これが僕にとってもあなたにとっても最適解だったんです
今は痛みの方が強くて何も分からないかもしれないけれど、きっとそれも時間が解決してくれます
だってあなたは言ってくれた、愛してるって
僕もそれに酬いたい、ただそれだけなのに
とこしえに生きる、願ってくれたのはあなた
否、それを望んでいたのは僕の方だ
人として愛してくれていたのだと今更気付いた
長かった暑い暑い夏と秋モドキにようやく別れを告げた、らしい。
お天道様の気持ちが変わらぬうちにこちらは新しい季節をもう受け入れてしまおう。
目を覚ますと何やら見た事のある景色が広がっていた。
見まごう筈も無い、ここは先程まで私がキーボードを叩いていた原稿の世界ではないか。
ぐにゃりと歪んだ空、一面の枯れ野原に不自然過ぎるショッキングピンクの化け物。
どうしても続きが書けそうも無くて、全消ししていた話だ。
やおらピンクの化け物が口を開く。
「終わらせないで」
あなたの話を待っている人は必ずいる。
ハッと目を覚ますと今度こそ本当に目が覚めたようだ。
「どうして」
消した筈の文字の羅列がパソコン画面いっぱいに美しく整列している。
……良し、もう一度だけ頑張って書いてみよう。
これも何かの縁だ。ラストチャンスだと思って私は再びキーボードを叩き始めた。
愛の反対は無関心、著名な誰かの言葉である。
その論理で言えば俺は確かに愛されているのだろうか。
「ワシが飯を食わせてやろうな」
「共に風呂に入ろうぞ」
「良い良い、厠の面倒もワシが見よう」
四肢は形としてはあるが、もう使い物にはならないので必然的にこの男の世話になる以外に生きる術は無い。
「……ろせ、」
「うん?」
「俺を……殺せ……っ」
溢れる涙を堪えきれない。こんな生き恥を晒してまで生きる価値を到底見い出せないのだ。
「何を言うておる、お主はこれからもワシと共に生きるのじゃよ末永くな」
男は特徴的な三白眼を柔らかく細め、まるで愛おしい者に触れるかのようにして優しく頭を撫でられる。
「お主はワシのものじゃ、誰にも渡さぬ」
愛しておるよ
呪いの言葉が俺の心を身体を蝕む。こんな形で生きても最早死んでいるのと同然だ。
それなのにどうして心の奥では凪いでいるのだろう。視界は滲んでぼやけているが、男の柔らかい笑みを見られるのが嬉しいなんて。
愛の反対は無関心。その言葉がじわりと滲む。
ワシの大切な相棒が風邪をひいたらしい。
次の日が休みだということで久々に閨の誘いでもと思ったが、こればかりは仕方あるまい。
頭に濡れ雑巾を掛けて立ち去ろうとすると、着物の袖を緩く引かれた。
「……」
熱で潤んだ瞳がこちらを黙って見上げてくる。
やめとくれ、今は目の毒でしかない。
「熱、移してもいいか?」
果たして我が相棒はどこまでも男前だった。
一体何処でそんな誘い文句を覚えてきたのだろうか。
お望み通り熱を分けてもらうとしよう。