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2/4/2026, 5:12:48 PM

『Kiss』

君は短いのが好きだけど、私は長い方が好き。
君はあまりしてこないけど、求めては来る。
君は煙草を吸うから、煙草の味がする。
そんな君に今日も私から。

2/3/2026, 7:25:40 PM

「1000年先も」


私は君と一緒にいたかった。1000年先も…

─── 30年前───

私と貴方はそんなに仲がいいという関係でも無かった。
ただ、互いに知り合いで、友達の恋人と言うだけの関係。ただの友達それ以上でも以下でもない。
2人の歯車が動き出したのは18歳。冬のはなし

付き合っていた恋人がいた。この歳にしてはかなり長く続いた方だと思う。それなりに思い出もあって幸せだった。私の片想いから始まった恋。実った時は嬉しすぎて寝れなくなるほどだった。なのに…いつからだろう。一緒にいるのがこんなにも苦痛になったのは…自分から別れを告げる勇気も持てない。誰か助けて欲しい
[そんなに苦しむ必要ないんじゃない?別れればいいのに]その一言だった。全てが変わったのは


付き合っている恋人がいた。俺の片想いから実った恋。相手には既に4年付き合った恋人がいた。それでもただ想うだけじゃ足りなかった。少しずつ連絡する頻度を増やして、学校祭で告白した。相手は困惑していた。それでも答えはyesの一言だった。2年付き合ったのに、裏切られるとは思ってなかった…
[これ以上傷ついてる姿見たくないよ。自分のこと大切にしてよ]
この言葉で妙にすんなりと現実を受け入れてしまった


私と彼はただの友達。クラスメイトだった。
ただ何となくお互いに傷を埋めるように話すようになっただけ。通話が日課になるまでそれほど時間はかからなかった。お互いを消費し合う都合のいい関係、そのまま終われば良かったのに、そう思ってしまうほどに失うのが怖いほどに、好きになっていた。

気づいた頃にはもう遅かった。体の関係を持ってしまったから。もっとただ話していたかっただけなのに。
先に好きになったのは私。彼は私のことを好きじゃないと思う。ただ暇つぶしにちょうどいい相手なんだろう。そんなことを思ってた。


気づいたら彼女を目で追うようになっていた。体の関係だけじゃない。安心できる、裏切られないそんな依存。寝れないを理由に毎日電話をかけて他の人のところに行かないように、でも想いを伝えれない臆病な俺。彼女に好きな人ができるまでの間だけでもいいから、そう思っていた。


何気ない日常。いつもの通話。ふと思ってしまった、言葉にしてしまった。
「私、好きだよ。」
気がついたら口にしてしまっていた。
『なんの冗談だよ笑 やめろよ心臓に悪いだろ笑』
いつもみたいに笑い飛ばしとけばよかった
「冗談じゃないよ、好きなんだよ」
『え、ほんとに言ってる?いつから?』
「話すようになってからかな?」
『同じくらいか』
「え?」
『俺も好きだよ』
「嘘つかなくていいよ笑」
『同じことさっき思ったけど』
…………しばらく沈黙が続いた。先に口を開いたのは彼だった
『これって両想い…ってことでいいんだよね?付き合えるってことだよね?』
「嘘じゃないなら」
『ここまで来て嘘とかなしだろ笑 俺と付き合ってくれますか?』
「そっちこそ、嘘とかなしね? 今日からよろしくお願いします」


───現在───

あの日の通話がなければ、あの時思いを伝えていなければ、なにも、だれも傷つかなかった、のかな……

「また来たの?」
『来るでしょ。体調は?ど?』
「いつも通りかな〜笑」
『また嘘ついてる。俺の奥さんは嘘つきだからなぁ〜』
「嘘じゃありませんーいつもより体調いいくらいですー」
『口をきけるくらいにはな笑』

私の余命は長く持ってあと3ヶ月程度
癌らしい。発見が遅くて、手術でもどうにもならない。身体中管に繋がれて、自分で見るのも痛々しいほどにやせ細っていくからだ。唯一の心残り、私の最愛の人。
結婚式で誓った[病める時も健やかなる時も]そんなもの違うんじゃなかった。毎日私の所へ通ってくれる彼は気を病んでしまった。私の癌がわかったその日から。

「もう来ない方がいいんじゃない?」
『なんでそんな事言うんだよ笑 ずっと一緒だよ』
「私もそうだけどあなたも目に見えてやつれていってる。このままじゃあなたが気がかりで成仏できないじゃない」
『気にしなくていいさ。どうせすぐ』
「こら、またネガティブ。私が居なくなっても私の分まで生きるって約束したでしょ?」
『守るとは言ってない』
「約束守らなかったら来世では他人ね」
『他人でも何回でも落としに行くよ』
「聞いて呆れる」
『それが俺だろ?笑』


