飛べない翼
飛んでいきたい場所には 降り立てない
賑やかそうな声が 此方に微かに届く
私にも 確かに 翼があるはずなのだ
でも 翼を広げても 次の動作に移れない
わたしには お飾りの翼がある
昔は無邪気に羽ばたいて 飛んでいって
言葉を交わし 同じ時空に漂ってた
また 戻れると思ってた
頑張って受験した
お兄ちゃんたちの母校だから
小さな繫がり欲しさに
線引きされてしまった現実を嫌と言うほど
目の当たりにした
簡単には届かない位置だと
同じ敷地内に居るのに 交わることがなかった
この2週間
今日は教育実習の最終日
友達のお兄ちゃんは高等部の教育実習生として来ている
わたしは ただの中等部の新入生の一人に過ぎない
もどかしかった
・・・・・・だけじゃなかった
ほんの僅かな時間でいいから
わたしは ちゃんと伝えたいのだ
心の底で蓄積してた想いを
もう 記憶が薄れて気が付かないかもしれない
飛べない お飾りの翼のままだけど
まだ 消えちゃいないのだ
だから、貴方も
飛べない翼のかわりに 脚を使って
決着つけてこい!
秋恋
文化祭には他校の生徒が訪れる
それは共学でも 出会いの場
この時間帯は男子は入口で呼子をしていた
だからか、やたら入店は女子率が高い
他校の女子高生の気合いのはいった出で立ちに
ホール内で待ち構えた自身の現実を突きつけられ
フリルの付いた裾をシワを伸ばすように引っ張るように握る
気を取り直して笑顔で案内すれば マウントを取られる始末
大丈夫 同じフィールドの類ではないので
そう 威嚇しないで
此方は真面目に接客しているだけ
席に案内して注文を取ろうとすれば
メニューにないオーダーがまた 入る
「ねえ、入口にいた背の高い方の子に注文したいんだけど」
お姉様がた、お目が高い!
その子、バスケ部のエースで学年で3本の指に入るイケメンのひとり!
うんうん、話したいよね、連絡先知りたいよね
だけど、非常にごめん
ここのホール内の係りにしちゃうと
戦場と化すんだわ
うちら、去年の二の舞い(地獄絵)だけは踏みたくないと固く誓ったの
秋の恋は ところどころで 花開く
静かに咲かせる者もいれば
同時に花開かせる者
遅咲きの者
火花バチバチのように激しく咲き乱れる者もいる
私みたいに 咲いても枯れるのを待つかのように
放ったらかしの者もいる
君たちの そのエネルギーを少し分けてくれないかな
来年こそは 自分の花に挿し色をつけたい
紅葉みたいな色で
なんとも思っていないよっていう、仮面を外して
真正面から 最後の後夜祭を誘ってみたい
背が高いから 階段の上から逆に見下ろす感じで
大事にしたい
この感情を
君に触れる位置に居たことはない
君を町中で見かけたこともない
君の紡ぐ声すら聞いたこともない
君がどんな表情を見せるのか想像もできない
だけど、こうして手にとってみると
心の底から知りたいと思った
貴女はどんな生き方をしたの?
貴女はどんな女性だったの?
何十年ぶりかに空気に触れた、君。
捲っても捲っても どこもかしこも 白黒の世界
君は真正面に きりりと口をつぐむ
出来ることなら 覗いてみたい
わたしのルーツである四代目の君が生きた時代を
大事にしたい
この好奇心を この密かな探究心を
もう誰にも 問うことはできない君に
暫し 想いを馳せる今宵
心の灯火
ただ何となしに生きる毎日 色褪せて見える目の前の視界
いつの間にか忘れ去られたもの
窮地に立たされても存在すら気にもとめなかったのに
誰かの力強い心の灯火 張り裂けそうな心の灯火を
垣間見た時
薄っすらと揺らぐ小さな自分の灯火が僅かに共鳴した
まだ 完全には諦めなくてもいい
いまからでも自由に追い求めていいんだ
雁字搦めの翼をひろげて
灯火という暖かい火に照らされて
何処だっていい 行きたいところへ 飛んで行け
辛かったら 疲れたら 羽休めをしたらいい
たとえ頼りない灯火になったとても
心の灯火は 完全には消えやしない
現状が苦しくても 諦めるな
自分から消しに行くな
まだ 話したいことがあるだろう?
心の健康
現時点で、私の心の健康に一番ストレスを与えているのは、
「子どもの夏休みの宿題」の進捗と完成度。
時間ないのに、何故か自由研究に凝る。
主要教科に振り向け!
首を長くして待ってるぞ。
完了したら、私の心の健康は一気に返り咲く!