まだ見ぬ景色を見ようとして、下請け企業について調べてみた。
下請け企業も、今じゃ積み重なって下々々々請け企業、数字で言えば第六次下請けまであるんじゃないかとYouTubeの政治家チャンネルが嘯いてた。
本来の日当が4万だったのが、中抜必至の下層下請け会社になる頃には日当2万4千円まで下がるんだと。
そうしたら労働者はバカとバカじゃない奴が生まれてきて、バカじゃない奴は上層下請け企業に(日当の額で)引き抜かれて、下層下請け企業は倒産するか、倒産の延命としてさらに日当と下げて第七次下請け企業ができてバカ労働者をさらにバカにしてるんだと。
このように、まだ見ぬ景色は負の温床が広がるように見たくないものまで見てしまう。
見ないほうが良い時もある。でも見ちゃう。やめられない止まらない。この手がそうさせる。
あの夢のつづきを紡ぎたい。
そうやって、どこかへやったプロットを探そうとした。
おでこに貼り付けた幻想不快なノッカーで、頭蓋骨をノックしようとした。
脳内に響き渡る幻音感。
甘い囁き、どら焼きを食べるやわらかい口当たり。なめらかさ。
プロットは見つからなかったが、別にどうでも良いと感じた。意識はそちらに傾きかけていた。
つまり、甘い囁きに傾いて、プロット通りにゆかなくなったのだ。だから、夢は途絶え、夢のつづきを所望するのだろう。
未来への鍵はどこかになくした。
それでも未来には行ける。
何もしなくても。立ち止まっていても。
鍵穴は無理に開けなくてもいいんだ。
そう思ったが最後、精神の時の扉に閉じ込められて、ミイラになるまで飢餓に苦しむんだ。
星のかけら。
世にも珍しい、星のかけらを運搬するワイバーンに興味があった。
背に乗りたい。
星のかけらに紛れて、どこへ行こうとするのか知りたいと考えた。
星のかけらを運ぶのだから、きっと図体は大きいだろう。人ひとり乗せたところでバレっこない。
そういう想像をして、星のかけらの集まる通称「星屑の砂浜」で待ち伏せをした。
半月ほど、じっとしていた。
砂の色と海の色、どちらも夕刻になって太陽の光で飴色になるくらいまで、じっとしていた。
その龍は夜空が広がる方角よりやって来た。
太古の昔より集まる星屑の砂浜に、身体ごと突入させた。タカのように滑空して、地に接するとすぐにモグラになった。
砂糖の山に一匙掬い取るような豪快さ。
誰かの意思で一匙の気分であるワイバーンは、そのまま持ち上げられ、大量の星のかけらを背に抱き、また夜空に羽ばたく。
到着地はきっと新たな星だ。
鷹揚とした背に乗った、星のかけらに溶け込んだ小さな彼は、離島が浮遊するときの重力加速度を感じつつ、不安定さの揺り籠に耐えていた。
飛翔時間中、細やかに星のかけらは落とされていく。宇宙に散らばる星々、そうか、これが夜空が美しい理由なのだ。
ワイバーンによってふるい落とされ、最終的に乗せられた大きな星のかけらを使って、新たな星を作り出しているんだ……。
しかし、興味のあった者にとって、その期待感ほどのものではなかったと到着してから思った。
確かに星を作っていた。
しかし、それはまだ夜空で瞬くような星の形をしておらず、ゴツゴツとした岩の大地が広がっているだけだった。
「うわっ」
突然、ワイバーンは空中で宙返りをした。
それで背に乗る大きな星のかけらとともに、新たな大地に降り立った。
大きな星のかけらは、落とされた衝撃で砂になった。
少年は無事だった。
星砂の砂浜がクッションとなって、高所からの衝撃を緩和したのだ。
ワイバーンは宙返りをした後、飛んでいった。
流れ星みたいに見えて、始まりの神が目にしたものと同質だと魅了された。
Ring Ring…
変わったお題だが、電話の音だろう。
しかし、今の電話の音は華やかな曲の一部となっており、昔のようにリンリンとなんて言わなくなった。
昔は、電話の音に関して英語のように聞こえていたのだろう。
今は、多様性がどうたらといって、「Ring Ring…」の読み方は多数あれど、正式名称は皆ど忘れしたようになっている。日本人が英語をしゃべれないでいる要因だ。