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10/10/2025, 5:57:34 AM

街を歩く。
掃除用ウェットシートとラップを買わなくては。それからスーパーに行って、安い食べ物がないか覗いておこう。折角だからクーポンを使って、ご飯でも食べようかな。あとは帰る前に何か面白い本がないか冷やかして帰ろう。
恋の歌が流れている。
街を歩いたらたまに思う。恋はテーマというにはもはや弱いほど世界を席巻し尽くしている…1000年もずっと前から。
愛の歌が流れている。
世界は愛に満ちているし、愛し合うのも憎しみ合うことも、仲間も疎外も紙一重だろう。それがいいことだとか悪いことだとかは正直わからないけど、手を繋いで歩く人が暖かいのなら些末なことだとも思った。
肌寒くなったからだろうか、いやでも、どの季節も恋の季節と呼ばれる。はじまり、燃え上がり、寄り添い、温め合う円環の中にあるから。
まあ幸せならいいけど。

10/8/2025, 5:52:51 AM

必ずしも走り続けている必要なんかないけど、
立ち止まったから静寂なんかに気付く。

手を動かしている間は
そんなこと思っていなかったけれど、
ふと息をついたら隣には誰もいないこと。

本当は望んでも早々与えられることのない孤独を、
感じる受容体は人それぞれで、
視界に映る世界こそ知覚という自分自身だろうか?

…世界なんてずっと五月蝿いだろう?
窓を開けてみたらいいよ。
それでも足りないなら
枕に頭を押し付けたら血が流れる音がする。

目を瞑ったとき、それでも、もし、
世界の静寂に耐えられないというなら、
きっと静かになってしまったのはこちらの方だ。

もう寝ないと。

9/23/2025, 11:31:11 AM

ね、隣にいるってどういうこと?

きみの手がかじかんだときに、僕の手もまた冷たくなっていて、温め合うと二人とも手が痒くなって、それでもってそんな事件も笑えちゃうこと?

疲れて眠たいのに不安が迫ってくるような夜に、恐ろしかったって気持ちを忘れるための時間が、あっという間に過ぎていってしまうこと?

それとも本当に一人きりの寝室で全身鏡を覗いたとき、それでもきみは世界にたった一人じゃないって信じられること?

きみの心に住ませてもらうのは、本音をいうとちょっと怖い。ごめん、嘘ついた。とっても怖い。
だってきみのこと簡単に傷付けられてしまうから。

僕はあんまり器用じゃなくて、ちゃんと当たり障りない言葉で人と話すことはできないから、僕の視点をきみに植え付けようとしてるみたいに、身勝手なやり方になっちゃうよ。
僕がきみを素敵だって思うこととか、どう考えたら楽になってくれるのかなとか、そういうのを、僕の視点からきみが暖まってくれるようにって願っちゃう。

大丈夫かな。
僕の言葉とか、僕なりの温度は、ちゃんと僕の思ってるようにきみに届いてくれるのかな。そうじゃなくても、きみにとってやさしい温度になれてる?

きみに降る雨が氷のように冷たくありませんように。
それとも、きみが呑み込んだ涙のぶんの、笑顔を育てられる世界でありますように。
きみの見てきたものがちゃんと、きみの傘になってくれますように。
きみのゆく道が救いある、あたたかい、やさしいものでありますように。

あと、きみのことを大切におもっている僕の温度が、僕のひとりよがりだとしても、それさえもきみの傘の1枚に変わって、その世界を少しでもあたたかいものにできていますように。
幸せであるように。
ちゃんと。



―僕と一緒に

9/22/2025, 2:22:18 AM

折角なら、白いヴェールは畳んでおいてほしい。

どれほど薄くとも今日ばかりは、あの鮮やかな色彩が舞台の主役であるから、人々が目を細めてでも見ていたいと思っているんだから、晴れやかな青色が下地になっているんだから。
世界中であの架け橋を何分割にして名前を渡しても、上を向いて歩いている限り、見て見ぬふりはできない。よね?

でもさあ…――、空なんかに橋を渡して、一体どこに行こうというのだろう?そんな高いところにいるなら、飛んでいったらいいじゃないか。これは誰のための橋なの。僕たちはどこから来て、どこまで行きたいの。

全て、正しさの通りなんだろうか?

結んだ約束が萎びきってしまう前に、思い出に託して夢物語にしよう。絆創膏の中で膿んでいく傷を赦そう。滅んだ世界の地平も繋がっていると信じよう。
それが嫌なら空を見つめて。
なくしたものはそこにあるって空想…世界の構造が人を蝕み続けることも、欺瞞なしでは生きられないことも。一人では息もできない人工物だけど、空を見上げて美しいって思ったっていいよ――正しさとか、公平さだとか。
たぶん。
救われていたっていいはずだ。

明るい気持ちは軽くて浮きやすいし、暗い気持ちはその反対。地上に悲しみが降り積もっていて、靴底に張り付いているとしても、空いているところがあるよ。頭の上。

空き箱には何を詰めようか?

だから…地面の上から妬みがましく見つめているから、思わせて。
虹を歩いたらそこまで行ける?
空を渡れる空想に、重力の足りない想像に、美しいきらめきを纏わせて。