目を覚ますと何やら見た事のある景色が広がっていた。
見まごう筈も無い、ここは先程まで私がキーボードを叩いていた原稿の世界ではないか。
ぐにゃりと歪んだ空、一面の枯れ野原に不自然過ぎるショッキングピンクの化け物。
どうしても続きが書けそうも無くて、全消ししていた話だ。
やおらピンクの化け物が口を開く。
「終わらせないで」
あなたの話を待っている人は必ずいる。
ハッと目を覚ますと今度こそ本当に目が覚めたようだ。
「どうして」
消した筈の文字の羅列がパソコン画面いっぱいに美しく整列している。
……良し、もう一度だけ頑張って書いてみよう。
これも何かの縁だ。ラストチャンスだと思って私は再びキーボードを叩き始めた。
11/29/2024, 12:00:33 AM