星が溢れるほどの、満天の星空。
そんな、美しい夜空の下
私達は出会い、結ばれた。
・・・はずだった。
けれど、僕らは今離れている。
場所も、心も。
どんなに頑張ったって、もう結ばれない。
あまりにも切なく、悲しい恋。
「・・・ていう感じのストーリーで小説書こうと思っ
てるんだけど、どう思う?」
「いんじゃな〜い?」
「ねぇ、ちょっと聞いてる・・!?」
「聞いてる聞いてる〜」
「はぁ・・・もういい。別れよ」
「は!?」
「あんたといても全っ然楽しくないし!」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!美幸!!・・はぁ。
本当に、その通りになっちまったなぁ」
満天の星空の下・・と言っても、都会の屋上。
とあるカップルの会話。
女性は深夜を照らす光へと落ちていき、
男は悲しみに落ちていった。
この話の意味、わかる?
あなたの隣で 毎朝起きる。
あなたの隣で ご飯を食べる。
あなたの隣で テレビを見て笑う。
あなたの隣で 布団に入り、眠りにつく。
全部、当たり前のこと。
毎日順序正しく行い、
毎日繰り返すルーティーン。
あなたも同じ。毎日一緒にいて、
一緒に笑って 一緒に泣くのが 当たり前。
あぁ、でもそうか。
当たり前が崩れると、こんなにも苦しいのか。
そうなることは、当たり前のことなのに。
私達は、いつも考えもしない。
命は常に、ガラスの橋の上にいて、
少しでも衝撃を与えれば、すぐに崩れ落ちる。
まるで、私の日常のように。
人間の知識欲とは、計り知れない物だ。
友達の恋愛事情、陰口、噂話、怪談話から失敗談も。
それらに尾ひれ背びれをつけて、
大きく成長しながら、人と人との間を縫うようにして
私達のもとへと届く。
知らなくてもいい、知ってはならないところまで
もっと知りたいという欲だけで
手を伸ばしてしまう。
知っても何の得にもならないのに。
これまでの自分に問いかけてもらいたい。
本当にその話は、信用に値したのか?
本当にその話は、信じて流してもよいものだったか?
本当にその話は、人を傷つけていなかったか?
その一言が、あなたの一言が、
私達を苦しめて、貶めて、
蔑まれるキッカケとなることを、
ちゃんと意識しながら毎日生きれているだろうか?
もう終わったことにとやかく言うほど
私はお人よしでもなければお節介でもないが
せいぜいよく考えて行動することだ
足元をすくわれ、
あなたの一言に貶められた人のように
苦しみたくないのであれば。
愛と平和の象徴とは、一体なんだろう。
両親?ペット?家族?
ヒーロー?恋人?それとも、お金?
まぁ、答えは人それぞれだろう。
私は・・・そんなもの存在しないと思う。
愛があれば「世界も救える」
そんなフィクション、今時誰が信じるのか。
でも「愛があれば乗り越えられる」
これならどうだろう。
信じる人もいるのではないだろうか?
「平和は実現できる」
これを断言できる人は、どれだけいるだろう。
でも「平和ボケをしている人」は、
世界中に、どれだけいるだろう。
どう足掻いても、私達はその中の1人なのだ。
こんな世の中、何が私達を助けてくれる?
愛?平和?
そんなもの、一度だって私を助けてくれなかった。
なら、それなら。私は・・・私達は、
助けてくれるものを信じるしかないじゃないか。
まぁ、そんなもの・・・
とっくの昔に、自分から捨ててしまったけど。
一昨日、なんとなく空を見上げた。
いつもの帰り道で、君と二人。
昨日、幾度となく空を見上げた。
涙が溢れないように。
今日、一度も空を見上げなかった。
そんな気力、残っていなかったから。
いつも同じ空。
いつも同じ夕焼け。
いつも同じ道を、君と並んで歩く。
それが僕の、僕らの日常。
でも、今日も明日も、これから先もずっと、
それは日常にはもうならないだろう。
君は、もういないから。
そこにあるのは
確かにいつもと同じ空のはずなのに
今日はなぜか、物憂げなような気がした。
いつもより物憂げな空に
僕は今日も叫ぶだろう。
〝なぁ、夕焼け。僕らの日常を返してくれよ”