折角なら、白いヴェールは畳んでおいてほしい。
どれほど薄くとも今日ばかりは、あの鮮やかな色彩が舞台の主役であるから、人々が目を細めてでも見ていたいと思っているんだから、晴れやかな青色が下地になっているんだから。
世界中であの架け橋を何分割にして名前を渡しても、上を向いて歩いている限り、見て見ぬふりはできない。よね?
でもさあ…――、空なんかに橋を渡して、一体どこに行こうというのだろう?そんな高いところにいるなら、飛んでいったらいいじゃないか。これは誰のための橋なの。僕たちはどこから来て、どこまで行きたいの。
全て、正しさの通りなんだろうか?
結んだ約束が萎びきってしまう前に、思い出に託して夢物語にしよう。絆創膏の中で膿んでいく傷を赦そう。滅んだ世界の地平も繋がっていると信じよう。
それが嫌なら空を見つめて。
なくしたものはそこにあるって空想…世界の構造が人を蝕み続けることも、欺瞞なしでは生きられないことも。一人では息もできない人工物だけど、空を見上げて美しいって思ったっていいよ――正しさとか、公平さだとか。
たぶん。
救われていたっていいはずだ。
明るい気持ちは軽くて浮きやすいし、暗い気持ちはその反対。地上に悲しみが降り積もっていて、靴底に張り付いているとしても、空いているところがあるよ。頭の上。
空き箱には何を詰めようか?
だから…地面の上から妬みがましく見つめているから、思わせて。
虹を歩いたらそこまで行ける?
空を渡れる空想に、重力の足りない想像に、美しいきらめきを纏わせて。
9/22/2025, 2:22:18 AM