あなたに届けたい
詩を謳い始めて早何年
言の葉を吹き続けて早何年
草原に漂う清らかな風は 私の憧れ
いつもは外に出たがらない彼女も
僕がお話を紡ぐ時だけは
お弁当と風呂敷を敷いて 聞いてくれる
太陽は暖かく 風は気持ちよく
退屈なはずの時間が 妙にこそばゆい
当たり前の日々では 決してないから
だから 僕はそんな時間も あなたに届けたい
I LOVE...
眠たい瞼を擦りましょう
寝て忘れたい夢を描きましょう
数年に等しい隔たりがあろうと
きっと君は笑って この詩を読んでくれるのだから
お話なんてとうの昔で
もう終わった不思議の国で
名前の無い物語なのだけれど
隠された真実はいつも目の前にあって
僕はそれをいつも 見つけることが出来なかったから
だから今それを詩にしましょう
忘れたくない思い出を少しずつ
忘れるための旅路を
きっと僕は笑って 泣きながら前へ進めるのだから
fin.
夢なんて見ないで
それできっと、貴方はどちらを愛しているので?
頭の中で声がする
いつか いつかの夕焼けと
陽の当たるグラウンドと人々の姿と
ああ これは夏の夢
いつか いつかの走馬灯
寝て忘れたい自傷の末の走馬灯
結局貴方は自分を愛しているのではなくて?
頭の前で声がする
誰かいるようじゃ前には進めない
進めない 進めない 進めない 進みたくない
忘れないでよね
貴方の前で声がする
はっと前を向く、
忘れないでよね、ね、で よ ね
貴方のせいだから、貴方のせいだから
分かるでしょ?
誰を愛していたかとか
もう分かんないくらい
今の私には きっと詩に是たくなるくらい 走馬灯
街へ
踵を鳴らせ
踵を鳴らせ
朝も昼も
夜も鳴らせ
僕じゃない世界へ
足を伸ばして
君の世界へ
音色に惹かれて
轢かれて
おっとと、
危ないじゃないか。
ここで前見て歩いちゃダメだよ。
間違ってもぶつかりたくないならね。
さあ踵を鳴らせ
踵を鳴らせ
朝も昼も
夜も鳴らせ
街へ繰り出せ
前を向かずに
待ち合わせるな
葦を街へ
優しさ
世界に声を届けられる場所で彼らは言うんだ
「辛い時は頼って。いつでも君を見ているから」
自分にすら声をかけられない私は思うんだ
「その 君 に私は含まれてないんでしょ」
どんな1本の手も 心の底から取りたいけれど
私を見ていない2本の手は 心底取りなくないな
わがまま なんだろうけれど
無責任と誤解は 私のいちばん嫌いな手の平だから
ミッドナイト
音のなる靴で 夜を歩いたの
その日はなんだか風が心地よくて
景色はやけに明瞭で
私は紙束を抱え 誰もいない道を歩いたの
どこがで 水の音がしたの
その音はなんだか一面に広がって
波紋はラグを起こすことなく
見えた月は 人生でいちばん綺麗に見えたの
誰もいないのにね
誰も
どこかで 無人の駅を見たの
その暗い世界には私一人で
紙の束はただの荷物で
水の上に 線路みたいに惹かれたの
届けられなかったのね
何も
やけに明瞭に見えたのよ
月が