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1/10/2025, 1:28:09 PM

『未来への鍵』

年が明けてすぐ、友達が鉛筆をプレゼントしてくれた。理由がわからず首を傾げると、その人はこう言った。

「もうすぐ共テでしょ。」

大学受験は、まさに自分の人生を、運命を決める戦いだ──これは、高校生にとって最後の戦争なのだ。命を燃やせるほど物騒な世の中ではないけれど、確実に、命を削ってでも、自分の青春をビリビリに引き裂いてでも欲しいその未来を目指している。この戦争の準備には、あらゆる武器が使える。だけど、戦が始まれば、私たちの武器は自分と鉛筆だけになる。そりゃあ、不安だ。
しかし、なるほど、と思った。私は今、この鉛筆を『武器』と言ったが、この人にとっては武器などではなく、『未来への鍵』なのだろう。この鍵をしっかり持って、しっかり鍵穴に入れて、しっかり鍵を回せば、未来の扉は開く。そうやって、私たちは夢見る未来を実現させる。

「頑張ろうね。」
「うん、もちろん。」

私たちは強くグータッチをした。とても痛かったけれど、これも、もう二度と得られない青春なのだろう。不思議と、寂しくはない。世の中は、全て未来への鍵でできている。

1/7/2025, 1:18:48 PM

『追い風』

共通テストまで、残り約10日。私は今日も机に向かっている。孤独を、不安を、全てを誤魔化すように。
勉強が楽しいのではない。その学校に行きたいのではない。自分はこれだけやれるんだという自信をつけたいのではない。
ただ、私の背中を押してくれたみんなの期待に応えてみたい。
私の努力で笑ってくれるみんなを見てみたい。
1か月前の自分を、もっと前の自分も、恨めしく思う日もある。けれど、それも含めて全力の私だったんだと思う。だから後ろなんて向いてられない。疲れてしまって、立ち止まりたくなる。けれど、立ち止まれば、もう一度走り出すのはもっとつらい。いや、走っているのは、気分が悪いわけじゃない。心地の良い風を受けて、今日も私は走る。

向かい風?いいえ、そんなもの、後ろにいるみんなが跳ね返して追い風にしてしまったよ。

1/4/2025, 2:19:53 PM

『幸せとは』

考えてみて、私がいちばん幸せだと思ったのは、
隣であなたが笑った瞬間だった。
自分より、あなたのことを思えている。
それが、私にとってはいちばん幸せだ。
もし許されるのならば、
明日も、隣にいてくれますか。

1/1/2025, 11:19:06 AM

『新年』

私はその瞬間、1人で部屋にいた。リビングまで行けば家族全員がいた。それは、好きな人と電話をするため。

「あと5分で今年終わっちゃうね」
「んね、ほんと早かった」
「まさかお前とこんなに話す仲になるとはね」
「そうだねえ。初めて席隣になった時は人生の終わりを感じてたよ」
「ええなんか悲しいかも」
「ふふふ、冗談だよ」

なんだかんだ言って私にたくさん話しかけてくれたあなたが大好きだよ。なんて、言えるはずなかった。彼には、彼の好きな人がいる。私はそれが誰か知っている。この恋は、捨てなきゃいけない。幸いなのか、彼はその人にほぼ一目惚れで、全く話せないそうなので、こうやって私の無茶にも笑って応じてくれる。ほんと、馬鹿だな。でも、私って多分見る目ある。彼にも見る目がある。だから今こうなってる。きっとそういうことだ。

「あっ!!」
「おー、あけましておめでとう」
「あけおめー!」
「今年もよろしくね」
「おう!よろしく!!」

新年になって、初めて聞いたのがあなたの声で良かった。もうこれで終わりにするから。だから、許してよ、神様。
その後すぐに電話を切り、布団に入った。少し冷たい。なんだか胸の辺りが苦しかった。それが落ち着いたかと思えば、次は涙が溢れて止まらない。叶わない恋ってこんなにつらいんだと教えてくれたのさえ、あなただ。
あけましておめでとう。
あなたに、あなたの好きな人に、幸せが降り注ぎますように。

12/31/2024, 1:00:09 PM

『良いお年を』

何日ぶりだろう、家族みんなで食卓を囲むのは。
朝コンビニで買ったパンを学校で頬張った日も、
ちょっと贅沢してもう1品プラスした塾の日も、
もうみんなが寝てる中で母親と夜ご飯を食べた日も、
数え切れないけれど、
きっと、今日は本当に数週間、数ヶ月くらい間が空いた、特別な日。
いつもはご飯中も勉強する行儀悪いやつだけど、
今日だけは、行儀いい子でいます。
なんてね。
年越しの瞬間も家族といたかったけれど、
全てをかけなければいけないので。
ひとり、部屋でお勉強をします。

数ヶ月後には、笑ってやるんだ。
みんな、良いお年を。
春に、溢れるほどの笑顔を見せてください。

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