ささほ

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喪失感

喪失感があるうちはまだまだほんとに喪失したわけじゃないんだよ、つまり記憶にあるうちは死んだとは言えないのさ、と君は笑って言った。その笑顔も声音も思い出せるのに、箱根の恐ろしい坂をドライブしたり青春18きっぷで深夜の鈍行に乗ったりオールで酒飲んだり、君とバカなことをたくさんしたのも覚えているのに、君の少し色素の薄い癖っ毛と灰色の瞳も思い浮かぶのに、なのに、僕は君が誰か思い出せないのだ。名前も僕との関係性も思い出せない。君が生きてるか死んでるかもわからない。友人知人は全く君を知らない。君は僕に何をした? 君は何者だ? 誰とも共有できない喪失感が凄まじい。君に会いたい。

9/10/2024, 11:09:19 AM