かなで

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5/12/2024, 12:52:18 PM

子供のままで 


ふと そう、振り返りたくなる時がある 

それは小学生の3年生くらいに   

周りのモノ そのままを映すくらいに 

澄みきった色をしたものをもってたはずだ


あの時が一番 自由で 気儘に 

いつでも羽根を広げて 左へ駆け出したり 右へ寄ったり

習い事先でも 他校の子や学年が違ってても  

すぐに楽しく繋がれてた  

なんにも 損得考えないで 捕われたり、区別されることもなく 


なのに 学年が上がると  

ただの丸が歪になったり、凹んだり、

数が増えたり、減ったり、ある部分が尖って弾けたり 

急速に 元ある形が原型を留めていない状態にも陥ってしまった 

私の色が周りの色に綺麗に馴染むなら良かったのに 

行き場をなくして とうとう 元の色が思い出せなくなった 

 
一部が濁ってる 明らかに    

だんだんと 侵食されていく それ

漆黒の色に染まりたくない 

でも 抜け出せない 

ここでは ないと 自覚しているのに 

周りを見て 足元を見て 躊躇することを繰り返す 

 

昔は どうすれば 元通りになったのだろう  

どう 維持できたのかな

 
おとなになるにつれて  

無数の色が 辺りに待ち構えている 

 
温かく迎えてくれる色  

恐怖で後戻りできそうにない色

何故か避けられてしまう色 

此方が近寄りたくない色 

手を伸ばして触れてみたい色  

気になるけれど傍観してみたくなる色


子供のころは 無意識に 吸い込んで浄化して 

また 自分の色に戻ることができていた 


だけど 


おとなになるにつれて 

頻繁に入ってくる大抵の色に 対応しきれなくなった 

結果 ギリギリ妥当な色に落ち着くのが習慣化されてしまった 

生きていくには 必要な色も不必要な色も 

経験値やその時選択肢で 選び取り 時には 判断を誤る 



さあ 今の私自身は 何色なのだろう 


最期の時には 何色に変化を遂げているのだろう  

 
自分の思い描く色に近づいていたら それは幸運すぎる


でも きっと 素直じゃない配色におさまっているだろうな
  
 
だから 時に 子供のままでいたい、 

辿り直してみたいと乞い願うのだろうな






5/11/2024, 11:37:32 AM

愛を叫ぶ 

私はいつだって 愛を叫ぶ 

毎日 貴方に会えるか分からないし 

最期がいつなのか 分からないから    

貴方は はじめは戸惑いながらも 考えあぐねて

私に 真面目に返事をくれていたよね 


たけど


大抵数日続くと 人間というものは 珍しくなくなる   

リアクションも 平常に

何度もはっきりと 断られる 


グラフに表すと その基準が 

いかに下降しているのがよく分かる  

会うたびに告白していると価値がなくなるよ?  

薄っぺらい思いだと思われるよ?

しつこすぎると、嫌われるよ?

もう、いい加減諦めて他に目を向けたら?



……わかってる 


 
でも、いつも この思いが残って目が覚める 

今回ばかりは伝える以外 思いつかない  

伝えなかったら 私は進めるの?  

それとも また振り出しに戻るの? 
  




また、もうすぐあの日の10日がやってくる  

 


私がこの5月を繰り返すのは、四度目 

一度目は 貴方からの告白を断った翌日に、私は交通事故にあってトラックにひかれた

二度目は 貴方からの告白を選んだら、私が歩道橋から突き落とされた

三度目は 貴方からの告白をのらりくらりと保留にしていたら、帰り道、待ち伏せしていた貴方に手をかけられた 

 
だから、今度は 私からしつこく告白して気を削ぐことにした 

私への興味が消え失せてしまうように  

私を嫌うように



だから 


私は 今日も 愛を叫ぶ 



「◯◯くんが好きです!」  
 


貴方のその「またか」という眼 その全身から否定する溜息  

「……毎日、ご苦労なことだな」
 
「まだ、諦めないのか?」 



まだ、例の10日を乗り越えていない  



だから、まだそのまま私の茶番に付き合って?





