消えない灯り
叫べない
アパートだから
2階の角部屋から3番目の、エレベーターより階段の方が近い部屋だから
助けても言えない
助からない
独りだから
友達とか家族とか、そういう話を出せるほどたくさんいなくて、でも不幸せじゃないから
きっと幸せな方だから
叫べない
口を覆うしかない
いっそこのまま消えてしまいたい
潰れた肺をさらに潰して、綺麗な肺を黒かった風に見せたい
そんな風を見たい
それができれば、ようやく私は消えるのだから
消えて他の電球たちを
嘲笑って消えたい
心の深呼吸
深夜を吸って
後悔を吐いて
深海を進んで
航海を這って
親愛を背負って
本懐を懐かしむ
浅い、浅い、浅い
穴が空いているのに、悠長なこと
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うるさくて
うるさくて
うるさくて
あなたも私も、不安定
私の詩があなたを動かすことと
私の詩が一瞬しかあなたを動かせないことに
私は私を褒めてあげたくなる
今日はそういう深呼吸
行かないでと、願ったのに
まだスマホもない時代。
公衆電話のその前で。
クラスのあの子が座ってて。
僕はあの子が気になって。
昔はよく喧嘩もしてて。
世界で1番心地よかった。
僕らも少し大きくなって。
前みたいにはならないけど。
距離も自然に開いたけど。
なんとなく悲しそうだったから。
少し話して夏鼓(なつつづみ)。
ほんとに少しのこども返り。
帰り際口から零れた。
「ありがとう」と言って別れた。
なんでそんなこと言ったのか。
今でも本当に分からない。けど。
あの日から彼女はいなくなった。
本当にあった夏の話。
その頃は確か、後に付き合う女子と出会った時で。
今でも思い出すくらい混乱とifと後悔があるけれど。
あの頃の僕は本当に、人への関心を持てなかった。
今更言うのも虫が良すぎるし、酷いことだけど。
……幸せで生きてろ、ばーか。
消えない焔
息を吐くように嘯いた
その目は青
蛹が発達し幼虫ではないになった
音で遊べ
言の葉ゆらせ
一人戯れることが好きだったはずなのに
侵入者を許すな
恋に堕ちさせるな
たった一つじゃないringに
篝火を絶やさせるななことをするな
文法で遊べ
人で遊ぶな
心を遊ぶな
ああ、やめてくれやめてくれ
もう私を恋に落とすな
もう私に非を作らないでくれ
もう私は……でなければ、私は私で遊んでしまう
秘密の箱
これはなんの箱だろう
暗がりの中、私たち探索者はそれを発見した
それはきっと秘密の箱に違いない
探索者の1人が声を上げ、箱を開けようと試みた
暗がりの中、それは開かなかった
開きすらしなかった
それはきっと鍵がかかっているからに違いない
探索者の1人が声を上げ、鍵あけをしようと試みた
暗がりの中、それは開かなかった
鍵穴すら見つからなかった
それはきっと謎解きがあるからに違いない
探索者の1人が声を上げ、本を読み詠唱と錯誤を試みた
暗がりの中、それは開かなかった
狂気も邪神も目覚めなかった
秘密の箱は、依然として秘密の箱だった
一体いつになれば
私たちはそれを箱じゃないって理解してくれる?