空一面に鈍色が広がる。枯葉が宙を舞い、身を切るような風が吹き抜けていく。その時頬に温かい熱が押し付けられた。「ほい、これ待たせたお詫びの缶コーヒー」「……もう、びっくりした」あなたにとってそれは何でもないただの謝罪なんだろう。それが私にとって、どれほど嬉しいことかも知らずに。耳に頬にぎゅっと熱が集まるのを感じる。「じゃ、行こうか」差し伸べてくれる手がどこまでもあったかい。先程まで曇り一色だった空に光が差し込んでいく。
12/11/2024, 11:40:36 PM