towa_noburu

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1/18/2025, 10:45:18 AM

「手のひらを広げてごらん?君にだけおまけだよ。美味しい宇宙をご賞味あれ。」
そう言って、駄菓子屋のお婆さんは、僕の手のひらに金平糖をおまけしてのせてくれた。手のひらで夕日に照らされてキラリと光る金平糖はさながらお星様みたいだ。「お婆ちゃん、ありがとう。」金平糖を一粒手にとって口の中で噛み締める。甘い。そうか…宇宙に味があるならば、甘いのかな…なんて考えながら、目を閉じて味わった。不思議と、瞼に美しい天の川銀河や宇宙船が横切った気がした。あ、箒星だ。ぶ、ぶつかる!
僕は焦って目を開いた。心臓の音がうるさい。不思議な体験だった。
僕の想像力も捨てたものじゃないかもしれない。あるいは、この金平糖を食べた事で、本当に宇宙を透視したのかもしれない。
駄菓子屋のお婆さんは僕を見て満足げに微笑んだ。

1/17/2025, 10:14:55 AM

嵐の次の日、僕は庭で雲を拾った。小さな手のひらサイズの雲を拾った。風の悪戯か、こんな地上まで落ちてしまった可哀想な雲は、僕の手のひらで雨を降らした。「お母さん、雲飼っていい?」家に帰ってさりげなくお母さんに聞いてみる。「駄目よ、元いた場所に返してきなさい。」お母さんはこちらを見向きもせずにそう言った。僕はがっかりして、庭に戻った。手の中で雲は元気よく暴れている。僕は少し名残惜しいけど、手を思いっきりお空に近づけて、そっと空に雲を離した。
「ばいばい。もう落ちてきちゃ駄目だよ。」雲に僕の言葉が届いたのかどうかはわからない。雲は元気よくお空の彼方に飛んで行った。

1/16/2025, 10:16:43 AM

僕の祖父が大切にしていたフランス人形。ずらりと書斎に並ぶ様が子供の頃は怖くてたまらなかった。目と目が合うとその透明な瞳に全てを見透かされそうで、正直苦手だった。ある初夏の夜の事だ。僕は夜中にトイレにおきて、祖父の書斎の前を通りかかった。「あれ?」書斎の扉が僅かに開いていて中から囁き声が聞こえてくる。僕は半分寝ぼけていたが急に意識が覚醒した。心臓の音がやけにうるさい。このまま何も見なかったことにして通り過ぎれば僕はありふれた日常に戻れるだろう。けれど、声の主がそれを許さなかった。「おいで、坊や」月をバックライトに、フランス人形達はくるりくるりと踊っていた。僕は立ち尽くした。「お祖父様には今夜のことは秘密よ」クスクスと微笑みながらフランス人形は言った。立ち尽くす僕に構わずフランス人形は月夜の舞踏会を楽しんでいた。
あの後、僕はどうやって部屋に戻ってきたのか、正直思い出せない。それ以来頑なに僕は書斎へ近づくことを躊躇った。10年後、祖父の遺品整理をしに実家の書斎に足を踏み得れた時、僕は驚いたものだ。あの頃と違って埃を被っていた彼女達は、僕を見つめると、静かに透明な涙を流したのだった。
主人亡き書斎の人形達。彼女達は祖父が亡くなった後も人知れず夜に踊っていたのだろうか。
真相はわからない。けど僕はあの時のように彼女達への恐怖はなくなっていた。共に祖父のいない悲しみを共有できる者同士、僕も気がつけば泣いていた。

1/15/2025, 10:29:26 AM

「おめでとうございます!貴方は1等賞地球人に生まれ変わる権利を得ました。ささ、こちらの次元ワープトンネルへとお進みください。」1等賞で、地球人生まれ変わりの権利か…昔はプレアデス星団やアンドロメダ銀河行きが当たったのに。ここのアトラクションの質は落ちてるな…なんて思わず苦笑いしてしまった。しかし、せっかくだ、一時の夢を体験しに地球人になるのも悪くはないかもしれない。僕は自分を納得させながら、テキパキと手続きをこなす係員に目配せした。「一つだけ確認があるのだけど…僕の魂の知り合いで地球に住んでるやつはいるのかい?」
「あ、今確認致しますね…!あなた様の魂にゆかりのある生命体は現在地球にはいません。」
「そうか…まぁまっさらな状態で楽しむのもたまにはいいか。過去世に対するしがらみが全くないのは逆にスリルがあって楽しめるかもしれない。」僕は目を細めた。
トンネルの入り口は真っ暗で、先が見えない。僕は鼻歌を歌いながら、一歩踏み出した。僕とこれから出会うであろうたくさんの「貴方」を思い浮かべながら、いつのまにか走っていた。

1/14/2025, 12:14:24 PM

起こさないように。慎重に、足を進める。
ソファの横を通る時、ふいに君は寝返りを打った。
心地良さそうに、僅かに微笑んで寝息をたてる。
その穏やかな呼吸は、僕を安堵させた。
生きている、君が今もなお生きて僕の側にいる。
そっと、顔にかかる髪の毛をはらう。「ん…。」
神様なんか信じてなかったのに。今、僕は世界中で唯一君の存在を独占している事実に酔いしれた。
そして同時に、怖くもなった。いつか僕の目の前から君は微笑みながら手をすり抜けていきやしないかと。
臆病な僕を笑えばいい。大切だなんて、気がつかなければこんなに苦しくなかっただろうに。
それでも、君の寝息に僕は今日も救われるのだ。
触れるか、触れないか。
そっと手を伸ばした先にある呼吸を一瞬奪うように僕はキスをした。

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