かなで

Open App

君と出逢って 

 
視線で追う日が増えた  

何処かでバッタリ遭遇しないか ソワソワした

早くお昼にならないか ヤキモキした   
 
帰宅しても 考えるのは 君のこと 

夢で逢えたらと 祈るように眠りにつく 
 
キミが好きな色、食べ物を知ると 私も更新されていく
 
自然と自分をよく見せようと 変化を求める 

服もメイクもヘアースタイルも体型にも気をつけるようになった 

少しでも その他大勢から抜け出すために 
 
君と出逢ってから 一歩一歩 階段を上がる

いつもと変わらない事をするにしても 苦にならない 
 
新しいことを取り入れることが こんなにも楽しいなんて 

どんどん変わる自分自身に 追いつかない自分  



「綺麗になったね」 


皆が振り返る 

君も振り返って手を差し伸べる 

ようやく 横に並べた。 
 
毎日が愉しくて 優しくて 急速に 君色に 染まっていく  

君の理想のお嫁さんになるために  

今日も君のオーダーに果敢にチャレンジする。

共に歩んでと嘆願されて 夢にまで見たリングの輝き  

これはあらかじめ定められた運命だったんだ。 



だから こんなにも頑張れたんだ。 



なのに、 




「……もうちょっと、ふくらはぎは細いほうがいい」 



「このデザインは合わない」 



「これは、要らないだろう」 


「こんなこともわからないのか」 


「料理教室に行ったらどうだ」
 


今日も合格点に届かなかった。 


……私がなりたかったものは、何だったのだろう。 

ただ、君の傍に居たかったはず。 

なのに

この現実は、「君に似合う理想の人形」になるため。  

君が、良しとする「私」となるため。
 
  
 


もう、逃げられない 今宵も試験が始まる  









5/5/2024, 11:02:07 AM