Nijiame

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4/14/2025, 9:15:14 AM

ひとひら


綺麗とか、美しいとか、数あれど

可憐なものは、総じてひとひら

一輪の花にもなれやしなくて

一厘の先にもありはしない

(それはそれで可憐だけどね)

何処までも先を行く特急は

触れることの出来ない速度で

自由席の前から5列目

窓際のすぐ右隣に、ひとひら

青春だとか、赤の他人だとか、

そう言うのじゃなくて

唯唯可憐な、一瞬のひとひら

4/9/2025, 12:57:43 PM

元気かな


夜行バスか高速バスかも知らない足で

帰ってみることにしたよ

もう覚えてないだろうけど

エゴの為だけに帰ってみたよ

01Aの窓側の席

目の前には暗闇と灯り

白線は途切れ途切れで

眠くなる

隣にあの人の感触がした

幻肢

窓際に寄りかかるみたいに

あの人に

昔の話

もうなくなった市営バスの話

なくなって、忘れてしまったあの夏の話

いつか語れたらいいなと

いつか聞いてくれたらいいなと

こどもみたいに、わがままに

ただそれだけだったんだ

ただそれだけ…

……

元気でいてくれてるだけで、

それ以外は望みもしないんだ

見知らぬ土地を走るバスは

私の想いごときっと

4/7/2025, 3:14:53 PM

フラワー


帰ったら、扉に花が活けてあったの。

ドアノブに巻き付けるように、添え書きと共に。

「ご卒業おめでとうございます」

綺麗な花、ではあったの。

でも全くお世話になってない人で。

全くお世話したことのない人で。

花言葉を知った恋敵のように、全てが造花に見えて。

綺麗なはずなのに、どこかこの詩みたいにガタガタ。

だから、ペットボトルに活けることにしたの。

真ん中半分チョキチョキして。

添え書きはクリップで止めてあげて。

最後に写真を撮って完成。

添え書きはすぐ捨てちゃった。

もう1枚写真を撮って、嫌いで好きな子に送った。

とっても気持ち悪い。

綺麗なのに、どこもかしこも気持ち悪い。

言の葉すらない花なのにね。

言の葉を持った人なのにね。

3/6/2025, 4:54:04 PM

風が運ぶもの


タンブルウィードの匂いがする


深海の都会に輝くビルのネオン

複雑怪奇な言葉だらけで

いつの間にか色が消えていた

幻覚幻聴ご上等

今が夢の蜃気楼だとしても

きっとその霧は風になる









いつでも君を運んであげるよ

君が本当に望むのなら

いつでも君を運んであげるよ

ここじゃない場所なら、どこへでも

3/5/2025, 5:12:28 PM

question


先生、教えてくださらない?

私は何に迷っているの?

だってなんにも困ってない

ただ、行きたい道の先が崖なだけじゃないですか


先生、教えてくださらない?

どうしてそんなに話したがるの?

人が一人墜ちることを社会は許容しているのに

どうして教養はそれを許さないのですか



どうして無関心でないのですか

私が迷子ではないからですか

私が迷えば存分に見限れて

この遺書もフィクションに堕ちるからですか





それなら、ずっと子どもでいたかったです

「question」なんて言葉を使えない

白兎を観ないアリスになりたかったです

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