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「1000年先も」


私は君と一緒にいたかった。1000年先も…

─── 30年前───

私と貴方はそんなに仲がいいという関係でも無かった。
ただ、互いに知り合いで、友達の恋人と言うだけの関係。ただの友達それ以上でも以下でもない。
2人の歯車が動き出したのは18歳。冬のはなし

付き合っていた恋人がいた。この歳にしてはかなり長く続いた方だと思う。それなりに思い出もあって幸せだった。私の片想いから始まった恋。実った時は嬉しすぎて寝れなくなるほどだった。なのに…いつからだろう。一緒にいるのがこんなにも苦痛になったのは…自分から別れを告げる勇気も持てない。誰か助けて欲しい
[そんなに苦しむ必要ないんじゃない?別れればいいのに]その一言だった。全てが変わったのは


付き合っている恋人がいた。俺の片想いから実った恋。相手には既に4年付き合った恋人がいた。それでもただ想うだけじゃ足りなかった。少しずつ連絡する頻度を増やして、学校祭で告白した。相手は困惑していた。それでも答えはyesの一言だった。2年付き合ったのに、裏切られるとは思ってなかった…
[これ以上傷ついてる姿見たくないよ。自分のこと大切にしてよ]
この言葉で妙にすんなりと現実を受け入れてしまった


私と彼はただの友達。クラスメイトだった。
ただ何となくお互いに傷を埋めるように話すようになっただけ。通話が日課になるまでそれほど時間はかからなかった。お互いを消費し合う都合のいい関係、そのまま終われば良かったのに、そう思ってしまうほどに失うのが怖いほどに、好きになっていた。

気づいた頃にはもう遅かった。体の関係を持ってしまったから。もっとただ話していたかっただけなのに。
先に好きになったのは私。彼は私のことを好きじゃないと思う。ただ暇つぶしにちょうどいい相手なんだろう。そんなことを思ってた。


気づいたら彼女を目で追うようになっていた。体の関係だけじゃない。安心できる、裏切られないそんな依存。寝れないを理由に毎日電話をかけて他の人のところに行かないように、でも想いを伝えれない臆病な俺。彼女に好きな人ができるまでの間だけでもいいから、そう思っていた。


何気ない日常。いつもの通話。ふと思ってしまった、言葉にしてしまった。
「私、好きだよ。」
気がついたら口にしてしまっていた。
『なんの冗談だよ笑 やめろよ心臓に悪いだろ笑』
いつもみたいに笑い飛ばしとけばよかった
「冗談じゃないよ、好きなんだよ」
『え、ほんとに言ってる?いつから?』
「話すようになってからかな?」
『同じくらいか』
「え?」
『俺も好きだよ』
「嘘つかなくていいよ笑」
『同じことさっき思ったけど』
…………しばらく沈黙が続いた。先に口を開いたのは彼だった
『これって両想い…ってことでいいんだよね?付き合えるってことだよね?』
「嘘じゃないなら」
『ここまで来て嘘とかなしだろ笑 俺と付き合ってくれますか?』
「そっちこそ、嘘とかなしね? 今日からよろしくお願いします」


───現在───

あの日の通話がなければ、あの時思いを伝えていなければ、なにも、だれも傷つかなかった、のかな……

「また来たの?」
『来るでしょ。体調は?ど?』
「いつも通りかな〜笑」
『また嘘ついてる。俺の奥さんは嘘つきだからなぁ〜』
「嘘じゃありませんーいつもより体調いいくらいですー」
『口をきけるくらいにはな笑』

私の余命は長く持ってあと3ヶ月程度
癌らしい。発見が遅くて、手術でもどうにもならない。身体中管に繋がれて、自分で見るのも痛々しいほどにやせ細っていくからだ。唯一の心残り、私の最愛の人。
結婚式で誓った[病める時も健やかなる時も]そんなもの違うんじゃなかった。毎日私の所へ通ってくれる彼は気を病んでしまった。私の癌がわかったその日から。

「もう来ない方がいいんじゃない?」
『なんでそんな事言うんだよ笑 ずっと一緒だよ』
「私もそうだけどあなたも目に見えてやつれていってる。このままじゃあなたが気がかりで成仏できないじゃない」
『気にしなくていいさ。どうせすぐ』
「こら、またネガティブ。私が居なくなっても私の分まで生きるって約束したでしょ?」
『守るとは言ってない』
「約束守らなかったら来世では他人ね」
『他人でも何回でも落としに行くよ』
「聞いて呆れる」
『それが俺だろ?笑』


そんな会話がいつまでも続くはずもなく
その日は突然

私の体は3ヶ月持ってくれなかった。
あぁ、このままこのひとを最愛の人を残して私は先に逝ってしまうんだ。最後の力を振りしぼって書き留めた手紙。宙に浮いた体のままその手紙を読んで涙を流す彼を見ていた。



[最愛のあなたへ]
30年、長いようで短かったね。私とあなたこうなるとは思ってなかった。それはきっとお互いにそうでしょう。
でも幸せだった。それだけは言える。ありがとう。
約束覚えてる?病める時も健やかなる時もしが私たちを分かつまで一緒にいる、こんな早く約束の期限が来ちゃうなんてね、思ってもなかったわ。
ずっと一緒にいておじいちゃんおばあちゃんになっても横にいる、その約束は守れそうにないもの。
それでもね、私が居なくなってもあなたには生きて欲しいの、私は先に逝ってしまうけど、方向音痴なあなたが迷子にならないよう待ってるから沢山お土産話持ってきて欲しいの。もう聞き飽きたそう言ってしまいたくなるほどの。早く来たら追い返すから覚悟しといてね。
あんまりたくさんの文字を残すとあなたが前に進めなくなるだろうからこれが最後。
1000年先でもまた一緒になってください。


私の意識が遠のいた────

2/3/2026, 7:25:40 PM