街へ
踵を鳴らせ
踵を鳴らせ
朝も昼も
夜も鳴らせ
僕じゃない世界へ
足を伸ばして
君の世界へ
音色に惹かれて
轢かれて
おっとと、
危ないじゃないか。
ここで前見て歩いちゃダメだよ。
間違ってもぶつかりたくないならね。
さあ踵を鳴らせ
踵を鳴らせ
朝も昼も
夜も鳴らせ
街へ繰り出せ
前を向かずに
待ち合わせるな
葦を街へ
優しさ
世界に声を届けられる場所で彼らは言うんだ
「辛い時は頼って。いつでも君を見ているから」
自分にすら声をかけられない私は思うんだ
「その 君 に私は含まれてないんでしょ」
どんな1本の手も 心の底から取りたいけれど
私を見ていない2本の手は 心底取りなくないな
わがまま なんだろうけれど
無責任と誤解は 私のいちばん嫌いな手の平だから
ミッドナイト
音のなる靴で 夜を歩いたの
その日はなんだか風が心地よくて
景色はやけに明瞭で
私は紙束を抱え 誰もいない道を歩いたの
どこがで 水の音がしたの
その音はなんだか一面に広がって
波紋はラグを起こすことなく
見えた月は 人生でいちばん綺麗に見えたの
誰もいないのにね
誰も
どこかで 無人の駅を見たの
その暗い世界には私一人で
紙の束はただの荷物で
水の上に 線路みたいに惹かれたの
届けられなかったのね
何も
やけに明瞭に見えたのよ
月が
安心と不安
みなさんおはようございますみなさんございます
わたしがわたしである前に始めたぼくのお話は
とおおっても斬新なプランを掲げました!!
それは彼女にも理解できないもので
彼女のためを思って作り上げた
いわば人生
ひとつの羽が空を飛んでいる姿は
美しいものですけど
その羽は飛び続けるために
空を飛んではいないのです
いつかは地に足着く運命であろうとも
彼女は彼女になる前に雛だったのです
で
でそれでそれでそれでそれでそれでそれでそれでそれで
そうしてそうしてそうしてつくりあげた彼女と僕の関係をもとに再現された世界の先の先の先の先の先の先
君はなんだい??
【目を向けた。君の顔へ。
そこには君しかいなかった。暗がりの席に突然、スポットライトが向けられた。】
いつものように笑う君はいつものように歩く君はいつものように思う君はいったいようは誰なんだい?
風が強い。雨みたい。外に出たい。水飲みたい。息吐きたい。満ち足りない。空を見たい。そのままでいたい。世界を回したい。ひかりを光らせたい。い。い。い。い。い。い。い。い。い。い。い。い。い、い。い。い。い。い。い。い。い。
わたしを動かす君は 一体だれなんだい?
【そう足組みしながら、わたしは騒がしいマンションの一室で寛ぎ、問うのだ。】
斬新なプランを掲げた僕を見る君は
わたしにとって
逆光
鴉は光を浴びた
井の中の蛙が大海を知らぬように
田舎の鴉は 朝日を浴びた
彼女は光を浴びた
暗闇に紛れた暮らしの先に
無知な彼女は 脚光を浴びた
そのノートには 彼女らの闇が詰まっていた
虹色の感情がどろどろに積み重ねられて
心をそのまま描いたように 気味が悪くなっていた
黒くシャーペンで彩られた白紙の絵画には
黒鉛の瞬きがあった
今日も彼女は いつも独り
独りで知らないステージへ行く
ステージを降りた僕は
独り目を瞑る
彼女が眩しかったのか
僕が僕を見たくなかったのか
あの場所がまだ光り輝いているのかは
逆光のみが教える