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3/21/2023, 12:58:33 PM

2XXX年5月12。
地球に、想定外の変化が起きた。
巨大な隕石が、突如人々に降り注いだ。

人々が絶望にかられる最中、
一際冷静な1人。
男は、篠原準(シノハラジュン)といった。
とある人体実験で不死の体にされた、不幸な男。
彼は元奴隷であった。
彼は、幸せを知らなかった。

そこへもう1人、涼しい表情の女性。
女は、舞園由香里(マイゾノユカリ)といった。
とある事情で異世界から迷い込んだ、不運な怪物。
彼女はドラゴニュート(龍人)であった。
彼女は、愛を知らなかった。

絶望に包まれた、果てしない終わりの世界。
これからどうするのか。
どうしようもない、救いようのないこの世界で。

いっそのこと、心中しようか、2人で。
そんな話を女が持ち出したのは、
地球が死んでから約一月が経った頃であった。

男は言った。
死んだらもう、君と会えなくなる。だから、嫌だ。

そこには、確かな愛が芽生えていたと思う。
女も男も気づいていた。
だが、何も言わなかった。
なぜか。

そこに全く意味を見出せなかったからである。
デートもろくにできない世界。
交配もできない。
ましてや、一方は幸せが、一方は愛を知らない。
二人とも人間ではない。

ゆっくりと、ゆっくりと。
荒んだ世界を二人、歩いて行く。
音は、二人の呼吸音と足音だけ。
何も一言を話さず、ひたすら歩き続ける。
結局、このあと何をするかの結論は、
世界を見て回ろうということになった。
男は奴隷、女は異世界人。
世界を、知りたいと思った。
見てみたいと思った。

ただ、歩こう。
何があるわけでもない、世界の成れの果てを。
僕らはもう、1人じゃないから。

    
     二人ぼっちの、この世界を。

3/20/2023, 1:28:52 PM

また、1日が始まる。

朝日をバルコニーから眺めながら、
とっておきの隠し味を入れたコーヒーを飲んで。
おっと、新聞も欠かせない。

大好きな彼女に「おはよう」のメールを。
彼女は大事にしないとね。
彼女にもらった服に着替えて、顔を洗う。

ポスターが剥がれていないかしっかりチェックして、
趣味に使うカメラをよ〜く磨いて。

テレビのニュースを一通り見たら、
君に「いってきます」と言いに行く。
家がお隣だと、こういうところで便利だ。

最後に、今日が何曜日かスマホのホーム画面から
チェックして・・思わず頬が緩む。
やっぱり今日も、君は素敵だ。
ホーム画面から微笑む君にうっとりと・・おや。
そういや、今日は木曜日か。
火曜日と木曜日は、君の家に遊びに行く日。
僕が心待ちにしている日。

朝から、やる気がでるなぁ。
今日は良い日だ。

これが、僕の毎朝のルーティーン。




「・・次のニュースです。本日16時、同じマンショ
 ンに住む女性をストーキングしたとして、盗撮・窃 
 盗・不法侵入等の疑いで田村信彦(24)が逮捕さ     
 れました。警察によりますと、男は『彼女の写真や
 衣服を持っていて何が悪い』と容疑を認めていると
 のことです。・・・こ、ここで速報です!田村信彦
 容疑者が被害者の女性の朝日春美さん(19)を殺
 害した模様です。警察の目の前でナイフで心臓を一
 突き、女性は即死だそうです・・。警察側も混乱し
 ているとのことで、状況が分かり次第、発表すると
 のことです」
「いや〜、怖いですねぇ」
「そうですね〜!しかも更に怖いのが、この女性が自  
 分の彼女だと本気で勘違いしていたところですよ。
 メールアドレスや部屋番号、合鍵まで作れちゃうん
 ですから、今の時代。怖いですよねぇ」
「本当、皆さんも気をつけて下さいね!もしかしたら
 ・・あなたのすぐ近くにも?なんちゃって」
「怖いですよ!おっと、そろそろ終わりの時間が近づ
 いてまいりました。それでは、今週の星座は・・」


   この話の意味、わかりましたか?





3/19/2023, 1:10:56 PM

人は死ぬ。

いとも容易く、それはそれは簡単に。

そのことを知ったのは、つい最近のこと。

僕は、人を殺めた。殺めてしまった。


それがニュースで報道されたのは、昨日の朝。
僕が逮捕されたのは、今日の朝。

少年法とらで幸い、僕は処罰されずに済んだ。
まぁ、少年院には入ったけど。

当時の僕は憂鬱だった。

こんなところに入りたくないと、最後までごねた。

でも、今は良かったって思ってる。

君に・・出会えたから。

君は少年院の中でいつも中心だった。

「なぜこんな良い子が少年院に?」

そう職員に言われるほど、絵に描いたような良い子。

僕も疑問だった。なぜこんな子が少年院に?

理由はたったひとつ。

その子に、社会では生活できないような

“問題点”があるから。

皆んないつの間にか忘れていたんだ。

その子がここに入った理由なんて、どうでも良くなってきていたんだ。

その子は、この場所の唯一の癒しだったから。

アイドルだったと言った方がわかりやすいかな?

僕は、殺人を犯した癖に気弱だったから、

すぐイジメの標的になった。



※未完成ですみません。完結させて後日再度投稿する
 ので、良ければ見に来てください。




3/19/2023, 12:29:01 PM

世の中は、不条理だ。

それはこの世界の当然のルールであり、
変わることはない。変わることはできない。

そんなの、小学生の頃から知っていた。

そのことに不満を覚えることは少なからずあったけれど・・仕方ないことだと割り切るのに、それほど時間はかからなかった。

「そういうものなんだ」

いつか、そう思えるようになると、先生も言った。



・・・ただ、ただね。

今だけは。

この一瞬だけは。

この世界を睨みつけて、

僕は、こう叫ぶんだ。

「おかしいだろ」って。
「こんなの、間違ってるだろ」って。

だって、そうしないと。
そう叫んでいないと。

君の気持ちをわかってあげられる人が、

この世界に存在しないと

認めることになってしまうから。

君の突然の死が、

“仕方ない”なんだって

割り切ることになってしまうから。


・・あぁ、そうか。

君がいなくても、確かにこの世界は回っていける。

何もなかったかのように、平然と。

でも僕は、僕だけは。

そんなこと、できないから。

だからきっと、この地球から この世界から

取り残されてしまうんだろうな。




3/18/2023, 10:32:31 AM

むせかえるような暑さの夜。
星が煌めく、美しい夜。

君は、突然現れた。

空から舞い降りてきた君は、

まるで まるで テンシのようだった。


灰色のビル。
騒々しいほど煌びやかな光達に照らされて

君は屋上から舞い降りる。


僕は君にもう声をかけることはできないけど

僕は君にもう笑いかけることはできないけど

それでも それでも。

僕はもう泣かないよ。

だって

僕は君にまだ、好きだと伝えてないから。

  
今、行くよ。

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