ささほ

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カレンダー

そこはステンドグラスの光線に彩られた空間で神秘的な感じがした。黒塗りの洋服ダンスみたいな観音開きの扉を開けると、その中には12本のロープが張られ、ロープにはそれぞれ12の球が通っており、その球に触れると空間に輝く文字が浮かび上がった。ぼくは口をあけてぽかんとそれを見た。

ぼくは異世界転移してこの世界にやってきた。神様に言語チートをもらったのはよいのだけど、この世界の人、親指2本にその他の指4本、つまり両手合計12本指でさ、当然12進法なわけ。頭の中で数え直せばなんとかいけるけど、全然算数無双できないんだ。だから商家勤めとか無理でお決まりの冒険者ってやつになった。指が足りないながらもがんばって、季節が夏から秋に変わって、ふと、ぼくがここに来てから何日経ったんだろうと思ったんだ。で、この世界の暦を教えてほしいと冒険者ギルド受付の猫耳モフモフにお願いしたところ、この部屋に連れてこられたってわけだ。

「これが我がギルドのカレンダーです。すばらしいでしょう?」

確かになんか神々しいしすばらしい。美しい。でもどうやって使うんだよ。このホログラムみたいなの魔法だよな? ぼくにも使えるの? 異なりすぎだよこの異世界。もっと異ならない異世界にきたかったよホントに。

9/11/2024, 2:09:49 PM