そんな会話がいつまでも続くはずもなく
その日は突然

私の体は3ヶ月持ってくれなかった。
あぁ、このままこのひとを最愛の人を残して私は先に逝ってしまうんだ。最後の力を振りしぼって書き留めた手紙。宙に浮いた体のままその手紙を読んで涙を流す彼を見ていた。



[最愛のあなたへ]
30年、長いようで短かったね。私とあなたこうなるとは思ってなかった。それはきっとお互いにそうでしょう。
でも幸せだった。それだけは言える。ありがとう。
約束覚えてる?病める時も健やかなる時もしが私たちを分かつまで一緒にいる、こんな早く約束の期限が来ちゃうなんてね、思ってもなかったわ。
ずっと一緒にいておじいちゃんおばあちゃんになっても横にいる、その約束は守れそうにないもの。
それでもね、私が居なくなってもあなたには生きて欲しいの、私は先に逝ってしまうけど、方向音痴なあなたが迷子にならないよう待ってるから沢山お土産話持ってきて欲しいの。もう聞き飽きたそう言ってしまいたくなるほどの。早く来たら追い返すから覚悟しといてね。
あんまりたくさんの文字を残すとあなたが前に進めなくなるだろうからこれが最後。
1000年先でもまた一緒になってください。


私の意識が遠のいた────

2/20/2024, 2:15:18 PM

「同情」

可哀想に。あの子生まれつき目が見えないんですって。ヒソヒソと聞こえる言われ慣れた言葉。
''可哀想に''
人間はどんな時にそんな言葉を口にするのだろうか。僕にとって目が見えないのはごく当たり前のことで確かに話を聞いている限り見てみたいと思うこともある。でも見るということ自体がよくわかっていない僕にはその同情というものはとても腹立たしいものだ。むしろそんなことを言っているやつの面を拝めないのが残念なくらいだ。

目の前にはどんな景色が拡がっているの?色って何?空って?海って?気になることは沢山ある。耳で得た知識だけならたくさんのことを話せる。でも実際に見て見ないと想像ならできるけどなんの面白みもない。答えのないものばかり。見えるようになったらこうしてみたい。どこに行ってみたい。そんな夢ばかりが増える。現実はそんなに甘くはないというのに。

じゃあ僕が見たい世界というものを教えてくれる人は誰?どんな子なの?同じ病院に入院している女の子。彼女は白血病という難病?というものにかかっているんだとか。面白い話を沢山してくれるけどその姿を見ることは出来ない。もし目が見えるようになったら1番に彼女の顔を見たい。それが今の1番の願い。

毎日毎日、なんのかわりもない。ただ彼女の話を楽しみに過ごすだけの日々。明るくなったり暗くなったりしている認識はあるから朝と夜の区別はつくが季節?というものや天気?というものは何も分からない。それでも「今日は晴れてるね」とか「今日は雨が降ってるよとか」どんなことでも楽しそうに話している彼女は気になる存在だった。

ある日いつものやうに彼女が来るのを待っていたがいつもよりも院内が騒がしく看護師さんたちの走り回る音だけが耳に入ってくる。その日彼女は来なかった。次の日も、その次の日も。

5日ほど経ってから先生と両親が泣きながら僕に教えてくれた。ドナー提供をしてくれる人が見つかったと。その言葉を聞いた瞬間僕はようやく彼女の顔を見ることができると喜び顔から水が流れ落ちるのを感じた。

手術まではそう長くなかった。ドナー提供してくれた子は僕と同じくらいの歳の子だとだけ知らされた。確かに他の人の目を貰うということはその子の体の一部なのだからその分の責任はとても重いものだと自覚していたが何よりもその子の分までしっかり生きて色んなものを見なくちゃいけないと言え使命感に駆られた。

手術は無事成功し暫くは経過観察で部屋から出ることは出来なかったけど初めて見ることのできた両親の顔、自分の顔、色。どんなものを見ても感動そのものだった。2、3日経って暫くは入院だが自由に出歩いて良いと言われたのであの子に会いに行くことにした。いつも言っていた2階端の部屋。最近会えなくて僕の目が見えるようになったことは知らないはずだから会いに行ったら驚くだろうと胸を躍らせながら部屋の前に立つ。一つ大きな深呼吸。コンコンとドアを叩く。返事は無い。寝てるのかと思いそっと開けてみるとそこには誰もいなかった。何もなかった。

彼女はどこへ行った?難病って言ってたから退院できないって。じゃあなんでここにいないの?部屋移動した?頭の中がぐちゃぐちゃで何も考えれなくなってその場にしゃがみこんだ。看護師さんに僕どうしたの?と声をかけられ顔を上げると、何か知っているような顔で''可哀想''にと言われた。

(続?)

