困った人に手を差し伸べる…
「ありがとう」の言葉を聞く…
心がほんわか、暖かくなった。
知らない場所で、様々な理由で血を剥がしている人達がいるのかと思うと、胸が締め付けられる思いがして、息苦しくて、悲しくなっていた。
だけど、誰かのために何かをした時に「ありがとう」を聞いて、脳が喜んでるるなぁって感覚で、そう思った。
香水をシュッとひと吹きした時、目に見えない香りが広がっていくように、手を差し伸べた瞬間、優しさと幸せも、世界中に広がったらいいのに。
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【お題】香水
広くて真っ暗な世界にぽつんと取り残された気分だった。
母親が作る朝食の音…
通学する学生の声…
キューブレーキをかける自転車の音…
いつもなら聞こえていた朝の音が、突然何も聞こえなくなった。
コンコンコン。
誰かが窓を叩く。
ゆっくりと窓を開けると、いつも見える風景ではなく、真っ暗な世界が広がっていた。
~生きるのが苦しい?~
~もう、生きるの諦める?~
頬に優しい風が吹くと同時に、子どものような、女性のような、優しい声が響いた。
「そっちに行ったら、楽になれる?」
~さぁ、それはどうだろ。でも悔いはないんだよね?…この世に…~
その声は本当に心地よくて、このまま身を任せてもいいと思えるくらいだった。
「後悔は…な…」
カンカンカンカンカン!!!
「いつまで寝てるの?!社会人にもなって親に起こされるなんて!」
え…え?
うっすら目を開けると、フライパンとおたまを持った母が仁王立ちになっていた。
なんでフライパン?昭和か…
体は動かなかったけど脳はハッキリ目覚めた。
夢オチで良かった…。
あれは死神だったのかな。夢にしては、生ぬるい風がやたらとリアルだったような気がすると思うと、ぶるっと身震いがした。
「もう1回、フライパン鳴らしてみて」
カンカン!
「変な子ね、早く起きなさいね」
ちゃんと聞こえる、朝の音。
まだやりたいことあるから
私大丈夫だから…
暗闇さんバイバイ。
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【お題】突然の君の訪問
3年日記の1年目が終わろうとしている。
昨日のことも忘れてしまう私にとって、日記というのは大切な過去を知るツールになっていた。
【今日はついてなかった。部長に呼び出されて注意を受けた…】
【新人が入ってきた。なかなか、言うことを聞かない…困った】
【新しいパン屋さんに行ったら、食べたいパンが売り切れていた】
なにこれ…。忘れたくない一瞬がこれ?
自分で書いたのに愕然としてしまった。
日記の中の私は、不幸だった。
こんな過去を覚えておくために
日記を書いていたんだろうか…。
読んでいてもつまらないし、現実の私もそれ程「幸せ!」と、両手をあげて喜べるものでもない。
「日記くらい幸せな自分で居てよね!」
私はおもむろに今日のページを開いて、ボールペンを手にした。
今日から楽しい事を探して書こう、そう思って書き記した。
【私の人生の〖主人公〗は私だ】
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【お題】私の日記帳
「初めまして」
初々しい笑顔でお互いを見つけて、頭をぺこりと下げた。顔を上げた瞬間に目が合って、はにかんだ。笑うと目が垂れて、とても可愛い人。コーヒーカップも、宝石のように輝いて見えた。
これが私たちの出会いであり、初めてあった喫茶店が待ち合わせの場所になっていった。
◆
◆
「私たち、これからどうするの…」
私の好きな人は、隣にいて当たり前の人になってしまったのかもしれない。 自分のわがままな心からくるものだろうか…何となく馴れ合いになってしまい、愛が冷めて来ていた。
「俺はまだ、一緒にいたい」
冷たくなったコーヒーを1口のむと、苦味がましたように感じた。
◆
◆
◆
再び私たちは、あの喫茶店に座っている。
どことなくそわそわした感じに、違和感を感じながら…
「いろいろあったけど、俺たち結婚しよう。絶対に幸せにする」
だから緊張してたんだね…私は大きく深呼吸して、思いっきり笑顔になった。
「はい。お願いします」
同じ席で、同じ相手を目の前に座ってきたけれど、気持ちひとつで全く違う場所に感じてしまう。
だけど、私はこの席が好きだ。
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【お題】向かい合わせ
海外のアーティストを好きになった私は、彼らが何を言っているのかダイレクトに知りたいと言う気持ちから、語学の勉強を始めた。
ヲタク気質のためか、勉強していくうちに楽しくなってのめり込んで行った。
行きたい、食べたい、会いたい、行きます、頑張って、応援してる!様々な言葉を覚えた。
語学検定を受けよう!とまで思っていたある日、YouTubeの配信があり、見るのではなく、耳を澄ませて声を聞いたけど、ナチュラルスピーキングで追いつかず、ひとつの言葉を頭で理解しようとしている間に、動画はどんどん進んでいった。
まだ…ダメだな…。
極めつけは、彼らが日本でライブを行うために来日が決まった。自分のおける立場や、金銭的な問題を考えた時、とてもじゃないけどライブに行けるような状況では無い事を思い知らされた…。
行きたかったなぁ。
同じ日本にいて、会場は盛り上がるんだろうなぁ。行った人の喜びでSNSも埋め尽くされてしまうんだろうな…見たくないよ。
行きたかったな。悔しいな。
行かないと決めたのは自分なのに、嫉妬のような心が湧き出してきた。
行きたかったな…。
今度は…いつ会えるかな。
そんな気持ちを抱えながら、語学の勉強を再開した。
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【お題】やるせない気持ち