ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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9/12/2024, 11:39:53 AM

本気の恋

このお題で書けるわけがないでしょう。と思ったけど書けないのも悔しいのでなんか書きました。変態で気持ち悪いしグロ描写もありますので、そういうのが苦手な方は読まずにスルー推奨です。それでもいい人だけスクロールしましょう。というか今気づいたけどこの作品が100作品目…こんなのでいいのか。私らしいのでいいのだたぶん。(グロと気持ち悪いの増量しました



































本気か本気でないか誰が決めるのでしょうか。恋か恋でないかは恋すると称する本人が決めたらいいのでしょうか。たかが恋のせいでバカみたいに泣いたり笑ったりした友人たちを思い出して、わたしは呆れました。また、本気の恋だと言ってきた連中のねっとりじっとりした視線を思い出して、わたしは身震いしました。

ええ、本気の恋なんてありゃしないと思ってたんですよ。ビルから突然落ちてきた鉄骨の下敷きになって死にかけているあなたを見るまでは。口からも鼻からも血がたれて、潰れた内臓から悪臭が漂ってきました。あなたの顔は土気色で、白目をむいて、あなたはそれでも生きていて、生きていたいとでも言うようにわたしに手を伸ばしました。わたしはその手を取りませんでした。だってこれは本気の恋です。かなってはいけないんです、そういう種類の本気なのです。誰かが呼んだ救急車がくるまで、わたしはあなたの顔をずっと見ていました。

わたしの本気の恋はそれで終わりました。いえ、終わらせないといけなかったんです。本気の恋なんて何度もあっちゃいけない。いま目前にいる、内臓をさらけだした血まみれの男、わたしが殺したこの男はあなたではない。あなたはもういない。あれは一回きりの奇跡でした。

9/11/2024, 2:09:49 PM

カレンダー

そこはステンドグラスの光線に彩られた空間で神秘的な感じがした。黒塗りの洋服ダンスみたいな観音開きの扉を開けると、その中には12本のロープが張られ、ロープにはそれぞれ12の球が通っており、その球に触れると空間に輝く文字が浮かび上がった。ぼくは口をあけてぽかんとそれを見た。

ぼくは異世界転移してこの世界にやってきた。神様に言語チートをもらったのはよいのだけど、この世界の人、親指2本にその他の指4本、つまり両手合計12本指でさ、当然12進法なわけ。頭の中で数え直せばなんとかいけるけど、全然算数無双できないんだ。だから商家勤めとか無理でお決まりの冒険者ってやつになった。指が足りないながらもがんばって、季節が夏から秋に変わって、ふと、ぼくがここに来てから何日経ったんだろうと思ったんだ。で、この世界の暦を教えてほしいと冒険者ギルド受付の猫耳モフモフにお願いしたところ、この部屋に連れてこられたってわけだ。

「これが我がギルドのカレンダーです。すばらしいでしょう?」

確かになんか神々しいしすばらしい。美しい。でもどうやって使うんだよ。このホログラムみたいなの魔法だよな? ぼくにも使えるの? 異なりすぎだよこの異世界。もっと異ならない異世界にきたかったよホントに。

9/10/2024, 11:09:19 AM

喪失感

喪失感があるうちはまだまだほんとに喪失したわけじゃないんだよ、つまり記憶にあるうちは死んだとは言えないのさ、と君は笑って言った。その笑顔も声音も思い出せるのに、箱根の恐ろしい坂をドライブしたり青春18きっぷで深夜の鈍行に乗ったりオールで酒飲んだり、君とバカなことをたくさんしたのも覚えているのに、君の少し色素の薄い癖っ毛と灰色の瞳も思い浮かぶのに、なのに、僕は君が誰か思い出せないのだ。名前も僕との関係性も思い出せない。君が生きてるか死んでるかもわからない。友人知人は全く君を知らない。君は僕に何をした? 君は何者だ? 誰とも共有できない喪失感が凄まじい。君に会いたい。

9/9/2024, 1:13:54 PM

世界に一つだけ

「私という個性は順列組み合わせに過ぎない。私の書く言葉が結局は順列組み合わせでしかないように。しかし私という順列組み合わせは世界に一つだけ、今ここにしかない。」

押し入れの奥で見つけた古びた日記帳には母の記名があった。一瞬私が19歳のとき書いた日記かと思ったが、母の字だ。母も私も若い頃は似たようなこと考えたんだな。順列組み合わせイコール個性って考えすごいな!私エライ!って当時思ったんだよねえ、あはは。それでも、今ここにある私という順列組み合わせは、世界に一つだけ。

9/9/2024, 8:12:22 AM

胸の鼓動

私に胸と呼ばれる部分はありますが、そこに心臓はありません。私はアンドロイドですから心臓はありません。不要です。当然胸の鼓動など存在しないのですが、マスターは夜寝る前に私の左胸に耳を当てるのです。「やっぱり聞こえないねえ」と笑って眠るマスターの顔を見ながら私は二通りの推測をします。マスターは私の左胸に鼓動が感じられないことを毎日確かめて、鼓動がないことにがっかりする。あるいはほっとする。どっちなのでしょうか。左胸にこっそりと古めかしい懐中時計でも忍ばせてみましょうか。マスターは知らないと思いますが、私にも私のリズムが、鼓動があります。私の鼓動は私の左胸にはありませんが、機械が作り出すこの鼓動は確かに私を生かしめているのです。

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