子猫の写真でも見るかとなっているわたくし。
今日は土曜日。横になっています。
今週風邪を引きましたわたくし。
だから、平日は休めなくて土曜日の午前でクリニックに行ってオクスリをもらいました。
咳、痰、鼻水、鼻づまりと、風邪症状のリーチをやっているわたくし。これで発熱が無いのはギリギリアウトということです。
そんなわけで処方箋をもらって薬局に行って、会計していたら、いつも貰ってるジェネリック医薬品が品切れ中とのことで、先発品になってしまいました。
「薬の供給が止まってるんですか?」
「止まってるというか、あの、メーカーに発注をかけてるんですが、それが届かないということでして……」
それを届かないというのではないでしょうか。
よくわからないので僕は寝ます。
子猫関係ない……。頭働いてないから仕方なし。
ニュースで見た限りだが、総辞職して次期首相に任命されたとき、その当人は居眠りをしていたという。
原因はあの体型だから睡眠時なんとか症候群で居眠りをしたとか、ナルコレプシーだからどうだという説が囁かれている。
病気ならアレだけど、こういった説もある。
朝、風邪薬を飲んだので、つい眠気が出てしまい、国会で寝てしまったとのこと。
これも「スリル」だよなあ。
肝が据わってるというかなんというか。
飛べない翼すら持っていない地球は、今日もぐるぐる回りながら太陽の周りを回っていた。
これはある意味では、宇宙を飛んでいると言える。
「ねぇ、どうして回っているの?」
遥か彼方から飛来してきた小惑星114514号は、地球のすれすれを通り過ぎた時に尋ねた。
「それは暇だからですよ」
地球ではなく、月が答えた。
月もまた、飛べない翼すら持っていない。
「暇すぎてわたくし、地球の海の高さも調節しているんですよ。干潮と満潮というでしょう?」
「なるほど……。でもその答え、はぐらかしてるよね。暇だから回ってるって。暇だから他のことしてるってことになるじゃないですか」
「なら、これならどうですか? 忙しいからですよ。
わたくしの干潮と満潮は、毛づくろいみたいなものです。地球は回っていて忙しいから、わたくしが代わりに毛並みを……、海並みを整えてあげてるんです」
「う〜ん、なんかしっくり来ないなあ……」
しかし、タイムリミットが来てしまった。
0.00000001 秒の刹那的短時間通信速度では、この程度の会話がやっとである。
小惑星114514号はそのまま遥か彼方へと飛んでいってしまった。
もう二度と地球には会えないだろう。
「まったく、きりがないですね……」
月は、適当に、ぐるぐる回りながら嘆きの呟きをしていた。
「まったくどうして地球に会いたがるんでしょう……」
月は、彼方から訪れる小惑星の列を見やった。
地球は大人気である。
白い雲は、白い翼のように見える。
包まっている姿は、今こそ飛翔する瞬間……。
そんな誤解で生まれた噂は、全宇宙に広がり、小惑星たちがスレスレで飛んでくるようになった。
その結末を知っていたら、誤解を解こうと奮闘したのに……。
過去の自分の過ちは、月の凸凹をみれば一目瞭然。
有名人の隣人は迷惑被る。今は飛べない翼こと白い雲から、いかに飛べる翼を作ることだけを考えている。
ススキ箒というものがあったなあ、と思いました。
小学二年だか三年だか。校庭の落ち葉を掃いてこいというミッション。
細かいところは忘れました。
多分、班ごとで組んでおり、教室、廊下、階段などと掃除場所が1週間ごとにローテーションされていた気がします。
で、秋の、落ち葉がてんてこ舞いとなってくると、期間限定みたいな感じで、「校庭」が出てきます。
校庭を囲むように、落ち葉がみっちりと降り積もっていましたから、担当がそこになると腕が鳴るというものです。
なかばボランティアみたいな感じで、班ごとに行動する数人が、わー、と秋の校庭に駆け出していました。
箒やちりとりなどは、校庭の隅にある、多分普段は学校の清掃員の人が使っているんだか、そうでないんだか分からないようなオンボロの掃除入れを使っていました。
その中に入っているのが、室内用のほうきと二本の大きなススキ箒でした。
基本的に、子どもの身体では小さいので、教室の室内用の箒のほうが使いやすいわけです。
室内用なので、箒の形をしてません。
モップみたいなT字の形をしたもので、掃くところの厚さは5センチもない。つまり軽め。
柄の長さが首の高さより下となるので、しゅんしゅんぶんぶんと振りながら、教室の綿埃と格闘できるわけです。
しかし、如何せん校庭での掃除となると、わけが違ってきます。校庭にはじゃりや砂が敷かれているため、お外の場合、ススキ箒のほうが良いような気分になってくるようです。
ススキ箒は、基本的に大人用のために作られた格好なので、小学生の身分ではちと難があります。
柄の長さが頭より上の2メートル以上(測ってないので不明)となっていますから、掃こうとしてもダイコンのような大筆ですから、よいしょ、よいしょと身体を揺らしてやらねばならないという……。
そんな使いづらいことで有名なススキ箒ですが、落ち葉掃きのときだけは大人気となります。
じゃり、じゃり、という特有の地面を削る音が鳴ってなんか楽しいわけです。
本数も二本と、五〜六人で構成された班では「選ばれし者」よ感が溢れます。
ススキのボリュームも贅沢な感じなので、早速じゃんけんとなってきます。
僕は負けたのでちりとり係です。
ほうぼうに散った班の人たち。
ちりとり係の僕は、校庭のどこかを行ったり来たり。
落ち葉の山が降り積もっていますから、えんやこら、どっこいしょ、がさあ……とゴミ袋に入れ、スペースを空けるために足を入れて押し込む感じが懐かしいです。
脳裏に灯るキャンドルライト。
いつまでも燃え続けていたら燃料がもったいないから、ふいと息で吹き消した。
オレンジ色の火の光は、世界のどこにもいなくなった。
あるのは、不機嫌そうな灰色の煙。
脳内物質のなかで漂っていた。
いつの間に、こんなに充満していたというのか。
脳のどこかにあるというWindowに手をかけて、換気をしようと試みる。
ただ、その窓ガラスは透明感とは真反対にある属性をしていて、クレセント錠は固まったように動かない。
力をいくらかけても微動として動こうとしない。
長年の不登校児が引きこもりになって、草むしりをするような姿勢……。
そうか。そうだったんだ、と気づいた。
気づいた途端、諦めたくないと思えた。
ここに、ホコリと黒い黴が棲んでいるのだ。
この錠は、まだまだ硬くなる。その前に……。
何かを噛ませて、力を込めた。
テコの原理、テコの原理……
キリキリと少しずつ隙間を砕いてカタツムリは進んでいく。
もうちょっとだ、頑張れ。
窓の外は雨模様。
いつまでも降る、明けの知らない梅雨。
クレセント錠は半回転してエクセレント。
窓を開けることができた。
そうしたら、脳内に立ち込める嫌な煙は、さっと逃げていく。
換気される空気の流れを眺めていて、ハッとする。
脳裏に灯るキャンドルライト。
チャッカマンはどこに仕舞ったかな?
今度は自分で見つけなきゃ。