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ね、隣にいるってどういうこと?

きみの手がかじかんだときに、僕の手もまた冷たくなっていて、温め合うと二人とも手が痒くなって、それでもってそんな事件も笑えちゃうこと?

疲れて眠たいのに不安が迫ってくるような夜に、恐ろしかったって気持ちを忘れるための時間が、あっという間に過ぎていってしまうこと?

それとも本当に一人きりの寝室で全身鏡を覗いたとき、それでもきみは世界にたった一人じゃないって信じられること?

きみの心に住ませてもらうのは、本音をいうとちょっと怖い。ごめん、嘘ついた。とっても怖い。
だってきみのこと簡単に傷付けられてしまうから。

僕はあんまり器用じゃなくて、ちゃんと当たり障りない言葉で人と話すことはできないから、僕の視点をきみに植え付けようとしてるみたいに、身勝手なやり方になっちゃうよ。
僕がきみを素敵だって思うこととか、どう考えたら楽になってくれるのかなとか、そういうのを、僕の視点からきみが暖まってくれるようにって願っちゃう。

大丈夫かな。
僕の言葉とか、僕なりの温度は、ちゃんと僕の思ってるようにきみに届いてくれるのかな。そうじゃなくても、きみにとってやさしい温度になれてる?

きみに降る雨が氷のように冷たくありませんように。
それとも、きみが呑み込んだ涙のぶんの、笑顔を育てられる世界でありますように。
きみの見てきたものがちゃんと、きみの傘になってくれますように。
きみのゆく道が救いある、あたたかい、やさしいものでありますように。

あと、きみのことを大切におもっている僕の温度が、僕のひとりよがりだとしても、それさえもきみの傘の1枚に変わって、その世界を少しでもあたたかいものにできていますように。
幸せであるように。
ちゃんと。



―僕と一緒に

9/23/2025, 11:31:11 AM