2/17/2024, 5:05:08 PM

あんたそのキーホルダーまだ持ってたの?いい加減捨てなさいよ。
母のその言葉を毎年聞いている気がする。母にとってはどうでもいいものなのかもしれないが私にとってはとても大切なお気に入りのキーホルダーなのだ。

何の変哲もないただのアザラシのキーホルダー。だがアザラシのキーホルダーをつけている人には早々で合わない。その点で言うと少し変わっているのかもしれない。なぜアザラシなのか私にも良くわからない。その当時は可愛いから何でも良かったんだろうけど。

キーホルダーをくれたのは隣の家に住んでいた薫。高校までは一緒だったけど卒業してから上京して会えなくなってしまった。薫の両親はそのまま残り家にいるからたまに近所で顔を合わせるが正月など薫が戻ってきている姿はここ数年1度も見ていない。向こうで可愛い彼女作ってるのかもしれないし、もしかしたら結婚してる可能性もある。
卒業してから10年も経てば何が起きてるか予測できないものだ。私も実際この歳になって実家に戻ってくるとは思っていなかったことだし。

毎年雪が降り出すこの時期になると小学3年生だった頃を思い出す。父が出張先で事故にあった。幸い命に別状はなかったものの暫く入院しなくてはいけない程の重症だった。当時の私は家族が大好きで父の状態を聞きショックで寝込んでしまった。
そんな時私に元気が出るようにと毎日声をかけに来てくれていたのが薫だった。小さい頃からずっと一緒で、家族ぐるみで仲が良く性別は違えど気が合うとても大切な幼馴染。父の話を聞いた薫は私が泣き止むまで隣にいてくれた。なかなか泣き止まないものだから薫が大切そうに持っていたキーホルダーをくれたのだ。
「あげる。だから泣かないで」
「なんっで……大切な…ものでしょ?」
「大切だからあげるの」
少しぶっきらぼうな顔をしながら私の手に置き握ってくれた。よく分からないけど心が落ち着いて私はそのまま寝てしまった。だからその後のことはよく知らないが母の話を聞くと薫も一緒に寝てしまったらしい。
そんな大切なキーホルダー。母にも父にも話していない。ふたりの秘密。

だから捨てられない。ずっと大切に持っている。
薫はもう覚えていないのかもしれない。それでも私の中には確かに思い出が残っている。

そしてもうひとつなんというのかよく分からないがこのことを思い出すと胸が苦しくなる。思い出に限らず薫のことを思うと不思議な気持ちになる。高校卒業する前会えなくなるのを聞いてとても寂しい気持ちになったのも覚えている。言葉で表すのは少し難しいこの気持ち。なんて言うのか私には分からなかった。

(続?)

『お気に入り』

5/19/2023, 1:58:14 PM

「突然の別れ」

「ひろちゃん〜!起きて〜!!置いてくよ〜!」
「かな…もう高校生なんだから一人で行くよ…」
「なんでよ!!いいじゃ!別に!幼馴染なんだよ??」
「いや、だからいっかとはならんから。そもそも年頃の女の子なら男子と登校なんて嫌なるだろ」
「なんで?」
「なんでじゃなくて……あーもうっ!」


これが俺たちの17年間続いているやり取り……だったもの
この時は少なくともあと1年続くと思っていた


「ヒロくん。最近カナちゃん学校来てないけど理由知ってる??」
「仲本さん。なんか熱出してるらしいよ。連絡取れないの?」
「うん。既読が先週からずっとついてなくて…」
「なるほど…ちょっと言っとくわ」
「わわっ!全然気にしないで!!早く元気になるといいけど……」


━━━放課後━━━

「ヒロくん…わざわざありがとうね〜」
「いえいえ、クラスの子達も心配してたので…今カナに会えますか?」
「ごめんね〜カナ今ここにいないのよ〜」
「どういうことですか?」
「……カナから聞いてない?カナ……余命宣告を……うっ……」
「っ……!そんな…嘘ですよね…?」
「ごめんね……」
「謝らないでください……どこの病院の何号室ですか?」


「かなっ!」
「!?……ひろちゃん…なんで来ちゃったの」
「いや、なんで言わないんだよ!幼馴染だろ!?」
「ずるいよ、そういう時だけ…うっ……」
「かな?かな!かなー!!」


人は簡単にいなくなる。凄く脆い。皆が思ってるよりも、凄く。

「苦しい。悲しい。切ない。信じたくない。見てない。知らない。嘘。まだいる。そこにいる。笑ってる。生きてる。話してる…はず……」



━━━━30年後━━━━


かなが見れなかった世界。やり残したこと。ノートにまとめておいてくたもの。これをやり遂げるまでは…あと3つ……


「貴方がヒロさんですね。ご武運を」
グサッ



背中に走る鈍い衝撃と共に見ていた夢が終わる。
起きた世界には元々かなという人は存在していなかった。
ただ確かに俺の中にはいた

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