Nijiame

Open App
11/3/2025, 3:57:30 PM

行かないでと、願ったのに


まだスマホもない時代。

公衆電話のその前で。

クラスのあの子が座ってて。

僕はあの子が気になって。

昔はよく喧嘩もしてて。

世界で1番心地よかった。


僕らも少し大きくなって。

前みたいにはならないけど。

距離も自然に開いたけど。

なんとなく悲しそうだったから。

少し話して夏鼓(なつつづみ)。

ほんとに少しのこども返り。


帰り際口から零れた。

「ありがとう」と言って別れた。

なんでそんなこと言ったのか。

今でも本当に分からない。けど。

あの日から彼女はいなくなった。

本当にあった夏の話。






その頃は確か、後に付き合う女子と出会った時で。
今でも思い出すくらい混乱とifと後悔があるけれど。
あの頃の僕は本当に、人への関心を持てなかった。
今更言うのも虫が良すぎるし、酷いことだけど。
……幸せで生きてろ、ばーか。

10/27/2025, 5:11:27 PM

消えない焔


息を吐くように嘯いた

その目は青

蛹が発達し幼虫ではないになった

音で遊べ

言の葉ゆらせ

一人戯れることが好きだったはずなのに

侵入者を許すな

恋に堕ちさせるな

たった一つじゃないringに

篝火を絶やさせるななことをするな

文法で遊べ

人で遊ぶな

心を遊ぶな

ああ、やめてくれやめてくれ

もう私を恋に落とすな

もう私に非を作らないでくれ

もう私は……でなければ、私は私で遊んでしまう

10/24/2025, 9:30:39 PM

秘密の箱


これはなんの箱だろう
暗がりの中、私たち探索者はそれを発見した

それはきっと秘密の箱に違いない
探索者の1人が声を上げ、箱を開けようと試みた
暗がりの中、それは開かなかった
開きすらしなかった

それはきっと鍵がかかっているからに違いない
探索者の1人が声を上げ、鍵あけをしようと試みた
暗がりの中、それは開かなかった
鍵穴すら見つからなかった

それはきっと謎解きがあるからに違いない
探索者の1人が声を上げ、本を読み詠唱と錯誤を試みた
暗がりの中、それは開かなかった
狂気も邪神も目覚めなかった

秘密の箱は、依然として秘密の箱だった
一体いつになれば
私たちはそれを箱じゃないって理解してくれる?

10/16/2025, 4:16:41 PM

消えた星図


私の、道標。

点と点を繋いで、ワープできる思考の旅。

とってもずるくて、子供ながら気に食わなかった。

地図も星図も気に食わなかった。

隣合った星を全て繋いで、網の目にする方が、

私は好きだった。

だから本は苦手だった。

詩が理解できなかった。

今。

私は詩の海を泳ぎ、点と点をワープしている。

この世界にはピリオドがある。

それだけを知れたから、今の私がある。

私の道標は、星すら無い地図とペン。

10/9/2025, 4:38:34 PM

秋恋


落ち葉より先に風の色で気づく

秋恋の訪れ

私はこの季節が好き

季節を掴める気がするから

大きく腕を広げて、胸に閉じて

空気をいっぱい掴み取るの

心做しか涼しくて

なにか掴めた感覚がして

あともう少しだけ夏服がいいの

もう少しだけ、この風に恋していたいから

Next