私は 11日の朝に目が覚めたいの




  









5/8/2024, 2:20:46 PM

1年後 

少しでも語彙力が増えますように 

様々な言葉のルーツや意味を知ることは愉しい
 
その言葉が出来た時代背景に思いを馳せる夜は 

片思いの相手を思い浮かべる時間に似ている 

もっとその歴史に触れられますように



1年後

ここで 我慢せず呼吸するように

言の葉を綴っていますように  

ここで 皆さんの率直な思いや興味をそそられる創作に

巡り会えますように 



ここは私にとって 大切な学びの場でもあるから

5/5/2024, 11:02:07 AM

君と出逢って 

 
視線で追う日が増えた  

何処かでバッタリ遭遇しないか ソワソワした

早くお昼にならないか ヤキモキした   
 
帰宅しても 考えるのは 君のこと 

夢で逢えたらと 祈るように眠りにつく 
 
キミが好きな色、食べ物を知ると 私も更新されていく
 
自然と自分をよく見せようと 変化を求める 

服もメイクもヘアースタイルも体型にも気をつけるようになった 

少しでも その他大勢から抜け出すために 
 
君と出逢ってから 一歩一歩 階段を上がる

いつもと変わらない事をするにしても 苦にならない 
 
新しいことを取り入れることが こんなにも楽しいなんて 

どんどん変わる自分自身に 追いつかない自分  



「綺麗になったね」 


皆が振り返る 

君も振り返って手を差し伸べる 

ようやく 横に並べた。 
 
毎日が愉しくて 優しくて 急速に 君色に 染まっていく  

君の理想のお嫁さんになるために  

今日も君のオーダーに果敢にチャレンジする。

共に歩んでと嘆願されて 夢にまで見たリングの輝き  

これはあらかじめ定められた運命だったんだ。 



だから こんなにも頑張れたんだ。 



なのに、 




「……もうちょっと、ふくらはぎは細いほうがいい」 



「このデザインは合わない」 



「これは、要らないだろう」 


「こんなこともわからないのか」 


「料理教室に行ったらどうだ」
 


今日も合格点に届かなかった。 


……私がなりたかったものは、何だったのだろう。 

ただ、君の傍に居たかったはず。 

なのに

この現実は、「君に似合う理想の人形」になるため。  

君が、良しとする「私」となるため。
 
  
 


もう、逃げられない 今宵も試験が始まる  









5/2/2024, 12:03:35 PM

優しくしないで 


これ以上私のテリトリーに入らないで 

折角、一大決心したのに それが萎れてしまう 
 
窓から眺めているだけで幸せだった    

貴方の声は聴こえないけれど 笑顔で相手を思いやって車椅子を押していた 

別の日は廊下で気乗りしないお爺さんの歩行訓練に付き添っていた
 
初めて 貴方の声が私に届いた  

私の中で 何度も何度も 眠るときでさえ、貴方の声が往復する  

あの時から 貴方に捕われたんだ 

人間は欲深いもので 毎日、ひとめ見たいと無意識に探している 

生憎、私と貴方との接点は叶いはしなかった

すれ違い様に挨拶する程度の位置関係  

常に貴方の周りには人という壁がそびえていた

悶々としてる間に 私の転院の話が早まった

もう、すれ違い様に挨拶することも、 

窓から見つめることも、声を聴くことも出来なくなる 

私は担当のナースに車椅子に乗せてもらい、いつも見ていた景色の場所を散歩に出ていた 

突然、突風が吹き上がり、膝のブランケットが攫われる  

飛ばされたブランケットの先には、恋い焦がれた貴方の足元 

私より先に、「あ!◯◯さん、ありがとうございます!」とワントーン高くなった声を発した担当のナースが駆け寄り、ブランケットを手渡されていた

そこは見たくない景色に一変した  

貴方の声に耳障りな音が混じったから混濁して届いた 

私だけ切り離された空間に取り残されていた 

ワタシの目の前で 他の人に 優しくしないで  

心に秘めて 静かに終わりを待つ 

願うなら きれいな片思いの形で想い出にしたかった 

こんな ドス黒い感情を生み出して終わりたくはなかった 
  
誰かと誰かの始まりを

目の当たりしたのが貴方との最後だなんて  

これから先 ワタシは私に戻れるの? 








 
 

 





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