12/13/2024, 9:02:43 PM
アッサムの程よい香りが鼻腔を擽る。
ティーポットから注がれる琥珀色のそれを見ている時間が至福の時だ。
「はい、どうぞ」
今日もあなたに愛を注ぐ。
嬉しそうにカップに口を付けるあなたを見て、私も紅茶をいただく。
ティーカップには魔法の薬。
少しずつ、少しずつ愛を滲ませていくの。
大丈夫、その時は私も共に逝くからね。
12/13/2024, 12:42:40 AM
身体だけでもと思い、半ば無理矢理暴いた。
それでもやっぱり欲が出る。
願わくばもう一度心の繋がりが欲しい。
今までの関係に戻れたらと無理な望みを託して、今日も今日とてあなたを暴く。
12/11/2024, 11:40:36 PM
空一面に鈍色が広がる。
枯葉が宙を舞い、身を切るような風が吹き抜けていく。
その時頬に温かい熱が押し付けられた。
「ほい、これ待たせたお詫びの缶コーヒー」
「……もう、びっくりした」
あなたにとってそれは何でもないただの謝罪なんだろう。
それが私にとって、どれほど嬉しいことかも知らずに。
耳に頬にぎゅっと熱が集まるのを感じる。
「じゃ、行こうか」
差し伸べてくれる手がどこまでもあったかい。
先程まで曇り一色だった空に光が差し込んでいく。
12/10/2024, 11:31:06 PM
沢山の同胞を踏み台にしてきた。
これはそのツケなのだろうか。
毎日が戦場のような職場、いつ誰に足を引っ張られるか分からない同僚たち、取引を餌に無茶な要求ばかりする顧客。
心を抉られ削られ疲弊し、その先には一体何が待っているというのだろう。
それでもやらねばならない、もう搾取される側になるのは懲り懲りだ。
12/10/2024, 12:28:58 AM
ずっとその手を繋いでいたかった。
成長するにつれ、あなたは僕の手を握らなくなった。
これが大人になることならば、僕は子どものままで良いとすら思えた。
再びその手を握る時が来た。
でも決して握り返してはくれない、冷たいその手。
ありがとう、そしてごめんなさい。
白い布で覆われたあなたはもう二度と笑いかけてはくれなかった。