたって、心で負けたのは自分だって自己嫌悪してしまうんだ。

消しゴムが黒くなっていくのを見ながら、
紙がしわくちゃになっていくのを見ながら、
僕は、また無心を拒んだ。

素直に生きれなくなってしまって、
優しさより先に都合が出るようになった。
手に力が抜けると、シャーペンがノートに転がる。
「努力」なんて言葉が頭を過ぎっても疲れたようなため息しか出なくて、更に自分が単純で生きれなくなったと実感して諦めが出た。

素直に言えなくなった。素直に泣けなくなった。
都合でしか生きれなくなった事がこんなに強張った世界を作ったんだ。
考えなければ恋しいだとか後悔なんてこと、気付かなくて済んだだろうに。

言わないよ。言えないよ。
言ってしまえば、言ったら、どう謝ればいいとか考えてしまうから。

喉が強張っり、目頭が熱くなる。

都合でしか生きれなくなった事を、
どう君に許してもらおうか。どう許せば良かったのか。

僕はペンを再び握ることもなく朝を待つことにした。それが諦めでも「疲れた」と思ったんだ。



題名『僕のせいで君のせいだった』

1/20/2026, 10:00:10 AM