Nijiame

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10/9/2025, 4:38:34 PM

秋恋


落ち葉より先に風の色で気づく

秋恋の訪れ

私はこの季節が好き

季節を掴める気がするから

大きく腕を広げて、胸に閉じて

空気をいっぱい掴み取るの

心做しか涼しくて

なにか掴めた感覚がして

あともう少しだけ夏服がいいの

もう少しだけ、この風に恋していたいから

10/7/2025, 4:31:33 PM

静寂の中心で


これは夜の涼しさではない

24℃に設定したエアコンは何故か静か

目ではなく、頭が眠いとナースコール

音はならない

夏のタオルケットはまだ必要?

去年買って使い切らなかったココアは手前の棚?

夕焼けを恋しく思う時期が来ても

私の隣に座って目線を合わせる人はいない

いつでも妄想できるんだけどな

左の耳元にいる感覚はあるんだけどな

音がしないから仕方がない

私は冬の一般兵の、台風の目

10/5/2025, 4:56:50 PM

moonlight


通話を繋げた音が波のようだった

押して引いてを繰り返すノイズ音で

真夜中に重い瞼を開けて

月明かりを見る時と同じだった


ここに一人。私。


充電コードが生きてることを確認してから

手元のリモコンで電気を消す

夜を消す光をスワイプして「雨 月 フリーbgm」

月の妖精が踊るんだ


ここに独り。私。


ねえ、お願い月の人。

この光が、母なる地にのみ照らしているのだと、

そう思わせて。

10/4/2025, 7:44:26 PM

今日だけ許して


神様、私は最低な人なんです。
反省文というものを一度も書いたことがなく。
今までを楽に生きてきてしまいました。
それは決して優等生だったわけでなく。
ただふりが上手いというだけでした。
ただ優しく振る舞うのが上手だったんです。
ただ人に強く当たるのが下手だっただけなんです。
それだけで多くの人を不幸にさせました。
たくさんの人から愛をもらいました。
その愛を、ナイフの方にズタズタに全て壊しました。
きっと私のことを息を止めるほど恨んでいます。
根も葉もある罪を。
だから私は終わりたかったんです。
2階の窓というには高く、白い光が差してたあの場所から。
翼を授かったのだと嘯かれたかったのです。

でもあの子はーーあの人は、それを祝福と言いました。
神様の祝福だと言って、私を救ってくれました。
愛してくれました。
恋を、しました。
人生を一度救ってくれたあの人に。
人生をかけて愛を返すことにしました。
もうあの頃には戻れないけれど。
もう止まれないけれど。
……もう、動きすらしないけど。

もう、詩すら書かなくなるほど私を恨んでいるけど。

返すのが、私の愛というナイフなんだ。
それが私の、人生をかけた一振りだから。


だからお願い。私をこの神の中だけで終わらせて。

詩で終わらせて。誰か。

8/5/2025, 4:27:18 PM

泡になりたい


自転車で帰るそこの君

夏の空を見てごらん

サイダーの音が聞こえてこない?

少しだけ吸い込まれる気がしない?

私は不思議ちゃんになりたかったからさ

どうしてもそんな気になっちゃって

そんなことを思っちゃって

空に溶けたいなぁって、思っちゃうの

シャボン玉よりも高い空

波が木霊する雲の泡

きっといつかは消えるのに

写真で動画で残してくれる

便利な世の中になっちゃったね

自転車を漕いで坂を上る

泡になりたい世の中になっちゃったね

自転車を漕いで夏を上る

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