『この場所で』
2年前、大好きな先輩たちはこの場所で最後の演舞をやりきった。
それは、1年前の大好きな先輩たちも一緒だった。
いつか来てしまうと思っていた、引退の日。
何度この場所で踊っても、込み上げてくる思いは慣れないものばかりで、涙が零れた。
最後に見る景色は、やけに煌びやかで。
もう見れないと思ってしまえば、その光は滲んでしまって。
「もっと踊ってたかった」
今までの倍踊ったって、同じことを思うくせに、私はそんな後悔をしている。
そう、この場所は、私たちの墓場であると同時に、私たちのチームが生まれ変わる場所でもあるのだ。
『スマイル』
誰かの笑顔は、私を幸せにする。
だから、多少つらいことがあっても、ありがとうって笑いかけてくれるだけで、私は満足する。
だけど、おかしい。
あなたの笑顔だけは、私をドキドキさせる。
そして、ちょっと物足りなくなる。
ねえ、もう少しだけ、私に笑顔を見せて。
『どこにも書けないこと』
あなたとは
勝手に両思いか何かかと
思っていました。
でも、それがそうではないと知ったとき、
好きでもない人にあそこまで優しくできてしまう
あなたの芯からの優しさに気づいて
また好きになってしまいそうでした。
もしあなたに見る目がなければ、
私がもっと素敵な人間であれば、
そんなことばかり考えては
涙も出ないまま後悔だけが募っていく。
そんな夜は、もう何度目かわかりません。
本当はあなたの幸せを願いたいけれど、
私じゃない誰かと紡ぐ幸せが
私には醜いものにしか見えないのが
本当に嫌。
『ブランコ』
ぎい、と音を立てた。私とあなた、ブランコに2人。
どうぞ、と手渡されたのは、缶ビール。
「悩み聞くよ」
それは、あなたに好きな人がいると知ったとき。うっかりしてしまって、失恋したと言ってしまった。そうしたら、あなたは当たり前のように私を連れ出してくれた。だから私は、あなたが好きだ。いや──好きだった。
「わたしね、わたしね、ずっと好きだったんだよ」
そうだね、と微笑む声。知らないくせに。もう駄目なのに、まだあなたに縋り付くしかない哀れな私を、嘲笑くらいしてくれたらいいのに。
不意にあなたは、ブランコを漕ぎ始めた。
「俺もね、本当は失恋した」
首を傾げると、
「好きな人に、そんな好きな人がいるの、知らなかった」
『街へ』
そこは、私たちの住んでいる場所より少しだけ都会。
だから、私たちの知らない遊びもあるみたい。
「次あそこで遊ぼうよ!」
目を輝かせているあなたに手を引かれて、私も走り出す。
「楽しそうでよかった!」
私は思わず首を振ってしまいそうになった。
この街の遊びが楽しいのではなくて、楽しんでいるあなたがどうしようもないくらいに愛おしいだけ。